ArcGIS Desktop で ALOS(だいち)データを取り込む(VRT ファイル作成サンプルツール)

リモート・センシング技術センター様の Web サイトでは東日本大震災の被害状況を撮影した ALOS(だいち)画像データを多数公開しています。
これらの画像は同衛星データの標準フォーマットである「JAXA CEOS」フォーマットで提供されており、通常は専門のソフトウェアで変換しないと ArcGIS Desktop では閲覧することができません。しかしながら、ArcGIS には「GDAL バーチャル フォーマット(VRT)」という XML のようなテキスト ファイルを作成するだけで JAXA CEOS のような非対応の画像フォーマットも開くことが可能になるという枠組みがひっそりと存在し、それを利用すれば地図座標付きで取り込むことができます。少し画像の取り扱いを勉強したことのある方なら、高機能なヘッダ ファイルのようなもの、あるいは .aux ファイルのようなものと言えば分りやすいかも知れません。

■JAXA CEOS フォーマットとは
JAXA CEOS フォーマットのデータセットは IMG-*、LED-*、VOL-* など複数のファイルから構成されています。IMG-* は画像データが格納されたファイルで、BSQ という形式のバイナリ ファイルになっています。IMG ファイルの内部もヘッダというフォーマット情報が記述された部分と画像本体に分かれています。データ取得時の時刻や衛星の位置と姿勢、画像の範囲のような様々な情報 LED(リーダー)ファイルに格納されています。下の絵は AVNIR-2 データの例です。

Ceos_3

■GDAL VRT とは
GDAL は Geospatial Data Abstraction Library の頭文字をとったもので、オープンソースの GIS データ取り扱い用ライブラリです。VRT はその中の中核ともいうべき技術で、元の画像ファイルと一緒にこのファイルを置いておけば、VRT を介してその画像ファイルにアクセスすることが可能になる、というものです。以下は ALOS PRISM レベル 1B2 データを読むための VRT ファイルの例です。このようなものをテキスト エディタ等で書いて、*.vrt という名前で画像ファイルの隣に置いておけば出来上がりです。ちなみにこの例は、IMG-ALPSMN212822870-O1B2G_UN というファイルに地図座標(空間参照)を定義するという簡単なものです。<SRS> は空間参照、<GeoTransform> は画像座標から地図座標へ変換するアフィンパラメータ、<VRTRasterBand> に画像ファイルのフォーマット情報が記述されています。詳細については「GDAL Virtual Format Tutorial」のサイトを参照してください。

Vrt_3

■ALOS VRT 作成ツール
前述の JAXA CEOS データセットから、画像フォーマットに関する情報や地図座標のような情報を取り出して VRT ファイルに正しく記述すれば、ArcGIS からこのファイルを経由してアクセスすることが可能になります。座標定義やフォーマット情報はデータごとに異なりますが、JAXA CEOS データセットのどのファイルのどの位置に必要な情報があるかは決まっており、JAXA が提供している ALOS データ フォーマットの解説書を見ればそれがわかります。しかしこれはかなりの重労働です。そこで、LED ファイルや IMG のヘッダから必要な情報を取り出して VRT に入れ込むサンプル プログラムを Python で作ってみました。このプログラムの中では一部 ArcGIS 10 の ArcPy モジュールを使用していますので、ArcGIS 10(以上)で動作します。また ArcToolbox のツールとして使用できるようにしてあります。

ALOS_VRT.zip をダウンロード

・使用手順:
1. Zip ファイルをローカルの適当なフォルダに解凍し、ArcToolbox に追加してください。

2. 「ALOS VRT 作成ツール」というツールボックスが追加され、その中にセンサーと処理レベル別にツールがあります。通常のツールボックスのツールと同様にダブルクリックで起動します。ツール名を右クリック → [バッチ…] でバッチ処理も可能です。

Toolbox_3   

3. 入力するパラメータは入力ファイル(LED-* ファイル)のみです。VRT ファイルは LED-* ファイルと同じフォルダに「AL****.vrt」のような名前で自動的に作成されます。作成された VRT ファイルは ArcGIS で画像ファイルのように使用することができます。下図は、被災した仙台空港付近の PALSAR 画像に対して作成した VRT ファイルと弊社製 ArcGISデータコレクション スタンダードパック2010 のデータを重ね合わせた状態です。位置精度は LED に書かれている情報に依存していますので、必要に応じて [ジオリファレンス] ツールで補正を行ってください。

Arcmap_2

4. 画像解析ウィンドウのエクスポート機能や ArcToolbox の [ラスタのコピー(Copy Raster)] ツール([データ管理ツール] → [ラスタ] → [ラスタデータセット] → [ラスタのコピー(Copy Raster)])で GeoTIFF などのフォーマットに変換すれば、他のソフトウェアでも利用できます。

5. VRT ファイルを ArcGIS で扱うと .vrt.ovr や .vrt.xml というファイルが生成されます。「VRT 削除ツール」はこれらを一度に掃除するツールです。

[注意事項]
当ツールは、サンプルとして提供しておりますのでサポート対象外となります。
従って、当ツールに関するご質問はお受けできません。また、当ツールを使用して生じたいかなる障害についても、弊社では責任を負いかねますことを予めご了承願います。

■関連リンク
・GDAL Virtual Format Tutorial
 http://www.gdal.org/gdal_vrttut.html
・ALOS 処理プロダクト フォーマット説明書(JAXA EORC)
 http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/doc/jformat.htm