他の人から共有されたデータが、どのような処理や手順で作成されたものか知りたいと思ったことはありませんか?今回は、そんなときに参照すべきジオプロセシング履歴についてご紹介します。
目次
履歴ウィンドウ
ArcGIS Pro では、プロジェクトにおいて、ジオプロセシング ツールの実行履歴が保存されます。そのため、丸ごとプロジェクトを共有することで、共有された側もその実行履歴を [履歴] ウィンドウで参照することができます。
履歴ウィンドウの表示
[解析] タブ → [履歴] から [履歴] ウィンドウを開きます。
[履歴] ウィンドウの [ジオプロセシング] タブでは、プロジェクトで実行したジオプロセシング ツールの実行履歴を確認することができます。各履歴をダブル クリックすると、過去に実行した際のパラメーターが設定された状態でツールを開くことができます。
履歴を右クリック → [詳細の表示] から詳細を表示すると、実行した結果のパラメーターやメッセージを確認することも可能です。
履歴を削除したい場合は、履歴を右クリック → [削除] から削除できます。
履歴の活用
Modelbuilder に追加
履歴を右クリック → [モデルに追加] をクリックすると、実行したパラメーターも設定された状態で、ModelBuilder にツールを追加することができます。
Python で活用
履歴を右クリック → [Python コマンドのコピー]、[Python ウィンドウに送信]、[ノートブックに送信]、[Python スクリプトとして保存] においては、他の実行環境に履歴を送信したり、保存したりできます。
メタデータ
アイテムを説明する情報は、メタデータと呼ばれます。メタデータは、説明するアイテムとともに、ジオデータベース アイテムの場合はジオデータベースに、プロジェクト アイテムの場合はプロジェクトに、ファイルベース アイテムの場合はファイル システムに保存されます。メタデータにはさまざまな情報が保存されますが、ジオプロセシング ツールのツール名、パラメーター、ツールを実行した日時などの情報を含めることができます。
メタデータの表示
[コンテンツ] ウィンドウ、または [カタログ] ウィンドウでアイテムを右クリック → [メタデータの表示] をクリックします。
[カタログ] ビューのメタデータが表示されます。
デフォルトでは、メタデータにはアイテム説明のみが表示されます。メタデータの表示設定を変更し、ジオプロセシング履歴が表示されるようにします (このアイテムは、特にメタデータが設定されていないため、内容が記述された箇所は見られません)。
[プロジェクト] タブ → [オプション] → [メタデータ] → [メタデータ スタイル] において、デフォルトの「アイテム説明」以外の任意のスタイルを選択し、[OK] をクリックします。
再度アイテムのメタデータを参照すると、[ジオプロセシング履歴] が表示され、このデータの作成時に使用されたジオプロセシングの情報が参照できます。
メタデータの編集
メタデータにジオプロセシング履歴が含まれていることは便利である一方、削除したい場合もあるのではないでしょうか。これらは、アイテムのメタデータの編集権限があれば、削除することも可能です。
[コンテンツ] ウィンドウ、または [カタログ] ウィンドウでアイテムを右クリック → [メタデータの編集] をクリックします。
アイテムのメタデータを編集するには、適切な権限を持っている必要があります。[メタデータの編集] をクリックした際に以下のような警告が表示される場合は、メタデータがすでに参照されており読み取り専用となっているか、そのアイテムに対して、メタデータを編集する権限が無い可能性があります。詳細は「メタデータの編集」をご参照ください。
[コンテンツ] ウィンドウ に表示されるメタデータのツリーから [ジオプロセシング履歴] を選択し、レコードを選択して、[削除] をクリックし、[保存] ボタンをクリックします。
メタデータ ビューにおけるジオプロセシング履歴の削除は、ArcGIS 3.3 以降で可能です。それ以前のバージョンでは、arcpy.metadata Python モジュールの deleteContent メソッドのオプションを利用して、アイテムのジオプロセシング履歴を削除できます。
再度メタデータを参照すると、ジオプロセシング履歴が消えていることが確認できます。
もし、編集時に [削除] がグレーアウトしている場合は、削除が許可されていない可能性があります。[プロジェクト] タブ → [オプション] → [メタデータ] → [メタデータ スタイル] において、[メタデータからのジオプロセシング履歴の削除を許可] チェックボックスがオンになっているか確認しましょう。
ジオプロセシング オプション
[履歴] ウィンドウや [メタデータ] ビューで過去の実行履歴を確認、編集できることをご紹介しましたが、このような履歴をそもそも残したくないケースもあるのではないでしょうか。また、履歴を残すことで、ファイル容量が意図せず増えてしまう場合もあります。履歴を残さないと決めている場合は、あらかじめオプションを設定しておくことをお勧めします。
設定方法
[プロジェクト] タブ → [オプション] → [ジオプロセシング] → [ログ] において、 [ジオプロセシング操作をジオプロセシング履歴に書き込む]、[ジオプロセシング操作をデータセット メタデータに書き込む] チェックボックスはデフォルトではオンになっています。
この 2 つを必要に応じてオフにすることで、履歴を残さない設定にすることができます。
まとめ
[履歴] ウィンドウではプロジェクト内で実行された処理を確認することができ、他にもさまざまな活用が可能です。また、メタデータにはさまざまな説明を正しく設定することで、データの利活用を図ることができます。詳細は「ジオプロセシング履歴」、「メタデータ編集のベスト プラクティス」をご参照ください。