はじめに
登記所備付地図とは、登記記録だけではどこに位置しているか不明だった土地の位置・区画(筆界)を明確にしたデータになります。そんな登記所備付地図は 2023 年 1 月に G空間情報センターで公開されて以降、GIS を使用して様々な用途で使用されてきました。
当初は XML 形式でのみの公開で、GIS 上に取り込むためには、変換ツールで GIS で取り込むことが可能な形式にする必要がありました。ESRIジャパンでも、ArcGIS でご利用いただけるような形式に変換を行うための変換ツールを提供しております。
現在は、シェープ ファイルでの提供も開始され、GIS ですぐに表示できるような形式で提供されております。ESRIジャパンでも誰でもすぐにデータをご利用いただけるように、ArcGIS Living Atlas of the World というどなたでも無償でご利用いただけるサービスに、本データの一部地域のデータを公開しております。
Living Atlas に登録されているデータについて
Living Atlas では現在、東京都、愛知県、福岡県のデータを公開しております。公開しているデータは、座標系が公共座標系のもので、地区外地番を除去した筆(ポリゴン)のデータとなっております。
また絵として見るだけでなく、地番の情報や、住所コードや市区町村名などの属性情報をもっており、その地点の情報について確認を行うことができます。
ArcGIS を使用した地番検索の活用事例
ではこのデータを使用して ArcGIS 上で地番検索を行う方法をご紹介いたします。
まず ArcGIS Online 上で行う地番検索機能のご紹介です。上記の Living Atlas に登録しているデータを Web Map に保存し、以下の設定を行うことで ArcGIS Online の検索ボックスで地番の住所を検索することができるようになります。
上記の設定を行い、再度 ArcGIS Online に戻ると、検索欄に先ほど指定したフィールドを使って検索ができるようになっており、検索欄に地番の住所を入れて検索を行うと、その地番の住所を検索することができました。
もう一つ地番検索を行う方法があります。それは ArcGIS Pro を使用して、ロケーターを作り地番検索を行う方法です。
ロケーターとは、文字情報と位置情報・座標がセットになったデータベースを使用して、文字(住所や店舗名など)を入力すると座標値を返してくれる、仕組みのことをいいます。(詳細はこちらのページをご参照ください。)このロケーターを作ることで、1つ目の検索方法ではできなかった、複数の地番住所を一括で特定するジオコーディングが可能になります。
ロケーターを作成するにはデータをポイント化する必要があります。ポイント化することで、ロケーターを使用して場所検索を行うと右側のオレンジ色のポイントに検索結果を表示させることができます。
ポイント化後、[ロケーターの作成]ツールを使用してロケーターを作成します。
必要なパラメーターを当てはめてロケーターを作成することで、以下のように地番を検索可能なロケーターを作成することができるようになります。
以上が登記所備付地図データを ArcGIS で活用した事例のご紹介となります。
ArcGIS を利用することで、データを見るだけでなく様々な方法でご活用いただけるようになっておりますので、ぜひこちらのデータを ArcGIS でご活用いただければと思います。