ArcGIS で特定の業務をすぐに開始できる「ArcGIS Solutions」をリリースしました

先月末に東京ミッドタウンで開催した「第 12 回 GISコミュニティフォーラム」には約 2,000 名のお客様にご来場いただきました。誠にありがとうございました。
本フォーラムでは毎年何らかの新製品や新サービスの発表がありますが、今回はその中から「ArcGIS Solutions」について紹介します。

■ArcGIS Solutions とは
ArcGIS Solutions は ArcGIS プラットフォーム上に配置することですぐに業務を開始できる業種別のマップ、アプリ、ツールといった各種テンプレートを提供するサイトで、5 月 26 日にオープンしました。

1
Arc
GIS Solutions で提供されるテンプレートのことを「ソリューション テンプレート」と呼んでいます。

■ソリューション テンプレートを利用することのメリット
ソリューション テンプレートを利用することによって以下のようなメリットが得られます。

実装コストを削減できる
 機能を実装するために独自のマップやアプリを作成する必要がありません。
一般的なビジネス上の課題をすばやく解決できる
 ほとんどのソリューション テンプレートは数時間で配置可能です。
ベスト プラクティスのワークフローを利用できる
 ソリューション テンプレートはユーザーの成功例に基づきます。
ArcGIS への投資利益(ROI)を増加できる
 ArcGIS 組織アカウントを保有しているユーザーはソリューション テンプレートを無償で利用でき、追加コストは必要ありません。
バージョン ロックのリスクを軽減できる
 ソリューション テンプレートが最新バージョンの ArcGIS で動作するように ESRIジャパンがサポートします。

■ソリューション テンプレートの紹介
今回 4 つのソリューション テンプレートをリリースしました。以下にそれぞれについて紹介します。

【期日前投票】
期日前投票テンプレートは Web AppBuilder for ArcGIS を利用する選挙支援用ソリューションのテンプレートです。期日前投票制度は、選挙当日に何らかの理由があって投票所に行くことができない有権者の参加を可能にする制度ですが、期日前投票の可能な時間はそれぞれの管轄によって異なります。本テンプレートを使用すると、住民が自宅や事業所に近い投票所を探し、投票可能な時間を知ることができるサービスを住民に提供できます。

2


【空き家調査】
空き家調査テンプレートは ArcGIS OnlineCollector for ArcGIS を利用する現地調査ソリューションのテンプレートです。空き家調査テンプレートを利用することで、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを用いて現地調査を行い、空き家の情報を収集および管理することができます。

3


【橋梁管理】
橋梁管理テンプレートは ArcGIS Online と Collector for ArcGIS を利用する現地調査ソリューションのテンプレートです。橋梁管理テンプレートを利用することで、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを用いて現地調査を行い、橋梁の情報を収集および管理することができます。テンプレートの入力項目は「道路橋定期点検要領 出典:国土交通省」に記載されている調査項目を参考にしています。

4


【震災初動対応】
震災初動対応テンプレートは、ArcGIS Online と Operations Dashboard for ArcGIS を利用する災害対策本部向けダッシュボード アプリケーションを提供するテンプレートです。 ダッシュボードは、複数の地図データソースから被害状況を集め、概要をまとめて視覚的に表示することにより、素早い現状把握に貢献します。災害対策本部向けダッシュボードは「地方都市等における地震対応のガイドライン 出典:内閣府」 に記載されている「Ⅱ 初動対応(当日中)」「Ⅲ 応急対応(1~3日後)」の期間における、「3. 被害情報の収集」「4. 災害情報の伝達」の補助を行う目的で構成されています。

5


■ソリューション テンプレートの利用の流れ
ソリューション テンプレートの利用手順は非常に簡単です。
まず、ArcGIS Solutions サイトにある各ソリューション テンプレートのページから必要なファイル(ZIP 形式)をダウンロードします。ファイルの中には GIS データを格納するためのファイル ジオデータベースと、レイヤーやシンボルを自動設定するための設定ファイルが含まれています(利用するソリューション テンプレートによって中身は異なります)。ファイル ジオデータベースの中身が空の状態から業務を始める場合はそのまま自身の ArcGIS ポータル(ArcGIS Online 組織サイト)内に配置します。ファイル ジオデータベースにデータを追加してから業務を始めたい場合は、ArcGIS for Desktop を利用するか、もしくは ArcGIS ポータル上に配置後に Web マップ上でデータを追加します。
ファイル ジオデータベースを ArcGIS ポータル上に配置してフィーチャ サービスと呼ばれる編集可能な Web レイヤーを作成するには、「Web GIS Template Uploader」と呼ばれるツールを使用します。このツールはダウンロードしたソリューション テンプレートに含まれる設定ファイルを読み込み、ファイル ジオデータベースから動的にフィーチャ サービスを作成するとともに、Web マップを生成し、レイヤーとして追加します。その際にシンボル設定なども行われますので、手作業で一つ一つのレイヤーの設定を行う手間を省くことができます。

6


このようにソリューション テンプレートを活用することで、ある特定の業務をすぐに始めることができるようになります。ソリューション テンプレートは必要に応じて設定を変えたり、拡張したりすることも可能です。
今後 ArcGIS Solutions からさまざまな業種のソリューション テンプレートをリリースしていきますので、ぜひ業務にご活用ください。

■関連リンク
ArcGIS Solutions
ArcGIS Solutions(米国サイト)

フォローする