5 月 22 日にオープンした東京スカイツリーですが、「どこから見えるの?」と思ったことはないでしょうか。
気象条件や観察ポイント周辺の建物など多くの条件により東京スカイツリーが観察可能な場所は異りますが、東京タワーより高い東京スカイツリーはより遠い場所から観察出来るはずです。
この解析を ArcGIS で実行するには、ArcGIS Spatial Analyst エクステンションを使用します。ArcGIS Spatial Analyst はラスタベースの空間モデリングおよび解析のための、多岐にわたる強力なツールを提供するエクステンション製品です。そのツール群の中には、以下のような ArcToolbox から簡単に利用可能なツールがあります。
・ 可視領域:観測ポイントから見通せるラスタ サーフェスの位置
利用例:東京スカイツリーの展望台から見える場所
・ 観測ポイント:ラスタ サーフェスの位置から見える観測ポイント
利用例:東京スカイツリーが見える場所の特定
今回は観測ポイント ツールを使用して解析を実行します。使用するデータは、以下の通りです。
■ラスタ データ
入力ラスタ名:DEMA
概要:ArcGIS データコレクションに含まれる DEM ( Digital Elevation Model ) 。このデータは 10m 間隔のグリッド データをもとに作成されています。
■東京スカイツリーのポイント データ
入力観測ポイント フィーチャ名:tower_1
概要:東京スカイツリーのポイント データ ( XY 座標値 ) 。あらかじめ、テーブルに [OFFSETA] フィールドを作成し、属性値として 634 ( 東京スカイツリーの高さ ) を入力しておきます。
※上記2つのデータの空間参照は WGS 1984 Web Mercator Auxiliary Sphere に投影変換しています。
① ArcMap に DEM と 東京スカイツリーのポイントを追加します。
② ArcToolbox から [Spatial Analyst ツール] → [サーフェス] → [観測ポイント ( Observer Points )] を選択します。
③ [観測ポイント] のダイアログでは以下のように設定します。
※ここでは [地球の曲率を使用] にチェックを付けているため、球体である地球の形状も考慮して解析されます。
東京スカイツリーを一番遠くから観察可能な場所は、約 200 km ほど離れた新潟県の苗場山か長野県の岩菅山付近になります。
今回は、シンプルに標高データから作成したDEMと東京スカイツリーの位置情報のみで解析を行いましたが、ArcGIS Spatial Analyst Extension では高精度なデータと今回ご紹介していないその他の解析条件を設定することでより正確な解析を行うことが可能です。
■関連リンク
・トレーニング コース
・ArcGIS データコレクション
(2016 年 11 月から名称が「ESRIジャパン データコンテンツ」に変わりました)
・ArcGIS Spatial Analyst -条件でラスタを抽出する方法-