※本記事は米国 ESRI のブログ「Mapping coronavirus waffles」をベースに翻訳、編集しています。
世界中で爆発的に進行し、未だ甚大な被害をもたらしている新型コロナウイルス感染症「Covid-19」。 感染者数が増減する状況の中、さまざまな表現や解析方法でコロナウイルスの警告や状況を把握するマップが登場していますが、今回は確認されているデータに基づき、単一のタイム スライスでありながら、多数の変数を同時に表現できる多変量シンボル「ワッフル グリッド」を使ってマッピングする方法をご紹介します。
ワッフル グリッドとは
ワッフル グリッド表現とはあまり聞きなれない表現かもしれません。まずは例をご覧ください。下図は 1979 年、William Bowden によってマッピングされた灌漑用水のカリフォルニアの水域地図です。この表現では、さまざまな作物の種類ごとの灌漑で使用される水の量を表しています。各セルは 5000 エーカー・フィートの水を表し、異なる作物の種類によって使用されている灌漑用水の想定的な割合を視覚的に見ることができます。更に、ワッフルグリッドにセルを追加するだけで、水域ごとに相互に比例する独自のシンボルを持たせることができます。
このようにワッフル グリッド表現は決して新しい表現方法ではないのです。
Waffle ツール
Esri ではさまざまなカルトグラム ツールを含むツールボックスを開発しており、ワッフル グリッドもその一部として予定されていましたが、今回全ツールのリリースに先駆けて、Waffle Grid ツールが共有されることになりました。本ツールは、リンク先からダウンロードし、ArcGIS Pro でご利用いただくことができます。Zip ファイルを展開し、マップに Waffles Toolbox を追加し、マップの投影法を設定してツールを実行してください。
※本ツールは米国 Esri 提供のサンプル ツールです。ESRIジャパンではサポートしておりませんことを予めご了承ください。
下記は、実際のツールの例です。
Input Feature : ポイントまたはポリゴンの入力フィーチャ データ
Inputs Field: 入力フィーチャの属性テーブルのフィールド。ワッフル グリッドに含めたいすべてのフィールドを選択します。今回の例では、感染者数、入院者数、退院者数、死亡者数フィールドを含んでいます。グリッドはここで選択したフィールド順に表示されます。
Waffle Cell Size : マップ単位の各セルの側面の長さです。今回の例では 500 メートルです。
Output Features : 出力ポリゴン フィーチャクラス
日本のコロナウイルスのデータを使ったワッフル グリッド表現
さて、この Waffle ツールと日本のコロナウイルスのデータを使って処理を実行してみます。今回使用したのは、新型コロナウイルス対策支援サイトで公開されている「全期間・状態別感染者数(ポイント版・都道府県別)」のデータです。
データには下図のような属性が含まれています。
Waffle ツールにデータを入力し、パラメーターを設定します。パラメーターの設定については、上述の Waffle ツールの画像をご参照ください。ツールを実行した結果は以下の通りです。
このマップでは、東京、神奈川、埼玉、千葉の範囲を表示しています。こうして見てみると、東京がやはり圧倒的に数が多い事が分かりますし、埼玉県は他県と比べて退院者数 (オレンジ色) が少ないことなどが一目でわかります。
※本データはデフォルトではポイントが都道府県庁所在地に配置されていますが、Waffle ツールの出力結果ポリゴンが重複しないよう、予めポイントを各県の重心に移動させています。
量と割合を示すことが出来る Waffle ツールを使った表現、データ可視化の方法の一つとしてご活用ください。
関連リンク
・ジョンズ・ホプキンス大学提供 新型コロナウイルス症例データをArcGIS Proで可視化
・ジャッグジャパン社提供 新型コロナウイルス感染者数データのArcGIS Pro での利用方法
・新型コロナウイルスのマップを作成するときに気を付けたいこと