ArcGIS Arcade(以下「Arcade」) は簡単なプログラミングをすることでさまざまな要素をカスタムすることができます。プログラミングと聞くと難しいと感じる方もいるかと思いますが、今回は自然言語でやりたいことを入力することで Arcade の構文を作成してくれる Arcade アシスタントという AI の機能を使用して、簡単にリッチな Web マップを作成します。
本記事は、ArcGIS で利用できる AI を紹介する Esri Japan AI Weeks 7 日目の内容です。ぜひ他の投稿もチェックしてみてください
本記事で取り上げる AI は2025年9月現在ベータ版での提供となっております。
ESRIジャパンで提供する Esri 製品サポート サービスや開発者サポート サービスはご利用いただけませんので、予めご了承ください。
また、本記事で紹介するプロンプトを使用しても内部の処理や状況によって出力が異なる場合があります。
ArcGIS における AI の信頼性についてはこちらの記事をご参照ください。
目次
はじめに
Arcade は、JavaScript ライクな ArcGIS 独自の式言語で、さまざまな ArcGIS 製品で使用できます。制御文を書くことや、独自の関数を使ってデータ操作やジオメトリー演算が可能です。Arcade を使用することでさまざまなマップで動的な属性値の計算やカスタムされた要素の表示ができます。例として以下のようなことができます。
- ラベルのテキストの書式設定
カンマを含む数値、さまざまな形式の日付、またはテキストが置き換えられ、大文字と小文字が適切に区別された文字列など - レンダリング用の値の計算
複数の列から 1 つのカテゴリーへの属性の分類や、さまざまな属性を数式への入力として使用して数値を計算など - ポップアップで値を計算
フィーチャの値に応じて条件付きでレンダリングされるポップアップ要素を動的に作成
Arcade を利用するには、プログラミングの知識が少なからず必要になるため、ハードルが高いと思われる方もいるかと思います。そういった方向けの機能が Arcade アシスタントです。
Arcade アシスタントは、自然言語で入力された指示から AI が Arcade の条件式を生成します。この機能は現在、ArcGIS Online の Map Viewer でのみ使用できます。
Arcade アシスタントを使用することで大きく以下の 2 つの利点があります。
- 効率
一から Arcade 式を記述する際は処理によっては時間がかかることがあります。それを自然言語の命令で AI によって構文が提供されることで、複雑な論理文、構文の癖、およびフィールド名の誤りを低減することができます。 - 初心者のサポート
プログラミング知識が無く自分ではできないという方も自然言語で命令することで構文が提供されるため、プログラミングの知識が無くても Arcade を使用したカスタム コンテンツを利用するハードルを下げることができます。
Arcade アシスタントの利用条件
Arcade アシスタントは以下の 3 点を満たすことで利用することができます。
- ArcGIS Online 組織アカウントにサイン インをする。
- 組織の設定で Arcade アシスタントの使用を有効化する。
- 組織はベータ機能の利用を許可する。
Arcade アシスタントの利用方法
利用条件を満たすことで Arcade アシスタントを利用することができます。Arcade アシスタントは Map Viewer の以下の機能で Arcade エディターを開くことで利用できます。
- ラベル
- レイヤーのスタイル
- ポップアップ属性
- ポップアップのエレメント
- 集約
Arcade アシスタントを利用する際は以下の手順で利用することができます。
- Arcade エディターを開きます。
- 右のメニュー バーにある [Arcade アシスタント] ボタン(下から 2 つ目)をクリックします。
- 開始時の説明ダイアログが表示されるため [Proceed] ボタンをクリックします。
- テキスト入力欄が表示されるため自然言語で行いたい処理を記述して [生成] ボタンをクリックします。
- 処理結果がテキスト入力欄の下に表示されます。処理結果を反映したい場合は処理結果の左下部にある適当なボタンをクリックして左のスクリプト エリアに反映できます。
次のページは:■実際に Arcade アシスタントを使用して Web マップを設定作成します。