ArcGIS Business Analyst Web (以下、BA Web) は、意思決定のための人口統計解析・空間解析を可能にするクラウド型 GIS アプリケーションです。ArcGIS Online がベースになっており、自社保有データと国内外の最新統計データを用いて商圏分析を行い、解析結果を手軽に共有できます。
本記事では、これから BA Web を始める方や初心者の方に向けて、マッピング機能や解析機能、ライセンスについて紹介します。
2025 年 6 月のアップデートにおける ArcGIS ユーザー タイプ更新に伴い、ArcGIS Online で Creator 以上のライセンスをお持ちの方は、「ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps Standard」を追加ライセンス無しで利用できるようになりました。
目次
BA Web へのアクセス方法
BA Web へは、以下の方法でアクセス可能です。
- ArcGIS Online に Creator 以上のユーザー アカウントでサインインします。
- 画面右上の [アプリ ランチャー] から Business Analyst を選択します。
ライセンス
BA Web のライセンスには、Standard ライセンスと Advanced ライセンスの 2 種類があります。Standard ライセンスでは、人口統計のマッピングやエリアの人口統計を視覚的で分かりやすいレポートとして表示する「インフォグラフィックス」を作成し、それらをほかのユーザーと共有することができます。さらに、Advanced ライセンスでは高度な解析、カスタムレポートや独自データを用いたカスタム インフォグラフィックスの作成、独自のカスタムデータの利用、ArcGIS StoryMaps や ArcGIS Dashboards への共有が可能です。
ライセンスの種類に基づく機能にはいくつかの違いがあります。詳細は BA Web 製品ページをご確認ください。
Sandard ライセンスでできる機能
一部の操作動画は、日本語字幕を利用可能です。ビデオを開いたら、画面右下の [CC] ボタンをクリック → [Settings] → [Ja] を選択してください。
マッピング機能
カラーコード マップ | 操作動画
カラーコード マップを用いると、地図上のエリアを特定の数値やカテゴリーに応じて色分けし、視覚的に情報を得られます。複数の統計データを色の濃淡や色相で表現し、地域ごとの違いを直感的に把握することも可能です。
スマート マップ サーチ | 操作動画
スマート マップ サーチは、地図上で条件に合致するエリアを対話的に見つける機能です。たとえば、以下の画像のように「人口が 10 万人以上で、平均世帯年収が 450 万円以上の地域」など複数の条件を設定すると、その条件を満たす場所が色分け表示されます。
目標物 (POI) 検索 | 操作動画
特定の目標物 (POI) を地図上で探す機能です。たとえば「コンビニ」「カフェ」「病院」などのカテゴリーを指定すると、該当する施設の位置情報が表示され、周辺の環境や競合状況を把握できます。
解析機能
ベンチマーク比較 | 操作動画
ベンチマーク比較は、選択したエリアの指標を、各エリアの平均値や中央値といった基準値や他のエリアの値と比べて評価する機能です。基準との差をマップ上で色分けして表示することで、直感的にどのエリアとどれだけ差があるのか理解できます。
インフォグラフィックス | 操作動画
インフォグラフィックスは、解析結果を視覚的にわかりやすく伝えるレポートです。地図やグラフ、指標を組み合わせて、複雑なデータを直感的に理解できるようにします。これにより、意思決定に必要な情報を簡潔かつ効果的に共有できます。
その他の機能
Business Analyst アシスタント (プレビュー版) | 操作動画
BA Web の操作を支援する AI アシスタントです。自然言語のプロンプトを用いて、マッピングや解析、レポート作成などのワークフローを実行できます。
Advanced ライセンスでできる機能
解析機能
適合性解析 | 操作動画
適合性解析は、複数の条件や重み付けを組み合わせて、特定の目的に最も適したエリアを評価・ランク付けする機能です。ユーザーが設定した基準に基づき、各地域のスコアを算出して地図上で視覚的に表示します。
近傍解析 | 操作動画
近傍解析は、指定した地点やエリアを基準に、その商圏内にある目標物 (POI) を分析する機能です。距離や移動時間を設定し、近隣に位置している施設の情報を抽出することで、周辺環境の特徴を把握できます。
空隙解析 | 操作動画
空隙解析は、既存の施設やサービスの分布を基に、未充足または不足しているエリアを特定する機能です。需要に対して供給が不足している地域を視覚的に示し、潜在的な機会を明確化します。
限界値エリア | 操作動画
限界値エリアは、指定した指標に対して任意の値 (限界値) を設定し、その条件を満たすまでエリアを拡大する機能です。ユーザーが定義した限界値を基に、地図上で該当エリアを強調することで、条件に合致する地域を迅速に特定できます。
カスタム インフォグラフィックス | 操作動画
Advanced ライセンスをお持ちの方は、既存のインフォグラフィックス テンプレートを修正したり、独自のテンプレートをゼロから作成したりすることができます。
まとめ
今回紹介した機能を、ライセンスごとに整理すると以下のようになります。
| 機能 | ライセンス | |
| Standard | Advanced | |
| カラーコード マップ | 〇 | 〇 |
| スマート マップ サーチ | 〇 | 〇 |
| 目標物 (POI) 検索 | 〇 | 〇 |
| ベンチマーク比較 | 〇 | 〇 |
| インフォグラフィックス | 〇 | 〇 |
| Business Analyst アシスタント | 〇 | 〇 |
| 適合性解析 | 〇 | |
| 近傍解析 | 〇 | |
| 空隙解析 | 〇 | |
| 限界値エリア | 〇 | |
| カスタム インフォグラフィックス | 〇 | |
BA Web は、本記事で紹介した機能以外にも、自社データを取り込んだり、解析結果を PDF 形式や Excel 形式で出力したりと多種多様な機能を備えています。初めてのユーザー向けには、操作方法をポップアップ ガイドに従いながら学ぶことができるガイド ツアーを用意しています。初歩的な操作から高度な操作まで、簡単に習得できるので、ぜひご活用ください。
この記事は、Discover the power of ArcGIS Business Analyst Web App Standard: Now included for Creator and above user types を参考に作成しました。

