ArcGIS Experience Builder 2024 年 2 月の新機能紹介

柔軟なレイアウト設計、レスポンシブなデザインで Web アプリが構築できる ArcGIS Experience Builder (以下、「Experience Builder」) が 2024 年 2 月 28 日 (日本時間 2024 年 2 月 29 日) にアップデートされました。新しいウィジェットの追加に加え、既存のウィジェットに対する複数の機能強化が実装されました。実装には ArcGIS Web AppBuilder (以下、「Web AppBuilder」) からの移行を加味する内容も含まれます。
本ブログでは、追加されたウィジェットと主な機能強化についてご紹介します。

新しいウィジェット

選択ウィジェット

新たなウィジェットとして「選択ウィジェット」が追加されました。本ウィジェットは、Web AppBuilder の選択ウィジェットの代替として機能します。属性選択または空間選択でレイヤーからフィーチャを選択したり、他のデータとの空間的関係を指定したりできます。

また、テーブル ウィジェットリスト ウィジェットのように他のウィジェットの選択を表示したり、下図のようにデータの追加ウィジェットで追加したデータを使用してフィーチャを選択したりすることもできます。

既存ウィジェットの機能強化

フィルター ウィジェット

フィルター ウィジェットで複数のレイヤーに対して同じフィルターを適用できるようになりました。この機能強化は、Web AppBuilder のグループ フィルター ウィジェットの代替機能として実装されました。
[新しいグループ] オプションで作成したフィルターの設定で、対象とする複数のレイヤーと対象のフィールドを指定し、演算子と値で式を定義します。

この方法で作成すると、ある 1 つのフィルターを適用する操作で、そのフィルターで指定したすべてのレイヤーで表示するフィーチャを同時に絞り込めます。

ボタン ウィジェット

ボタン ウィジェットでは、新たに「ボタンをクリック」トリガーを利用できるようになりました。今回のアップデートではサイドバー ウィジェットとの連動が可能になり、ボタン ウィジェットを利用してサイド パネルを展開 / 折りたたみが可能です。

今後、サイドバー ウィジェット以外のウィジェットでも「ボタンをクリック」トリガーを使用したアクションが追加される予定です。

解析ウィジェット

解析ウィジェットでは複数の機能強化が実装されました。今回は、その中からラスター解析ツールと入力フィーチャの描画をご紹介します。

ラスター解析ツール

解析ウィジェットの空間解析ツールにラスター解析ツールが追加されました。また、解析ツールに新たにラスター関数が実装されました。なお、ラスター解析ツールおよびラスター関数を利用する場合は、ArcGIS Image for ArcGIS Online エクステンションと解析を実行する権限が必要となりますので、ご注意ください。

入力フィーチャの描画

解析ウィジェットの [入力レイヤー] に、[入力フィーチャの描画] オプションが追加されました。解析の実行時に、描画ツールで作成したフィーチャを入力レイヤーとして使用できます。描画可能な図形は、ポイント・ライン・ポリゴン・四角形・円です。

ウィジェット コントローラー ウィジェット

ウィジェット コントローラー ウィジェットレイアウト ウィジェットを追加できるようになりました。固定パネルやサイドバーといったウィジェットをウィジェット コントローラーを利用することで、簡単に展開 / 折りたたみができるようになります。

マップ レイヤー ウィジェット

マップ レイヤー ウィジェットでは、新たに [レイヤーの順序変更] と [検索レイヤー] オプションを利用できるようになりました。これにより、アプリの利用者がレイヤーの順序を変更したり、レイヤーを検索したりできます。

チャート ウィジェット

チャート ウィジェットで [フィールドで分割] オプションが利用できるようになりました。利用できるチャート タイプは、バー・カラム・ライン・エリアの 4 つです。

近隣検索ウィジェット

近隣検索ウィジェットでは、データの追加ウィジェットで追加したデータを利用できるようになったほか、レイヤーの全フィーチャを含む検索が可能になり、パネルにシンボルを表示できるようになりました。

データの追加ウィジェット

データの追加ウィジェットでは、GPX ファイルを追加可能になりました。また、コンテンツ検索のカテゴリに「グループ レイヤー」が追加されました。

Business Analyst ウィジェット

対話的なインフォグラフィックスを使用した指標や情報の視覚化を可能にする Business Analyst ウィジェットでは、以下に記載した多くの機能が実装されました。

ワークフロー モード

  • デフォルトのインフォグラフィックスを設定できるようになりました。
  • バッファーの設定にインクリメント ボタンの表示が追加されました。
  • 選択されたインフォグラフィック テンプレートの数に基づいて、インフォグラフィックス リストのサイズが自動調整されるようになりました。

プリセット モード

  • ウィジェット内に表示する操作案内テキストが編集可能になりました。

その他

  • マップ ウィジェット内に追加される Business Analyst ウィジェット検索バーの追加 / 削除オプションが追加されました。
  • 国・地域単位で複数のデータ ソースを持つ場合に、データ ソースの選択オプションが選択可能になりました。
  • Web メルカトル図法以外の投影法による Web マップをサポートします。

Business Analyst ウィジェットの新機能および機能強化の詳細は、「ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps (2024 年 2 月アップデート) の新機能」をご参照ください。

その他の機能強化

データ アクション

データ アクションに新たに [統計] オプションが追加されました。また、選択レコードをアイテムとしてエクスポートできるようになりました。

[設定] ボタン / [設定] パネル

サイド ツールバーに [設定] ボタンが追加されました。[設定] パネルでは、ブラウザー タブで表示されるファビコンの設定や、アイテム詳細ページでのサムネイルとサマリーを設定できます。

また、アプリのタイム ゾーンを表示デバイス依存・特定 (タイム ゾーンの指定)・データ依存の 3 つから設定できるほか、アプリで利用可能にする URL パラメーターを設定できます。

ウィンドウ

ウィンドウの設定に [ブロック ページ] オプションが追加されました。このオプションは [固定] モードの場合に適用され、オフにすることでウィンドウの操作に加え背景のアプリを操作できるようになります。
また、ウィンドウの新たなテンプレートとして [注釈]、[アイテム情報] が追加されました。

おわりに

今回のアップデートでは、新しいウィジェットの追加や多くの既存ウィジェットで機能強化が実装されました。これらのアップデートに加え、今後もさらなる機能強化による成長をつづける ArcGIS Experience Builder をぜひご活用ください。

関連記事

以下、ArcGIS Experience Builder の関連ドキュメントも合わせてご参照ください。

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