先週(7/12~16)、米国カリフォルニア州サンディエゴにて ESRIユーザ会が開催されましたが、ユーザ会開催に先立ち、各ユーザからの質問および回答をまとめたものを毎年 Web 上に公開しています。その中からいくつか重要な情報と思われる Q&A を今後何回かに分けて掲載していきますので、ぜひ参考にしてください。
【ArcGIS】
Q1. ArcGIS 9.x から ArcGIS 10 への移行は難しいのでしょうか?
A1. ArcGIS 9.x から ArcGIS 10 への移行は容易です。既存のデータ(マップ、レイヤ、ジオデータベース等)は全て ArcGIS 10 から直接読み込むことができます。逆に、ArcGIS 10 で新規に作成したり、一旦編集をおこなったドキュメント(マップやレイヤ)を ArcGIS 9.x ユーザと共有するためには、ドキュメント保存の際に「9.x 形式」を選択しなければなりません。ジオデータベースについては、9.3.1 形式のままにしておけば、ArcGIS 9.3.1 と ArcGIS 10 の両方で利用できます。ArcGIS 10 におけるジオデータベースの新機能を最大限に活かすなら、ジオデータベースを ArcGIS 10 形式にアップグレードする必要があり、そうすると ArcGIS 9.x からアクセスすることはできません。
ジオデータベース作成ツールで旧バージョン向けのジオデータベースを作成可能ですので、ArcGIS 10 を使用して新形式のジオデータベースから旧形式のジオデータベースへフィーチャをコピーすれば複数バージョンの ArcGIS でデータを共有することができます。
Q2. ArcGIS 10 の威力を発揮させるためには、既存のアプリケーションやデータモデルについてどのような変更が必要となるのでしょうか?
A2. ほとんどのアプリケーションは、手を加えずとも ArcGIS 10 でそのまま動作するでしょう。ただし、以下のような場合は例外となります。
(1) C#、VB.NET、Java で書かれたカスタム ArcObjects アプリケーションは、ArcGIS 10 環境でリコンパイルする必要があります。この作業を手助けするためのツールやドキュメントが用意されておりますので、大抵の場合、実際に必要な変更はわずかなものとなるでしょう。
(2) Visual Basic 6(VB6)でのカスタマイズは、.NET でのカスタマイズに移行する必要があります(既にマイクロソフト社が VB6 のサポートを終了したことを受け、ESRI 製品でのサポートも終了します)。
(3) ArcGIS 9.3 形式のジオデータベースは ArcGIS 10 でもそのまま使用できます。ただし、ArcGIS 10 でのジオデータベース新機能を最大限に活用するなら、旧形式のジオデータベースをアップグレードする必要があります。例えば以下のような新機能が必要となる場合です。
・ネットワーク データセットの部分再構築
・新しいラスタ モザイク データセットのサポート
・新しい 3D ジオメトリ
・新しいトポロジ ルール
・アタッチメント(ドキュメント、イメージ、その他フィーチャに関連するオブジェクト)のサポート
ユーザがジオデータベースをバージョン 10 に移行した場合、ArcGIS 9.3 から ArcGIS 10 ジオデータベースの一部分でさえもアクセスして利用することができなくなります。
Q3. ArcGIS 10 において削除される機能はありますか?
A3. いいえ。既存の機能は全て引き継がれます。ただし、使用方法が若干変更される場合もあります。