「統計でみる市区町村のすがた」で市区町村について学ぼう!

統計でみる市区町村のすがた」という統計データをご存知ですか?さまざまな地域別統計データを基に総務省統計局が市区町村単位で編成、刊行している全国統計表データです。人口・世帯をはじめ、自然環境、文化・スポーツ、健康・医療、福祉・社会保障など、幅広い分野の指標がまとまって 100 指標も掲載されており、国勢調査などの大規模調査にはないユニークな指標も多数含まれているのが魅力です。これらの指標を活用することで、あらゆる視点から市区町村について学ぶことができそうですね。たとえば「統計でみる市区町村のすがた」から作成した下のクイズ、皆さんは答えがわかりますか?

今回は「統計でみる市区町村のすがた」のユニークな指標を ArcGIS Pro で可視化してご紹介します。クイズの答えも本文でご確認ください!

●ごみのリサイクル率

ユニークな指標として 1 つめにご紹介するのは、「ごみのリサイクル率」* (2013 年)という自然環境に関連した指標です。全国で可視化すると下図のようになりました。緑が濃いほど、リサイクル率が高いことを表しています。全国トップはリサイクル率 100% の高知県高岡郡津野町と檮原町でした!

単純な色分けのままでは全体的な地域傾向が把握しづらいため、最適化ホット スポット分析 ツールを利用して統計的な可視化も行いました。下図のとおり、ごみのリサイクル率の高い地域(赤のホットスポット)と低い地域(青のコールドスポット)がより明確になりました。ホットスポットとコールドスポットのどちらも政令指定都市などの大規模な都市を中心に広がっているように見えますが、何か理由があるのか気になりますね!

*ごみのリサイクル率 = 総収集量のうち資源の占める割合

●待機児童率

続いてご紹介するのは、「保育所入所待機児童数」(2014 年)と「保育所数」(2013 年)という福祉に関する 2 つの指標です。待機児童問題は近年特に社会的関心が高まっていますね。「保育所入所待機児童数」を「保育所数」で正規化して表示することで、1 保育所が抱える平均入所待機児童数、つまり待機児童率を算出することができます。下図では特に待機児童率が高い地域のラベルを表示しました。

待機児童率が最も高かったのは東京都小金井市で、入所待機児童数 257 人に対して保育所数が 12 か所と少なく、1 保育所あたり約 21 人待機児童を抱えているという計算結果でした。

●道路密度

さて、最後は冒頭のクイズでご紹介した道路密度についてです!道路密度が高いほど、地域の開発度合いは高いと想定できます。このため、都市計画、環境アセスメント、出店計画などのあらゆる場面において、道路密度は判断基準の 1 つとして利用することができます。利用したのは「道路実延長」(2013 年)と「総面積」(2014 年)という 2 つの指標です。まず、「道路実延長」のみを地図上で表示すると下図のようになりました。濃い赤は道路の実延長*が長いことを示しており、最長は東京 23 区の 11752.70 km でした!

*道路実延長 = 高速自動車国道を除く道路の総延長から重用延長、未供用延長、渡船延長を除いた延長

道路実延長は面積が広いほど値が大きくなる傾向があるので、道路がどの程度集中しているかを知りたい場合には道路密度(面積に対する道路の比率)を調べる必要があります。道路密度を求めるには「道路実延長」を「総面積」で正規化します。これにより、1 平方 km あたりの道路実延長、つまり道路密度を算出できます。地図で表すと下図のようになりました。道路密度は大都市付近で集中的に高いことが一目瞭然ですね!

では、最後にクイズの答え合わせです。

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「Q 道路密度が最も高い市区町村は?」→正解は…埼玉県蕨市でした!

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皆さんご存知でしたか?計算結果によると、蕨市は道路の実延長が 152.8 km、総面積が 5.11 平方 km あり、道路密度にすると 1 平方 km あたり道路の実延長が 29.90 km もあるそうです!視覚的にも確認してみたくなり、蕨市を拡大して道路線*を重ねてみました。たしかに、道路でぎっしりと埋まっているように見えます。

*スターターパック 2017 公共地図に収録されている道路線データを利用

いかがでしたか?「統計でみる市区町村のすがた」には今回ご紹介した指標以外にも多くの指標が収録されています。地図上で可視化することで統計表のままでは見えづらい情報も直感的に理解でき、GIS での地理学習などに非常に効果的です。市区町村について学びたいという方はぜひご活用ください!

※本記事でご紹介した市区町村の情報は「統計でみる市区町村のすがた 2016」の収録内容に基づいています。資料源の年度によっては、現時点の情報と異なる可能性があります。

※「スターターパック 2017 基本統計」では「統計でみる市区町村のすがた 2016」を「平成 22 年国勢調査」の市区町村界ポリゴンを加工し作成した平成 27 年 3 月時点の市区町村ポリゴンに接合した状態で収録、提供しております。

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