総務省統計局による「世界の統計2021」によると、日本の人口密度は 338 人/平方 km であり、世界の人口密度 59 人/平方 km と比べると高い値になっていることが分かります。日本より人口密度の高い国としては、韓国(512 人/平方 km)やシンガポール(7,867 人/平方km)があります。一方、オーストラリアの人口密度は非常に低く 3 人/平方 km となっています。
このように人口密度を比較してみましたが、338 人/平方km と言われても、具体的にどれくらいか想像できないのではないでしょうか?本記事では、ArcGIS Business Analyst(以下、BA)上で利用・構築できるインフォグラフィックスの多様なテンプレートを集めたテンプレート集に新しく追加した「人口密度を身近な範囲に置き換えると何人になるか」を表現したインフォグラフィックスをご紹介します。
(画像をクリックすると実際のインフォグラフィックスが表示されます。)
「人口密度を置き換えてみると?」テンプレート
BA Web App 上で構築した独自のインフォグラフィックス テンプレートであり、任意商圏内の人口総数を集計し、商圏の面積(平方km)で割ることにより任意商圏内の人口密度を算出しています。同時に、同じ人口密度を想像しやすい範囲に置き換えたときの人数に逆算することで、各エリアに「何人いるのか」という指標を算出します。
対象エリア | 備考 | 対象面積 |
東京ドーム | グラウンド部分のみ | 13,000 平方m |
埼玉スタジアム2002 | スタジアムのピッチ(105m × 68m) | 7,140 平方m |
テニスコート | コート一面(23.77m × 10.97m) | 約 260 平方m |
鉄道1車両 | 山手線 E235 系(20m × 2.95m) | 59 平方m |
テンプレートの利用方法
本テンプレートは、サンプル テンプレートの利用申し込みを行っていただけると BA Web App の「共有インフォグラフィックス」や BA Pro の「共有されたテンプレート」に追加されるので、任意のエリアに対して自由にインフォグラフィックスを作成することができます。申し込みには BA 製品の保守が有効である必要があるので、ご注意ください。
活用例~防災意識の啓蒙~
高層マンションが立ち並び、ほぼ正方形の形の島である勝どき1丁目~4丁目の人口密度を置き換えてみましょう。仮に、勝どき1丁目~4丁目の全住民が該当エリアに均一に分布したときのときの目安の密度となります。(本来であれば人が立ち入れないエリアが存在したり、橋を渡って他のエリアに移動したりするなどが考えられるため、あくまでも目安の値となります。)
商圏の作成
以下の手順で BA Web App 上で、国勢調査の町丁・字等を組み合わせた商圏を作成することができます。
- BA Web App を開き、[エリアの定義] → [区画の選択] をクリックします。
- [マップから選択] → [町丁・字等] を選択して、マップから対話的に区画を選択し、[次へ] → [完了] をクリックします。
- 表示されたポップアップから [インフォグラフィックス] を選択し、[人口密度を置き換えてみると?] テンプレートを選択することで、インフォグラフィックスを構築できます。
勝どき1丁目~4丁目の人口総数は約 12,500 人、人口密度は約 40,000 人/平方 km でした。この人口密度をテニスコート一面あたりの人数に直すと、約 10 人となります。「テニスコートに 10 人くらいの人口密度」と言われると具体的なイメージも湧くと思います。
このように、身近で分かりやすい例に置き換えることで、具体的なイメージを、情報を見る側に伝えることができます。より多くの人が、このように解釈しやすい情報を受け取ることで、自身の行動や心構えに活かすことができます。たとえば、災害発生時に自宅にいる方が安全かを判断し、そこに留まれるような防災意識の向上に寄与できるのではないでしょうか。
今回ご紹介したテンプレートは、標準オンライン データに搭載されている国勢調査データを用いましたが、BA Web App Advanced のユーザーは、ユーザー保有の独自データも利用することも可能です。他にもインフォグラフィックス テンプレート集には多様なインフォグラフィックス テンプレートがございます。今後も利用可能なインフォグラフィックス テンプレートを追加していきますので、どうぞご期待ください。