11 月 2 日 (金) から 11 月 4 日 (日) の 3 日間で開催された「宮蘭航路フェリーハッカソン」において、ESRIジャパン チームが最優秀賞 (川崎近海汽船賞) を受賞しました!
「宮蘭航路フェリーハッカソン」とは、2018 年 6 月に北海道室蘭市と岩手県宮古市間を結ぶフェリー航路が就航したことを記念して両市の交流を目的に開催されたイベントで、片道 10 時間のフェリーの旅をより楽しむためのアプリや、両市の観光アプリを開発するハッカソンが行われました。
ESRIジャパン チームは、社内からの参加者 3 名に一般参加の方を加え、4 人体制で挑みました。
開催の進行状況や写真は、アーバンデータチャレンジ南北海道ブロックの Facebook ページ、室蘭市観光課の Twitterをご覧ください。
ここでは、ハッカソン時に開発した「FF (エフエフ)※1 ポータル」をご紹介します。
開発したアプリは、チームメンバーのひとりが家族旅行で宮蘭フェリーを使った際の経験をもとに、子育て世代のフェリー旅の支援を目的としています。現在地を示すアプリやスマホを向けた先にある施設を表示する AR アプリ、訪問したい観光地へのルートを表示するアプリなど、旅先でも船上でも楽しめるアプリを集めました。子育て世帯の家族旅行では子供の急なトイレやおむつ替えなど突発的なイベントが発生しますが、それらに対応できる施設の情報はなかなか公開されていません。そこでアプリのユーザーが投稿したおむつ交換が可能な場所等の情報を共有し、子育て世代が気軽に旅行できるような機能を提供します。そうすることでお子様連れでも安心して旅行ができるようになります。
※1 FF はファミリーとフェリーの頭文字
FFポータルとは?
「FFポータル」は、以下 4 つのアプリを含むお役立ちポータルです。
①航路沿いの地形・観光地をAR可視化するアプリ
esri Labs※2 による AR アプリである AuGeo の日本語版を開発しました。地形や観光地と私たちはどれくらい離れているのか、フェリーの上から島や岬の名前を確認することができます。大人から子どもまで、船の上を歩き回って使えるオフラインでも使用可能なアプリです。
※2 米国Esri の新技術や共同プロジェクトの立ち上げ場所です。非商用の製品として公開されていますが、公式の Esri 製品ではなく、米国 Esri の技術サポートは現状受けられません。
②フェリーの現在位置をリアルタイムで確認できるアプリ
現在地の取得には ArcGIS Online と SORACOM Funnel の連携を活用しています。連携方法は、SORACOM Funnel と ArcGIS Online の連携ブログをご覧ください。船内に設置した GPS ロガーで位置情報を取得し、ArcGIS Online で現在地を可視化しています。
③観光ルート表示アプリ
オフライン環境で、観光ルートを検索できる iOS アプリです。写真で観光場所を選択することで、最適ルートを組んでくれます。ArcGIS Runtime SDK for iOS を使用して iOS のネイティブアプリを開発しました。今回は、宮古市の街歩きで収集した写真を取り込みました。
④子育て便利情報の投稿
ハッカソン内で宮古市を街歩きしたところ「おむつ交換できる」「子供を遊ばせられる」などの場所の情報が不足していることが分かりました。それを解決するために、現地調査アプリである Survey123 for ArcGIS を使い、観光地に立地し子育て世帯に役立つ施設や設備などの情報を投稿しました。投稿された情報は一覧のマップにしたりオープンデータとして公開したりすることで、子育て世帯の観光しやすさにつながります。
また、昨年の「企業・団体対抗ハッカソン2017@室蘭」で ESRIジャパン チームが作成した「むろらん地域課題解決ポータル」のうち、「最寄りの赤ちゃんの駅と保育園」のアプリも活用しています。ESRIジャパンは、3 年連続で室蘭市主催のハッカソンに参加しており、蓄積されたノウハウを今回のハッカソンでも活かしています。
今回開発した各種アプリは、現地の情報が少ない、オフラインという状況においても楽しめるアプリです。紹介したアプリはポータルとして公開し、アーバンデータチャレンジの南北海道ブロックの作品として、アーバンデータチャレンジ2018に応募します。
■関連リンク
製品情報:
・AuGeo
・ArcGIS Online
・ArcGIS Runtime SDK for iOS
・Survey123 for ArcGIS
ブログ記事:
・室蘭市の地域課題を解決するためのポータルサイトを公開中
・IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」とクラウド GIS プラットフォーム「ArcGIS Online」の連携 ~ 第 1 回 連携の準備 ~
・IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」とクラウド GIS プラットフォーム「ArcGIS Online」の連携~ 第 2 回 ArcGIS Online の設定 ~
・IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」とクラウド GIS プラットフォーム「ArcGIS Online」の連携 ~第 3 回 「SORACOM Funnel」 の設定~
・IoT データをリアルタイムに地図上に可視化してみた!