【WhereNext】企業が太陽光発電の可能性を見逃さないために

2022 年、サステナビリティ担当者は多忙を極めましたが、その勢いは今後も衰える気配はありません。ウクライナでの戦争を発端とした原油価格の高騰や、バイデン大統領のインフレ抑制法における再生可能エネルギー税控除など、世界レベルの出来事が、企業による風力や太陽光といったグリーンエネルギーの導入を後押ししています。

また、コスト削減、レジリエンスの追求、ネットゼロへの取り組みが、ビジネスリーダーの太陽光発電システムへの投資に拍車をかけています。太陽光エネルギーの全国業界団体である SEIA によると、米国では 2022 年上期までに、約 19 ギガワットの商業用太陽光発電が設置されたといいます。これは米国の総太陽光発電容量の 14 %に相当します。

太陽光・風力発電プロジェクトを導入する企業にとって、地理情報システム(GIS)はビジネスやインフラの計画・立案に長い間役立ってきました。GIS ダッシュボードで、エネルギー需要、開発計画、建設、継続的な運営を一元的に把握することができます。

この地理的アプローチは、企業の敷地、空港、小売センター、製造工場、未開発の土地の太陽光ポテンシャルを評価する際にもその威力を発揮します。例えば、クロアチアのコプリブニツァ市は太陽光発電の企画における良い例でしょう。同市の開発者は、市内の建物に設置されたソーラーパネルの ROI(投資利益率)とネットゼロへの貢献度を推定する GIS アプリを作成しました。

「GIS ソフトウェアは太陽高度、雲量、屋根の位置などを科学的に分析し、ネットゼロ目標とエネルギーコストにおける最大効果を持つソーラーパネルの設置場所を明らかにします」

太陽光発電の可能性と収益の最適化

このビデオは、クロアチアのコプリブニツァ市における GIS を活用したアプリの動作の様子です。位置情報と建物の毎月の電気代を入力することで、その建物をまかなう電力に必要な太陽光発電システムの規模を推測してくれるアプリです。


さらに、投資計算、コスト推定、節約額、投資回収期間、システムのライフサイクルが終了するまでに生み出す総利益の概算見積りまで見ることができます。

この位置情報分析は、施設管理者やサステナビリティ担当者が、経営幹部に対して太陽光発電のメリットを説明する際の重要なデータとなるでしょう。GIS で、投資で所有者が削減できる二酸化炭素排出量を自動的に計算し、その削減量に相当する自動車や電車の乗車回数を表示することもできます。

つまり、ロケーションインテリジェンスによって、ソーラーパネルの設置を最適化し、ネットゼロの実現と節約を最大化することができるのです。

同じ地理的アプローチは、経営者が太陽光発電の可能性について複雑な意思決定をする際にも役立ちます。多くの企業がオンサイト型パネルを採用している一方で、オフサイト型の商業用太陽光発電も急速に普及しており、現在では全商業用太陽光発電の半分以上を占めています。

大規模なデータセンターと膨大なエネルギー需要を持つIT企業は、いわばソーラー革命の最前線に立っており、多くの企業が大規模なオフサイトストレージ施設を建設しています。例えば、SNS 広告事業やメタバース事業を展開する米国 Meta 社は、米国で最大の太陽光発電施設を所有しています。(執筆時点)

上のビデオで紹介されているような位置情報の技術を使えば、施設管理者やサステナビリティ担当者は、オフサイトとオンサイトのソーラーパネルを最適に組み合わせて計画することができます。また、投資を行う前に、企業のリーダーたちは資産やその運営のデジタルツインを活用して、人口密度、送電線へのアクセス、絶滅危惧種の存在などの変数に基づいた結果を予測することができるのです。

いくつものデータレイヤーと、1つの事業戦略図

昨今のビジネスは、データストリームを融合して戦略を提供できる技術を必要としています。GIS は地理的、財務的、その他の考慮事項を1つの事業戦略図にまとめ、ソーラーパネルなどのサステナビリティ投資のコストと利益を明らかにします。

これは GIS ソフトウェアの進化における更なる一歩です。GIS はマップ上の点と点を整理するだけでなく、企業全体のロケーションインテリジェンスと意思決定に役立つ重要な情報源となっています。

この記事は WhereNext のグローバル版に掲載されたものです。
原文: NextTech: Seeing a Company’s Solar Potential