ArcGIS Online (2023 年 10 月アップデート) の新機能

2023 年 10 月 25 日 (日本時間 2023 年 10 月 26 日) に、クラウド GIS である ArcGIS Online がアップデートしました。主な機能追加・機能改善の内容をご紹介します。

アカウントと管理

多要素認証

多要素認証は、サインイン時に複数の認証要素を組み合わせて認証する方法で、セキュリティを向上させることができます。これまでは、組織のメンバー自身が必要なタイミングで多要素認証の設定を有効化できましたが、このアップデートでは、組織の管理者が ArcGIS ログインを使用しているメンバーに対して多要素認証を強制的に適用できるようになりました。多要素認証を強制的に適用する設定を行うと、メンバーはユーザー名とパスワードに加え、Google Authenticator などの時間ベースのワンタイム パスワードを使用してサイン インする必要があります。メンバーは、USB キー、Face ID、指紋リーダー、電話などのオプションを使用してセキュリティ キーを設定することもできます。詳細は、ヘルプをご参照ください。

管理レポート用のカスタム ロール

ArcGIS Online では、デフォルトのロール (管理者、閲覧者など) を使用して一連の権限を定義しているほか、カスタム ロールを使用して権限を絞り込むことができます。組織の管理者は、他の管理者権限は持たずに、組織の管理レポートを作成および管理できるカスタム ロールを構成できるようになりました。

Map Viewer

ポップアップ エレメントの強化

ポップアップに追加したチャートに、カスタム カラーとカラーランプを適用できるようになりました。データ レイヤーのスタイルで定義された色と同じ色を使用するようにチャートを構成したり、特定のチャート データに焦点を当てるためにカスタム色を適用したりすることができます。

使用データ: 全国都道府県界データ2021

箱ひげ図

ホスト フィーチャ レイヤーまたはテーブルから箱ひげ図を作成できるようになりました。箱ひげ図では、四分位数を通して数値の分布や中心傾向を視覚化し、比較することができます。チャートの詳細については、ヘルプをご参照ください。

方向付き画像

今後リリースを予定している ArcGIS Pro バージョン 3.2 で作成した、方向付き画像レイヤーを表示できるようになりました。マップ上では、画像を取得した時のカメラの位置と方向を表示し、方向付き画像ビューアーで画像を表示します。今後の ArcGIS Pro のバージョンアップにご期待ください。バージョン 3.2 の国内リリースは 2023 年末ごろを予定しています。

タイム ゾーンの設定

デフォルトでは、マップは、マップの表示に使用しているデバイスのタイム ゾーンに基づいて日付と時間を表示します。マップ作成者は、マップに特定のタイム ゾーンを設定できるようになり、すべてのポップアップと属性データが、エンド ユーザーのブラウザーやモバイル デバイスに影響されることなく、希望するタイム ゾーンで一貫して表示されるようになりました。

タイム ゾーンのオプションには、デバイスのタイム ゾーン、特定のタイム ゾーン、データのタイムゾーンがあり、コンテンツ ツールバーのマップ プロパティで設定できます。

Map Viewer での解析

ArcGIS Online の Map Viewer では、フィーチャのパターンや関係を定量化するための空間解析ツールと、ArcGIS Image for ArcGIS Online をお持ちの場合はラスター解析ツールを利用できます。

本アップデートにおいて、以下のラスター解析ツールとラスター関数が追加されました。

ラスター解析ツール

ディープ ラーニングを使用した変化の検出、領域の特定、多次元主成分分析、ニブル

ラスター関数

距離累積、距離アロケーション、フォーカル統計、ディメンションによるラスターの内挿、最小コスト コリドー、リキャスト、スペクトル変換、ビット置換

また、ラスター関数では、解析の実行前にプレビュー表示できるようになりました。

Scene Viewer

プレゼンテーション モード

プレゼンテーション モードでは、最小限のナビゲーション ツールとスライド リボンのみが表示され、シーン コンテンツを全面に表示できます。

使用データ: 名古屋市 3D都市モデル(Project PLATEAU)

また、モバイル デバイスで Scene Viewer を使用する際のユーザー エクスペリエンスが再設計され、よりコンパクトになりました。

ArcGIS Instant Apps

ArcGIS Instant Apps は、次世代の Web マッピング アプリケーションであり、高速モードまたはフル セットアップ モードを使用して迅速かつ容易にアプリケーションを構築できます。

言語の切り替え

アプリの利用者がドロップダウン リストから言語を選択し、Web アプリ内で言語を切り替えることができるようになりました。アプリの作者は、アプリのヘッダー、詳細、情報パネルなどのユーザー定義のテキストを 1 つまたは複数の言語で入力できます。

その他、多くの新機能が追加されています。詳細は後日、本ブログにてご紹介します。

ArcGIS Dashboards

ArcGIS Dashboards は、直感的かつインタラクティブなデータ ビジュアライゼーションを使用して、位置を含む情報を簡潔に伝えることができます。ダッシュボードは、意思決定、トレンドの可視化、リアルタイムの状況把握、コミュニティへの情報提供などに利用されています。

Web シーン対応

ダッシュボードのマップ エレメントが Web シーンに対応しました。シーン内のレイヤーは、ビジュアライゼーション、セレクター、アクションを使用したフィルターなど、他のダッシュボード機能のデータ ソースとして使用できます。

このほか、モバイルでのアクションの改善やアクセシビリティの強化が行われています。詳細は、Esri 社のブログ記事 (英語) をご参照ください。

ArcGIS Experience Builder

スクロール ページや複数ページなど、柔軟なデザイン構成の Web アプリをノーコードで構築できる ArcGIS Experience Builder では、解析ウィジェットや近隣検索ウィジェットが新しく追加されました。詳細は後日、本ブログにてご紹介します。

データの管理

日付および時間フィールド

新しいフィールド タイプが追加され、日付と時間をさまざまな形式で保存できるようになりました。タイムスタンプのないデータや、複数のタイム ゾーンにまたがって収集されたデータに対応するフィールド タイプを選択できるようになりました。詳細は、Esri 社のブログ記事 (英語) をご参照ください。

コンテンツのカテゴリ

コンテンツとグループに使用できるカテゴリの上限が 200 から 900 に増加しました。コンテンツ カテゴリは、組織全体のコンテンツやグループ内のコンテンツを整理するために使用できます。コンテンツ カテゴリを使用すると、コンテンツの検索が容易になり、カスタム カテゴリを設定したり、ArcGIS、ISO、INSPIRE の標準カテゴリ セットを利用することもできます。

その他の新機能はヘルプをご参照ください。

注) バージョンアップされた内容を確実にご利用いただくために、お使いの Web ブラウザーのキャッシュ (インターネット一時ファイル) を削除してください。主な Web ブラウザーのキャッシュ削除方法については、以下のリンク先をご参照ください。

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