2021 年 2 月 10 日に ArcGIS Pro 2.7 をリリースしました。
バージョン 2.7 では、ArcGIS Pro で可視化や解析を行った結果を共有するための以下の新機能が追加されました。
・Web レイヤーおよびマップ サービスのサービス定義ファイルの保存
・編集ワークフローをサポートしたビルディング シーン レイヤーの公開
・サブタイプ グループ レイヤーの ArcGIS Online への共有
・タイル スキーマ オプションの自動設定
・新しいバージョンのクライアント アプリケーションで使用できるシンボル スタイルの制御
今回は、サービス定義ファイルの保存と、編集ワークフローをサポートしたビルディング シーン レイヤーの公開の 2 点についてご紹介します。
サービス定義ファイルの保存
サービス定義ファイル (*.sd) とは、ArcGIS Pro から Web レイヤーなどのサービスを公開する際に必要なすべての情報 (プロパティ、機能やサービス タイプ) が含まれたファイルのことで、ArcGIS Pro 2.7 では、これをファイルとして任意の場所に保存できるようになりました。
サービス定義ファイルの保存は、以下のようなシナリオの場合に便利です。
・インターネットから切断された環境で ArcGIS Pro を使用しているユーザーが、マップやレイヤーをポータルに公開したい場合
・ステージング環境と実稼働環境のように、複数の環境に対してまったく同じアイテムを公開したい場合
ここでは、ArcGIS Pro から ArcGIS Online への接続ができないオフラインの環境で、Web フィーチャ レイヤーのサービス定義を保存し、別のオンラインの環境からレイヤーを ArcGIS Online に公開する方法についてご紹介します。
- [共有] タブの [Web レイヤー] → [オフライン サービス定義として保存] をクリックします。
マップ内の 1 つまたは選択した複数のレイヤーを共有する場合は、[コンテンツ] ウィンドウでレイヤーを右クリック → [共有] → [オフライン サービス定義として保存] をクリックします。
- [オフライン サービス定義として保存] ウィンドウが表示されます。アイテムの名前、概要、タグを設定し、[データおよびレイヤー タイプ] でレイヤー タイプを選択します (今回は [フィーチャ])。
出典:植生調査(1/50,000縮尺)- 第2-5回植生調査重ね合わせ植生(環境省生物多様性センター)
(http://gis.biodic.go.jp/webgis/sc-023.html)
- [ステージングの完了] で [分析] をクリックし、問題がなければ [保存] をクリックしてサービス定義ファイル (*.sd) を保存します。
- 保存したサービス定義ファイル (*.sd) を ArcGIS Online に接続できる別の環境へ移動し、Web ブラウザーで ArcGIS Online にサイン インします。
- [コンテンツ] ページ → [アイテムの追加] → [コンピューターから] をクリックし、[コンピューターからアイテムを追加] ダイアログの [ファイルの選択] からサービス定義ファイル (*.sd) を選択します。[このファイルをホスト レイヤーとして公開します。] をオンにすると、直接 Web フィーチャ レイヤーとして公開することができます。
- タグを設定し、[アイテムの追加] をクリックすると、Web フィーチャ レイヤーが作成されます。
編集ワークフローをサポートしたビルディング シーン レイヤーの共有
ArcGIS Pro では、オートデスク社の Revit モデルを直接読み込んで ArcGIS Online へ「ビルディング シーン レイヤー」として共有することができますが、ArcGIS Pro 2.7 ではその機能が拡張されました。
これまで、ArcGIS Pro から ArcGIS Online へビルディング シーン レイヤーを共有する場合は、キャッシュをローカルで構築し、シーン レイヤー パッケージ (*.slpk) と Web シーン レイヤーが公開されていましたが、ArcGIS Pro 2.7 では、キャッシュを ArcGIS Online 上に構築し、関連フィーチャ レイヤーと Web シーン レイヤーを公開するオプションが追加されました。
キャッシュを ArcGIS Online 上で構築するには、[Web レイヤーとして共有] ウィンドウの [構成] タブで、[キャッシュ] を [オンライン上にキャッシュ] に設定します。
※このオプションを使用した Web シーン レイヤーの公開は、ArcGIS Online のクレジットを消費します (テクスチャ付き 1,000 マルチパッチ フィーチャにつき 1 クレジット、テクスチャなし 5,000マルチパッチまたは 5,000 ポイント フィーチャにつき 1 クレジット)。
これにより、ArcGIS Online の 2020 年 12 月アップデートで追加された新機能が使用できるようになります。
ビルディング シーン レイヤーは、関連フィーチャ レイヤーの属性を参照して、シーン レイヤーの属性やシンボルが表示されるようになり、シーン レイヤーのキャッシュを更新しなくても、フィーチャ レイヤーに対して行った編集が反映されるようになりました。また、ビルディング シーン レイヤーのフィーチャの検索もできるようになりました。
そのほかの新機能については、「ArcGIS Pro 2.7 の新機能 Web ヘルプ」をご参照ください。
また、3 月 10 日 (水) には、「ArcGIS Pro 2.7 新機能ハイライト ~ArcGIS 活用ウェビナー~」において、新機能についてデモンストレーションを交えてご紹介します。お申し込みの上、是非ご参加ください。
次回の ArcGIS Pro 2.7 新機能紹介記事では、解析機能の新機能についてご紹介します。
■関連リンク
・Web ヘルプ: サービス定義の保存の概要
・Web ヘルプ: Web シーン レイヤーの構成
・ArcGIS Pro 2.7 新機能:マッピング & ビジュアライゼーション
・ArcGIS Pro 2.7 新機能: ラスター & イメージ
・ArcGIS Pro 2.7 新機能 : GNSS (GPS) デバイスを接続して位置情報が利用できるようになりました!