2022 年 6 月 22 日 (日本時間 2022 年 6 月 23 日) に、クラウド GIS である ArcGIS Online がアップデートしました。主な機能追加・機能改善の内容をご紹介します。
目次
フィーチャ レイヤーのプレビュー
コンテンツ リストの参照時に、フィーチャ レイヤー内のサブ レイヤーやフィールドのリストが表示されるようになりました。これにより、簡単にアイテムの内容を確認することができます。以下の例では、緑地管理レイヤーには、樹木と草地のサブ レイヤーがあり、草地レイヤーには種別フィールドがあることが分かります。
また、アイテムをキーワードで検索するときに、検索結果にフィーチャ レイヤー内のサブ レイヤーやテーブルも含まれるようになりました。これにより、従来では検索できなかったデータを検索できるようになります。
Map Viewer
チャート スタイル
カテゴリの数値データを 2 種類のチャートで表現できるようになりました。チャートは、 1 つのフィーチャ内のカテゴリを比較するために使用でき、チャートおよびサイズは 1 つのフィーチャ内のカテゴリと値の合計を比較するために使用できます。
ヒート マップの改良
ヒート マップは、近接または重複する多数のポイントを表示するのに有用です。ヒート マップは、マップ上のポイントの相対的な密度を、クール (ポイントの密度が低い) からホット (ポイントの密度が高い) までのさまざまな色のセットで表示します。
ヒート マップ スタイルは、より高速で滑らかな効果をサポートするように改良されました。さらに、フィルタリング、ラベル、ポップアップがサポートされるようになりました。フィルタリングされたフィーチャに効果を適用して、特定の条件を満たすエリアを強調することもできます。例えば、以下のマップは、東京駅周辺の WiFi 人口統計データ (水色) を示すヒートマップを使用し、20 代の人口 (オレンジ) を強調するためにフィルタリング効果を使用しています。
国際航業株式会社の WiFi 人口統計データ サンプルを使用
マルチ レイヤー シンボル
ポイント、ライン、ポリゴンのシンボルをマルチ レイヤーで構成することができるようになりました。マルチ レイヤー シンボルの各コンポーネントを個別にスタイル設定することができます。また、マーカー シンボルによるハッチ塗りつぶしなど、複雑なポリゴン塗りつぶしもサポートしており、ランダムまたは均一、さまざまな密度で分布させることができます。
レイヤーとテーブルの保存
Map Viewer 上のフィーチャ レイヤーおよびテーブル レイヤーをマイ コンテンツのアイテムとして保存できるようになりました。これにより、レイヤーまたはテーブルの設定を保存して、他のマップで再利用することができます。
- 保存: 既存のレイヤーまたはテーブル アイテムへの変更を保存します。このオプションは、アイテムを所有しているか、アイテムを編集する権限を持っている場合に使用できます。
- 名前を付けて保存: マップ内のレイヤーまたはテーブルから、マイ コンテンツに新しいアイテムを作成します。新しいアイテムには、マップ内で設定されている現在のレイヤーまたはテーブルのプロパティが保存され、元のデータ ソースを参照します。
Map Viewer Classic から Map Viewer へのアップグレード
2021 年 4 月以前に作成された組織で、Map Viewer Classic から Map Viewer へのアップグレードを行ったことがない組織のプライマリ マップ ビューアーが Map Viewer にアップグレードされました。組織の管理者は、組織の設定により、組織のプライマリ マップ ビューアーを Map Viewer Classic に戻すことができます。
Scene Viewer
天気の効果
天気ツールを使用して、雲、雨、雪、霧などの天気の効果を追加することで、シーンのビジュアライゼーションを強化することができます。天気の設定は、シーンのスライドにも保存され、再生や共有時にも利用できます。天気の効果は、日光ツールと合わせて使用することができます。
Project PLATEAU の建物データと OpenStreetMap 3D Trees (Realistic) を使用
OpenStreetMap 3D レイヤー
ArcGIS Living Atlas of the World で公開されている OpenStreetMap の 3D 建物や樹木をシーンに追加できるようになりました。
