2020 年は COVID-19 関連のニュース等でクラスターやリンクといった用語を頻繁に耳にしてきました。そのリンク解析機能が 2020 年 9 月リリースの ArcGIS Pro 2.6 に新機能として搭載されました。そこで今回は新型コロナウイルス陽性判定患者のデータを使い新機能で解析してみました。
クラスターの分析
筆者が住む岐阜県では、2020 年 2 月 26 日に最初の陽性判定患者が確認されてから新型コロナウイルス感染者が増加し、 2021 年 2 月 4 日現在までに 4,347 名の患者が県内で確認されています。岐阜県は「岐阜県 新型コロナウイルス感染症に関する情報」を公開しています。また、このページからリンクされている岐阜県オープンデータカタログサイトでは、陽性患者属性データを CSV 等の形式で提供しています。
筆者は上記 2 つのデータを組み合わせて陽性判定患者の感染リンクデータを作成し、ArcGIS Pro 2.6 でリンク チャートを作成しました(図1)。
図 1 リンク チャート
図 1 は、2020 年 3 月下旬に発生したクラスターをリンク チャート上でマウス操作で選択した後の状態を示しています。動的に連携しマップ上でも対応するフィーチャを視覚的に確認できます。このように地理的影響範囲を対話的、視覚的に瞬時に把握できます。
2020 年 7 月 31 日に県知事は「第 2 波非常事態」を発令しました。7 月の岐阜県感染者の約 6 割が、愛知県由来。全国初となった高校クラスター。続いて大学クラスターも発生。等々の状況がありました。7 月の陽性判定患者のみのリンク チャートが図 2 です。愛知県から岐阜県への濃厚接触者を確認するため、都道府県で分類表示し、愛知県を赤、岐阜県を緑のシンボルで表示しました。前述の 6 割の愛知県由来のうち濃厚接触者が特定できているものが赤色で表示されていると解釈できます。
図 2 濃厚接触リンク 赤(愛知県)、緑(岐阜県)、グレー(その他)
リンク チャートの作成方法
リンク チャートの作成手順は非常にシンプルに行えます。岐阜県の COVID-19 陽性判定患者の例では以下のように 4 ステップ(作業時間は 1,2 分程度)でチャート化できました。
①テーブルを作成します(図 3 )。テーブルには感染者 ID、濃厚接触者 ID および代表点の X, Y 座標を格納します。
②テーブルをポイントに変換
③ArcGIS Pro 2.6 の [挿入] – [新しいリンク チャート」を選択
④最初のエンティティ タイプを追加をクリック(以下のように設定)
この機会にArcGIS Pro 2.6 の新機能「リンク解析」をぜひお試し下さい!
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