処理編 その 3 ではクリップとマスクについてご紹介しましたが、その 4 では、パンシャープンについてご紹介します。
前回と同様、ご紹介する内容の全ての機能は、エクステンション不要かつ ArcView ライセンスでご利用いただけます。
パンシャープンとは、低解像度のマルチカラー画像と高解像度のパンクロ(モノクロ)画像の 2 種類を合成することで、高解像度のマルチカラー画像を作成する処理のことをいいます。
パンシャープン処理を行った画像は、地物の認識が容易になるため、背景画像として利用したり、土地利用図などを作成するための目視判読にも利用できます。
ArcGIS 10 以前のバージョンでは、パンシャープン画像を作成するには、[パンシャープン ラスタ データセットの作成 (Create Pan-sharpened Raster Dataset)] ツールを使用していたかと思います。
パンシャープン処理はデータによっては大変時間がかかる処理ですが、必ずしも良い合成結果を得られるとは限りません。“長い時間待って、出力された結果を見てガッカリした。” という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ArcGIS 10 では [画像解析] ウィンドウで、パンシャープンに使用する 2 つの画像を選択してボタンをクリックするだけで、メモリ上で瞬時に処理が実行され、一時ファイルとしてパンシャープン画像が作成されます。
これにより、結果を確認してから出力することができます。
1、高解像度のパンクロ画像と低解像度のマルチカラー画像を ArcMap に追加します。
2、[画像解析] ウィンドウのレイヤリストでパンクロ画像とマルチカラー画像 2 つを選択し、[パンシャープン] ボタンをクリックします。
パンシャープン手法を変更したい場合は、[画像解析オプション] ボタンをクリックし、[パンシャープン] タブから変更することができます。
パンシャープン処理後の色合いがおかしい場合は、各バンドのウェイト値を変更することで調整できます。[画像解析] ウィンドウの場合はこの調整結果をボタン 1 つですばやく確認できるので大変便利です。
パンシャープンの仕組みの詳細は ArcGIS ヘルプ「パンシャープンの基礎」をご参照ください。
なお、パンシャープン処理を行った一時ファイルをデータとして作成したい場合は、データのエクスポートを行います。エクスポートは、レイヤ リストでエクスポートしたいデータを選択し、[処理] パネルの [エクスポート] から行うことができます。
次回のその 5 では、フィルタについてご紹介します。 [画像解析] ウィンドウでの処理についての詳しい機能は ArcGIS ヘルプ「画像解析ウィンドウ: [処理] セクション」をご覧ください。