【WhereNext】北米で小売業の倒産件数が増加!しかしそれは本当の話ではない ~GIS を活用した立地分析~

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2023 年、北米を中心に 800 以上の店舗を展開し、台所用品や寝具を取り扱っていた “ベッド・バス・アンド・ビヨンド” が倒産し、リネンの通路は空になり、象徴的な看板も消えた。2023 年に米国で倒産した小売企業26社のうちの 1 社で、2020 年以降で最多となった。2024 年はそれを上回るペースだ。

景気後退ではなく、ダイナミック・シフトと呼ぶべきだろう。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米国の小売企業は 2024 年に閉店数を上回る店舗をオープンする見込みだが、適切なスペースを見つけるのは難しいかもしれない。店舗が多く入る商業施設の建設は、インフレと金利上昇の影響で遅れており、小売業の空室率は低い。

コミュニティ重視、オムニチャネル、体験型ショッピングなど、新しい消費者の嗜好に適応した企業は、他の小売企業が失敗した場所での事業拡大を模索している。

ビジネスの成功において常に重要な要素である「立地」 は、今やさらに重要性を増している。小売業の空室率が低い中、小売企業は市場を分析し、顧客がいる場所に出店しなければならないというプレッシャーを感じている。

拡大には正確さが求められ、直感だけでは不十分である。小売企業は、膨大な量の顧客データを保有しており、販売取引、ロイヤリティ・プログラム、オンライン上の取引から、顧客が誰であるかを知ることができる。顧客データと位置情報を組み合わせることで、顧客がどこにいるのか、どのように顧客を取り込むのか、といった貴重な洞察が浮かび上がる。トップクラスの小売企業は、このような分析に地理情報システム(GIS)テクノロジーを活用している。

小売店の空室率が低いときのサイコグラフィックのマッピング

条件に合致した立地が不足する中、経営幹部はデータ分析で競争力を高めようとしている。

ライフスタイルや嗜好、価値観、購買動機といった心理的属性を調査するサイコグラフィック調査は、人口統計データを基に市場をセグメント化し、店舗開発担当がターゲットとする顧客をより深く理解するのに役立ちます。サイコグラフィック・プロファイルは、消費者グループの態度、動機、価値観、意見、その他の特徴から構成され、GIS テクノロジーは、地理的な情報(ロケーション・インテリジェンス)に基づいたサイコグラフィック調査を支援する。

世界最大の商業小売企業のひとつは、その地域に合ったショッピングセンターを設計する際に、サイコグラフィックを分析している。ある地域では、GIS に基づいた分析によって、あるショッピングセンターが家族連れに人気のスポットであることがわかった。この情報をもとに、同社は家族中心のイベント、コンサート、ヨガ教室、ペットフレンドリーなアメニティのためのス ペースを追加し、小売店の空室率を 10% 以下に抑えた。

オムニチャネルの販売データでスマートな事業拡大を実現

ロケーション・インテリジェンスは、人気のワークアパレルブランドの拡大戦略にも役立っている。

同社のオムニチャネル戦略が成熟するにつれ、経営幹部たちは、拡大する e コマースのプレゼンスと、自社ブランドの店舗やアパレルを扱う小売パートナーの店舗を含む実店舗の業績との関係を理解しようと努めた。

GIS テクノロジーは、顧客の行動を文脈化し、意思決定者が場所ごとの業績を見る方法を提供するのに役立った。そして現在では、予測まで可能になっている。その企業は「Carhartt Wins in Omnichannel with Customer Focus, Location Intelligence」の中で以下の紹介されているように、GIS を高度に活用している:

…複数のチャネルの売上データを消費者の属性情報とともに分析し、地理的な市場がどのように推移するかを予測する、ロケーション分析の高度な形態である。オムニチャネル小売企業にとって、戦略立案の次のステージとなる。

事業拡大の機会が限られている今、当てずっぽうで進出するのは危険すぎる。GIS を活用した立地分析により、アパレルブランド、飲食店チェーン、食料品店などの小売業者は、次の進出先を決定する際に、データを指針に変えている。

この記事は WhereNext のグローバル版に掲載されたものです。