知っておきたい!エンタープライズ ジオデータベースのよくある質問 ~その 1~

先月公開された「【オンプレミスからクラウドまで対応!】ArcGIS Enterprise セットアップ ガイドを公開しました!」のブログ記事では、ArcGIS Enterprise の基本的な構成を構築するための手順書をご紹介しました。
ArcGIS Enterprise のライセンスをお持ちの方は、エンタープライズ ジオデータベースもご利用いただけます。

本記事では、エンタープライズ ジオデータベースを運用・管理する上でよくある質問について、ご紹介したいと思います。

Q. エンタープライズ ジオデータベースに格納されている ArcGIS オブジェクトのデータを DBMS クライアントを使用して移行したいのですが、フィーチャクラスと同じ名前のテーブルを移行すれば、移行先のエンタープライズ ジオデータベースでも同じように使用できますか?

A. エンタープライズ ジオデータベースでは、ユーザーが作成したデータを複数のテーブルで管理しているため、属性情報だけが入っているテーブルだけを移行しても、以前と同じようには機能しない可能性があります。

マルチ ジオデータベース

(『エンタープライズ ジオデータベース管理入門』テキスト P.25)

マルチユーザー ジオデータベースには、ArcSDE テクノロジーが使用されています。
(参考リンク:FAQ「ArcSDE、マルチユーザー ジオデータベース、エンタープライズ ジオデータベースの違いは何ですか?」)

マルチユーザー ジオデータベースでは、ユーザーが作成したデータを格納するデータセット テーブルと呼ばれるユーザー データと、各ジオデータベースのコンテンツを管理するシステム テーブルがあります。
ユーザー データであるデータセット テーブルは、各データセットのデータを一つ以上のテーブルに格納し、システム テーブルと連携してデータを管理します。

システム テーブルは、すべてのデータセットの定義、ルール、リレーションシップを定義するジオデータベース スキーマを管理します。ジオデータベースのプロパティ、データ整合チェックのルール、振舞いを実装するために必要なメタデータもシステム テーブルで管理されています。
ArcGIS を通じてアクセスすると、システム テーブルに格納されたすべての情報が基本データと組み合わされて、定義された振舞いやルールを持つフィーチャクラスとして提示されます。ですので、ジオデータベースのデータを移行する際は、属性情報などが格納されているユーザー データだけでなく、関連するシステム テーブルも一緒に移行する必要がありますのでご注意ください。

詳細は以下のヘルプをご参照ください。
Oracle に格納されたジオデータベースの移動方法

PostgreSQL に格納されたジオデータベースの移行方法

SQL Server に格納されたジオデータベースの移行方法

Q. バージョン編集を利用して、データの編集を行っています。エンタープライズ ジオデータベースのパフォーマンスが下がっているのですが、なにか対策はありませんか?

A. エンタープライズ ジオデータベースのメンテナンスを適切に行っているでしょうか。バージョン編集には推奨されているワークフローがあります。データの編集、リコンサイル / ポスト、圧縮、統計情報の更新のワークフローを計画、管理、運用してください。

バージョン編集

(『エンタープライズ ジオデータベース管理入門』テキスト P.109)

バージョン編集のワークフローは、この図のようにデータ編集、リコンサイル / ポスト圧縮、そして統計情報の更新を行うことが推奨されています。
バージョン編集では、編集量に比例してデータ量も増加するため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスを怠ると、システムのパフォーマンスが低下します。それを避けるため、管理者は、このワークフローを確立させ、適切に運用していくことが求められます。

このワークフロー内の圧縮処理ですが、圧縮処理の効果を向上させるためのリコンサイル / ポストのワークフローを確立し、定期的な圧縮処理を実施して、不要な編集レコードを除去します。そして、統計情報の更新は、データの約 20% に変更が加えられた際に実行する必要があります。圧縮処理は実際にデータを更新しているわけではありませんが、過去の編集情報の整理が行われるため、編集情報が蓄積されていると大量のデータが処理されます。そのため、圧縮処理の前後に統計情報を更新することが推奨されています。

圧縮処理の頻度は、そのシステムの編集量によります。データ作成など、非常に大量の編集が発生するシステムにおいては、1 日に 1~2 回の圧縮処理の実施が必要になる場合もありますし、一方で、編集頻度が低いシステムでは 1 週間に 1 回あるいは 1 ヶ月~ 6 ヶ月に 1 回などの圧縮処理でもパフォーマンスを維持できる場合があります。編集量に応じて、適切なワークフローを計画してください。

2020 年 1 月 6 日に、トレーニング コース『エンタープライズ ジオデータベース管理入門』で使用していたテキストと演習問題を弊社サポートサイト (要ログイン) にて公開しました。

ArcSDE テクノロジーについてはこのテキストの 25 ページに記載されています。

トレーニング コース中で使用されていた演習データも公開しております。5 章の演習ではバージョン編集からデータベースの圧縮までを操作していただけますので、ぜひお試しください。