ArcGIS for Server では、Web アプリケーションやスマートフォン/タブレットなどで住所検索を利用するためのジオコード サービスという GIS サービスが作成可能です。ArcGIS 10.1 より、このジオコード サービスに従来の住所検索やリバース ジオコーディングの機能に加えて複数の住所を一括でジオコーディングするためのバッチ ジオコーディングの機能が追加されました。たとえば、お手持ちの CSV ファイルに含まれる住所群を Web アプリケーションに読み込んで地図上にポイントとして表示するといったことが可能となります。 ここでは、ジオコード サービスによるバッチ ジオコーディングについて紹介します。
■ジオコード サービスの作成
ジオコード サービスは住所ロケータを ArcGIS for Server で公開することで作成できます。住所ロケータとは ArcGIS のジオコーディング機能を利用するためのツールであり、ArcCatalog あるいは ArcMap のカタログ ウィンドウ、ジオプロセシング ツールより作成することができます。 詳細な手順については住所ロケータの作成(Create Address Locator)をご参照ください。
■バッチ ジオコーディングの設定
バッチ ジオコーディングの設定はジオコード サービスのサービス エディタより行います。サービスの公開時のダイアログ、あるいは公開後に ArcGIS for Server の管理ツールである ArcGIS Server Manager より設定を行うことができます。設定可能なパラメータはバッチ ジオコーディングの単一のリクエストにより処理されるレコードの合計数とジオコードの結果の最大数です。
■Web アプリケーションで実行
Web マッピング アプリケーションを開発するための ArcGIS Web Mapping では、各 API にジオコード サービスのバッチ ジオコーディング機能を利用するためのメソッドが用意されています。下の画像は ArcGIS API for JavaScript によって作成されたアプリケーションです。住所を含む CSV ファイルを読み込み、その住所群をもとにバッチ ジオコーディングを行って地図上にポイントとして表示します。 Web 経由でバッチ ジオコーディングを行うことができるので、Web ブラウザさえあればどこでもだれでも上記のようなデータ処理を行うことが可能となります。
以上のように、ArcGIS for Server によって共有できる GIS データはマップだけではありません。そして、このジオコード サービスも ArcGIS for Server で公開が可能な GIS サービスの一つであり、ArcGIS for Server が配信する GIS サービスを利用することで多様な GIS 機能をアプリケーションに実装することが可能となります。本ブログにて、今後も GIS サービスにより実現可能である便利な機能を紹介していきますのでご期待ください!
■関連リンク
ESRIジャパン Web サイト:
ArcGIS for Server:http://www.esrij.com/products/arcgis/server/arcgis-for-server/
Esri 社(米国)Web サイト:
ArcGIS for Server:http://www.esri.com/software/arcgis/arcgisserver
ArcGIS Resources:
ArcGIS ヘルプ 10.1「ジオコード サービス」: http://resources.arcgis.com/ja/help/main/10.1/index.html#//01540000035t000000
ArcGIS Server REST API「Geocode Addresses(Operation)」: https://developers.arcgis.com/labs/rest/get-coordinates-for-an-address/