ArcGIS CityEngine 2025.1 をリリースしました!

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ArcGIS CityEngine 2025.1 が 2025 年 12 月 1 日 (日本時間 12 月 2 日) にリリースされました。ArcGIS CityEngine 2025.1 では、新しい機能の追加や機能改善が行われています。ここでは、「What’s new in CityEngine 2025.1」を ESRIジャパンが翻訳し、加筆修正したものを紹介します。

CGA:ジオメトリー編集機能の強化

従来、CGA ルールでは組み込みの操作だけでジオメトリーを構築・編集していたため、どうしても直交的な形状になりがちでした。今回のアップデートで CGA は新たなジオメトリー編集機能により、ジオメトリー コンポーネントの変形や、分割したシェープ同士の再結合を直接行えるようになっています。

これにより、複雑な屋根形状、カスタムのボリューム モデル、精巧なレイアウトなど、より表現豊かなデザインが可能になります。プロシージャル モデリングは現代建築の表現ニーズに合わせて進化し続けています。

新機能の詳細

  • 編集操作: ジオメトリーの選択部分を変形・分割などで編集し、その後元のメッシュ トポロジーに再接続できるようになりました。
  • インラインの再結合: 分割したシェープを直接再結合できるようになります。例えば、面を連結したグリッド状に分割し、編集で新しい頂点をパラメトリック サーフェス上へ移動させる、といった操作が可能になります。
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ArcGIS CityEngine のサンプルでは、現代建築に着想を得た建物やファサードのコレクションを通して、最新の CGA 機能を確認できます。また、すぐに使えるプロシージャル コンテンツも提供されています。

利用可能なサンプルの詳細

  • マス モデル: ジオメトリー編集機能で実現したダイナミックで彫刻的な建物形状
  • ファサード: 六角形パターン、ツイスト形状、穿孔デザインなどを備えた現代的なファサード
  • コンポーネント集: 再利用可能な基本的なビルディング ブロック
A_ArcGIS_CityEngine_CGA_02

サンプルは ArcGIS Onlineのアイテム、または、ArcGIS CityEngine 2025.1 のメイン メニューの [Help] → [Download Tutorials and Examples] から直接ダウンロードできます。

Visual CGA:ノーコードでファサード設計

ESRI.lib にファサード コンポーネントが追加されたことで、プランナーやデザイナーは、これまでの概略的なマス スタディを、よりリアルなビジュアライゼーションへと変換できるようになりました。Visual CGA と拡大し続けるコンポーネント ライブラリーにより、専門的なプログラミング知識なしでより豊かなファサードのプロシージャル モデリングができるようになります。

強化された機能の詳細

  • マス ボリュームをフロアに分割したり、ファサード パターンを配置したり、窓や日除け (シェーディング) などの組み込み建築コンポーネントを追加して、現実感のある建物デザインを完成させることができます。
  • Visual CGA Editor に利便性と表現力を高める機能が追加されています。パラメーター接続で階数や窓の高さなどの情報をコンポーネント間で共有できるようになり、プロシージャル デザインの多様性と制御性が大きく向上します。
  • Visual CGA Editor に組み込みドキュメントが追加されました。各コンポーネントには概要説明が表示され、属性スロットや拡張ポイントにはツールチップによる説明が表示されます。
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Street Designer:レーン情報の強化

Street Designer においてレーンに関する機能が強化されました。

強化された機能の詳細

  • 道路レーンと歩道のシェープの区別を分かりやすくするため、歩道のシェープは以前よりわずかに濃い色で表示されるようになりました。
  • Street Designer のツールがアクティブなときには、歩道の形状と道路レーンの境界線がハイライト表示されるようになりました。
  • Viewport ウィンドウ内の Street Designer のポインター アイコンが見直され、現在どのツールがアクティブなのかが分かりやすくなりました。
  • Edit Lane ツールおよび Inspector ウィンドウ内の Lane Parameters セクションにおいて、レーン幅の最小値が 0.1 メートルに統一されるようになりました。
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そのほか、道路に関する強化は以下のとおりです。

