ArcGIS 製品には、フィールドでのデータ収集や GPS と連携した業務などで使用できるモバイル GIS 製品がいくつかあります。ArcPad と ArcGIS Mobile は、その中でも、Windows Mobile 及び Windows OS に対応する製品です。この 2 つの製品は、ArcGIS Desktop とのデータ連携が可能です。ArcGIS Desktop 製品とモバイル GIS 製品の連携により、デスクトップ GIS で利用している GIS データベースと、フィールドで取得したデータのシームレスな連携、および現地調査用データの準備から、調査後のデータベースの更新、データ管理、調査結果データの利用による空間分析等を含む作業フローの効率化を実現することが可能です。
また、各モバイル GIS 製品にはフィールド調査で頻繁に使われる以下の基本機能をすべて装備しています。
・地図の表示と操作
・GIS データの編集/検索
・GPS との連携
・内蔵カメラとの連携
ArcPad と ArcGIS Mobile選択時のキーポイント
この2つの製品から、お客様の業務にふさわしい製品を選択する際、考慮すべき 2 つのキーポイントがあります。
■ コストパフォーマンス
まず、コストパフォーマンスについて一般的には、ArcPad に比べ ArcGIS Mobile の優位性が高くなっています。 ArcGIS Mobile は、各 ArcGIS Desktop 製品に 1 ライセンスが無償で付随するため、すでに ArcGIS Desktop ユーザの方は、すぐに利用することができます。また、複数の ArcGIS Mobile ライセンスが必要な場合は、5 ライセンス単位で低価格にて購入することが可能です。
このため、ArcGIS Mobile は、1 ライセンス毎に購入する必要がある ArcPad に比べコストパフォーマンスが高いと言えます。価格は ESRI ジャパンまでお問い合わせください。
■ データの利用環境
次に、データの利用環境においては、ArcPad は ArcGIS Mobile に比べより多様な利用環境に柔軟に対応できるため、ArcGIS Mobile よりも優位性が高くなっています。 ArcPad は、ArcGIS Desktop との連携以外にも、スタンドアロンでの利用、または ArcGIS 以外の GIS 製品とのデータ連携を行うことができます。これは、ArcPad がモバイル端末上で新規にシェープファイルを作成したり、SD カードなどのメディアを使用し、直接シェープファイルの読み込み/編集ができたり、各種ラスタ データを直接読み込むことができるためです。
次に、上記のキーポイント以外の各製品についての主な特徴について説明します。
・ ユーザ インタフェース
ArcGIS Mobile は、主に定型的なワークフローによるデータ収集、たとえば、点検作業や施設・設備管理などのために設計されており、GIS プロフェッショナルではない作業員でも使いやすいインタフェースになっています。
ArcPad は、GPS との連携による森林・測量・環境調査など、位置情報をメインとするような作業を行う GIS プロフェッショナルにとって特に使いやすいインタフェースとなっています。
・ カスタマイズ
ArcGIS Mobile は、Visual Studio に統合されるコントロールを使用してアプリケーションを開発します。そのため、ゼロから GUI を設計することや既存の業務アプリに GIS 機能を実装するなど、より柔軟に開発を行うことができます。
ArcPad には、ArcPad Studio というカスタマイズ用アプリケーションが含まれており、スクリプト言語(VBScript/JScript)を使用して既存機能を容易に拡張することができます。また、プログラミングなしで容易にカスタマイズすることのできるいくつかの機能を装備しています。
・ その他、各製品の詳細な機能比較については以下をご参照ください。
ArcPad と ArcGIS for Windows Mobile の機能比較 (※2018年3月14日更新: 製品資料を削除しました)
・ 参考資料
ArcPad 製品ページ
ArcGIS for Windows Mobile 製品ページ
これらの情報が、皆様の業務を効率化するのに最適な製品を選定する際の役に立てば幸いです。