2016 年の 7 月から 12 月にかけて、ESRIジャパンの Q&A サポートにいただいたご質問の中から、話題に上がることの多かった ArcMap、ArcGIS Pro のジオプロセシング ツールをランキング形式でご紹介する記事の後編です。
前編の記事では 10 位から 6 位までをご紹介しましたが、メジャーなツールばかりがランクインするというわけではなく、複数のツールを組み合わせて使用するものや、比較的最近に追加されたツールがランクインするなど、意外と知らないツールも多かったかもしれません。後編の今回は 5 位から 1 位をご紹介します!
第 5 位:隣接図郭情報の追加
ArcMap:[カートグラフィ ツール] → [データ ドリブン ページ] → [隣接図郭情報の追加]
入力フィーチャクラスに 8 方位を示す新しいフィールドを追加し、各フィーチャに 8 方位それぞれの位置に存在するフィーチャを属性値に付与します。
[データ ドリブン ページ] ツールボックスにあるように、主にデータ ドリブン ページに使用されます。
レイアウト ビューのダイナミック テキストと組み合わせて使用することで、これらの属性をより効果的に使用することができます。
第 4 位:ディゾルブ
ArcMap、ArcGIS Pro:[データ管理 ツール] → [ジェネラライズ] → [ディゾルブ]
ツール実行時に指定した属性でフィーチャを集約します。複数のフィーチャをただまとめるだけでなく、元々持っていた属性値の合計、最大値、平均値を計算させたりすることもできます。
第 3 位:投影法の定義
ArcMap、ArcGIS Pro:[データ管理 ツール] → [投影変換と座標変換] → [投影法の定義]
座標系が不明、もしくは正しくない座標系が定義されてしまったデータに対して、正しい座標系を割り当てるためのツールです。
たとえば、「データをマップに追加した際に正しい位置に表示されず、レイヤーの空間参照を確認したところ以下の画像のように「不明」となっていた。」
といった場合に、正しい座標系を確認した上で、データに座標系を定義します。
第 2 位:フィールド演算
ArcMap、ArcGIS Pro:[データ管理 ツール] → [フィールド] → [フィールド演算]
あらかじめ用意しておいた属性の値を計算によって設定します。この機能も通常は [属性テーブル] から利用する方が多いと思いますが、ツールとして用意されていることでモデルや ArcPy を使用したスクリプトの中で使用できます。
ArcMap では VB Script、Python を使って記述する必要があるので少し敷居が高いように思われがちですが、ArcGIS Pro ではより簡単に値を追加するための機能として、[ヘルパー] の中に「連番」や「値の累積」などのサンプルが用意されました!
第 1 位:空間結合
ArcMap、ArcGIS Pro:[解析 ツール] → [オーバーレイ] → [空間結合]
栄えある第 1 位は [空間結合] です!空間的な位置関係に基づいて、属性を結合するためのツールで、[マッチ オプション] と [結合方法] を工夫することで、様々な使い道が考えられます。
以上、5 位から 1 位の発表でした。やはりランキングの上位になると、様々な活用法が隠されている、汎用的なツールが多くランクインしていましたね。
ArcGIS には 500 個を超える、非常に多くのジオプロセシング ツールが用意されています。これだけの数のツールすべてを理解することは難しいでしょう。しかし、これだけの数のツールがあれば、皆様の業務に役立つものも必ずどこかにあるはずです。今回の記事が皆様の業務に少しでも良い影響を与えることができればと思います。
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