また、ESRIジャパンでは、Project PLATEAU で公開されている 3D 都市モデルの建物データを ArcGIS で活用できるようファイル ジオデータベースに変換・加工し、Web シーン レイヤーとしても公開を開始しました。現在、東京23区・八王子市南大沢といわき市の 2 都市を ArcGIS Living Atlas of the World にて公開しており、今後も順次追加予定になっております。
上の天気の動画は、東京駅周辺の PLATEAU 建物データと OpenStreetMap 3D 樹木のデータを合わせて表現したものです。是非お手持ちのデータと合わせてご活用ください。
360 度仮想現実 (VR) 体験
ArcGIS 360 VR Web アプリケーションを使用するだけでなく、既存の Web シーンから直接没入型の 360 VR 体験を作成することができるようになりました。Scene Viewer の各スライドが、360 VR 体験のビュー ポイントに変換されます。サンプルについては、ArcGIS 360 VR ギャラリーをご参照ください。
3D City Experience Lab. が公開している渋谷地下3Dデータを使用
その他の新機能
- Scene Viewer で GeoJSON と CSV レイヤーがサポートされるようになりました。
- 見通し線解析を行い、スライドに保存して他の人と共有することができます。
- ライン シンボルにマーカーを追加できるようになりました。たとえば、矢印マーカーを追加して、ラインの方向を表すことができます。
- フィーチャの編集時にツールチップが表示されるようになりました。
ArcGIS Instant Apps
次世代の Web マッピング アプリである ArcGIS Instant Apps では、Map Viewer、Scene Viewer、コンテンツ ページ、およびマップ アイテム ページから直接、直感的でインタラクティブな Web アプリを作成できます。
本アップデートでは、アプリの構成ウィンドウに以下の機能が追加されました。
- 「はじめに」パネルにいつでもアクセスすることができ、アプリの構成方法や追加のオプションを確認することができます。
- テーマの設定が拡張されました。フォントや配色の変更に加え、ヘッダーにロゴを追加することができます。
- ソーシャル共有設定をオンにすると、マップの範囲や表示レイヤーなど、アプリの現在の外観を維持するパラメーターがリンクに含まれるようになり、現在の状態を共有できます。
- Web 解析オプションに、Adobe Analytics が追加されました。
ほかにも、展示、ポートフォリオ、チャート ビューアー、 サイドバーなど、複数のテンプレートで機能が追加されています。
ArcGIS Experience Builder
ArcGIS Experience Builder を使用すると、コードを一切記述せずに、自由度の高いレイアウトで高度な Web アプリケーションおよび Web ページを構築できます。本アップデートでは、3D ツールボックス、印刷、タイムライン ウィジェットが追加されました。
3D ツールボックスの例
詳細は後日、本ブログでご紹介します。
組織の管理
メンバーのカテゴリ
メンバー カテゴリを設定すると、部署、地域、プロジェクトなどの特徴によってメンバーを整理することができますが、組織にメンバーを招待したり追加したりするときに、メンバー カテゴリを指定できるようになりました。
電子メールの確認
新しいセキュリティ設定により、組織の管理者は、電子メール アドレスが未確認のすべてのメンバーに対して、サイン イン時にアドレスの確認を促すことができます。また、管理者は確認されていないメンバーのリストを確認し、必要に応じてメンバーのメール アドレスの確認と編集を行うことができます。電子メール アドレスが有効であることを確認することで、ArcGIS Online ユーザーと管理者は、パスワードのリセットやアカウントの変更など、ArcGIS Online から重要な情報を受け取ることができます。
組織の管理レポート
組織のレポートに、以下の機能が追加されました。
- サービスの使用状況レポートが追加されました。
- アクティビティ、クレジット、サービスの使用レポートの作成期間に「四半期」が追加されました。
- メンバー レポートに、メンバー カテゴリと認証済みメール ステータス フィールドが追加されました。
その他の新機能はヘルプをご参照ください。
注) バージョンアップされた内容を確実にご利用いただくために、お使いの Web ブラウザーのキャッシュ (インターネット一時ファイル) を削除してください。主な Web ブラウザーのキャッシュ削除方法については、以下のリンク先をご参照ください。