レーンのオブジェクト属性の強化

レーンを適切に可視化するには、その利用目的、方向、幅、さらに同じセグメント内で隣接するレーンとの関係を理解する必要があります。この設計プロセスを強化するために、レーンの特性や、同一セグメント内での位置関係を表示するオブジェクト属性が新たに追加され、強化されました。

強化された機能の詳細

  • レーンが道路グループに属するのか、歩道グループに属するのかを確認できます。これらの属性は、レーンを編集したり移動したりすると自動的に更新されます。この機能により、より文脈に応じた、情報にもとづくストリート デザインが実現できます。
  • 独自の CGA レーン ルールをカスタマイズしている場合には、レーン マーキングの高度な詳細設定オプションを利用できるようになりました。ArcGIS CityEngine 2025.0 で導入された機能や作成したデザインを新しいカスタム ストリート構成として保存することで、後で再利用することもできます。
  • OSM (OpenStreetMap) データによる Get Map Data で作成されるレーンに対しても、オブジェクト属性が強化されています。新たに追加された osm_derived_lane_category により、Vehicle、Bus、Bike、Pedestrian といった利用タイプでレーンを検索できるようになりました。
  • 最新の ESRI.lib に含まれる Generic_Lane_for_OSM_Import CGA ルールでは、これらの新しいカテゴリーがどのように活用されているかを確認できます。このルールは OSM のストリートのインポート時にデフォルトで適用されます。このアップデートにより、Get Map Data は実際の道路構造に近づきました。
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ストリート構成のソート機能の追加

Street Configuration に新しく以下のソート オプションが追加されました。

  • 最近使用したもの (Recently used)
  • 最近追加されたもの (Recently added)
  • 幅が大きい順 (Highest width)

また、新たにリスト ビューが追加され、構成が縦方向に積み重ねて表示されるようになったことで、名前が長いストリート構成も読みやすくなっています。リスト ビューは、新しいソート オプションのすぐ右側に表示されます。

ストリート ジオメトリーのパフォーマンス向上

ストリートおよび Street Designer を扱う際のパフォーマンスを向上させるため、いくつかの改善が行われ、編集作業が滑らかになりました。また、交差点周辺のストリート ジオメトリーについてもビジュアルが向上しています。これらの機能により編集の安定性とビジュアル品質が向上します。

  • 小さな三角形 (細分ポリゴン) の削減
  • 交差点とレーンの境界に生じていた微小な視覚的ギャップの解消

Python 3 API (ベータ) 登場

Python 3 の導入により、これまでの「閉じた自動化ツール」としての Python 連携は、CityEngine API を利用して開発者が独自のソリューションやアプリケーションを構築できるオープンなプラットフォームへと進化しました。ArcGIS CityEngine は今では、ArcPy や ArcGIS API for Python といった他の Esri API に加え、数千のサードパーティ製ライブラリーとも統合できるようになりました。これにより、以下のような多様なユースケースが実現します。

  • ストリート ネットワーク分析
  • AI を活用したシーン編集
  • カスタム UI を用いたデータ入力フォームの作成

さらに、新しい UI により、複数の Python インタープリターや仮想環境を管理できるようになりました。プロジェクトごと、あるいはインタラクティブな Python コンソールごとに、特定のインタープリターや仮想環境を設定することができます。詳細は「Working with Python 3」を参照してください。Python 3 API とそのための新しい UI は ベータ版 として提供されています。既知の制限事項についても公開されています。

さいごに

ArcGIS CityEngine 2025.1 では、ジオメトリー編集機能や、Visual CGA のファサード設計、Street Designer のレーンの機能が追加・強化されました。これらの新機能を活用することで、より高度で柔軟な都市設計が可能です。是非、新機能を利用してみてください。

ArcGIS CityEngine を始めたい方や学習したい方はリソース集をご活用ください。

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