ArcGIS で始める感染症対策 ~新型コロナワクチン 供給/接種の効率化~

ワクチン供給を監視する

2021 年に入り、新型コロナワクチン (以下、COVID-19 ワクチン) の接種を開始する国々が増えてきています。厚生労働省のリリースによると、日本においても 2 月中旬から接種が開始される予定です。

ワクチンの接種を効率的に提供する上で GIS が果たすことができる役割について、先日のブログ記事「GIS は、新型コロナウイルス感染症のワクチン供給を効率的に提供できるか?」でご紹介しました。皆様の中には「GIS を業務で活用できるようにするまでの準備が大変なのではないか」という感想をお持ちになった方もいらっしゃるかと思います。こうした課題に対して、米国 Esri 社では GIS を業務で活用するための環境を簡単にかつ即座に構築するための「テンプレート」を無償で提供しています。

本記事では、効率的な COVID-19 ワクチンの供給の実現をサポートするため、米国 Esri 社が提供するテンプレート「Coronavirus Vaccine Outreach」と「Coronavirus Vaccine Distribution Dashboard」についてご紹介します。

なお、本記事は以下の米国 Esri 社によるテンプレート紹介記事「Coronavirus Vaccine Distribution Solutions Available Now」を参考に構成しました。

はじめに

COVID-19 ワクチンの高い接種率を実現するためには、正確なワクチン情報や接種計画の進捗状況、そしてワクチン接種を受けるための案内を提供する強力かつ透明性の高い啓発活動が必要です。

現在、地域社会に対するワクチン供給計画の伝達と、それらの計画の有効性の監視をサポートするよう設計された一連の新しいソリューションが ArcGIS ユーザーに提供されています。この新しいソリューションは、米国疾病対策センター (CDC) が提唱する推奨事項に一致しています。このソリューションを利用することによって、ワクチン供給を実施する行政機関は、CDC の推奨事項を実行するためにコミュニティが作成した計画をサポートし、位置に基づいたデータを活用して主要なワクチン供給指標を監視することが可能です。

ワクチン供給計画を伝える

安全で効果的なワクチンは COVID-19 のパンデミックとの闘いにおいて最も重要なツールの 1 つです。それでも、ワクチンの安全性と効果について世論はさまざまであり、誤った情報はワクチン接種率に直接影響を及ぼします。誤った情報をなくし、COVID-19 ワクチン接種の管理及び接種を成功させるために、強力で機敏な情報提供が行われています。

ワクチン供給計画を伝える

あらゆる情報提供における重要な視点は、一般の人々がこの重要な情報にアクセスし、質問をし、支援を要求するために役立つ Web サイトを提供することです。「Coronavirus Vaccine Outreach」ソリューションは、一般の人々に対して、「いつ」、「どこで」ワクチン接種を受けることが可能であるかを理解するための極めて重要な情報を提供し、また世間一般へのワクチン接種において必要となるであろう医療ボランティアを募集するのに役立ちます。

本ソリューションは、ArcGIS Hub サイトを活用してワクチン供給計画を促進し、一般の人々からの信頼を築きます。このサイトは PC のみならずスマートフォンからの閲覧にも対応し、またあらゆる人にとって使いやすいものになっています。そのため、地域社会に対してワクチン供給活動に関する情報をわかりやすく提供し、ワクチン接種を実現するためのサイトとして機能します。

このサイトが地域社会のメンバーに対して提供する機能は以下の通りです。

  • 地域社会における主要なワクチン供給指標の確認
  • ワクチン接種の体験談の共有
  • ワクチン接種の対象者であるかの確認
  • ワクチン接種会場の検索
  • ワクチン接種に向けた医療知識の共有

提供する機能

ArcGIS Hub Premium* サブスクリプションを追加すると、コミュニティ メンバーは、ワクチン接種計画をフォローし、地域のワクチン接種目標を達成するために役立つようにスケジュールされた新しいイベントに関する最新情報を入手することができます。

* ArcGIS Hub Premium は国内未リリース製品です。

ワクチン供給を監視する

地域社会がワクチンの供給を開始すると、状況認識の維持は不可欠です。

ワクチンの供給と供給範囲の指標が対象集団間 (例: 高齢者、基礎疾患を有する者) で、また地域ごとにどのように異なるかを理解することは、意思決定者がワクチン供給計画を実行するのに役立ちます。

Coronavirus Vaccine Distribution Dashboard」ソリューションは、ワクチン供給指標を集計することでどれぐらいの人がワクチンを接種したのかを確認し、定義された地域における主要な傾向とパフォーマンス目標を監視し、利害関係者に進捗を伝えます。

ワクチン供給を監視する

ダッシュボードは CDC によって定義された一連の主要なワクチン供給指標が含まれており、CDC の推奨事項を実行するためにコミュニティによって開発されたワクチン接種計画をサポートします。

インジケーターと指標は特定のレポート エリア (例: 国、州または県、地域、郡、郵便番号界、市町村、又はその他の地理的領域) ごとに集計されるため、自身が住んでいる州や地域または郡の進捗状況を確認することができます。さらに、本ソリューションは自分が所属する組織用に確立された他の表を監視するように構成することもできます。

Coronavirus Vaccine Distribution Dashboard

新型コロナワクチンの供給指標は「Vaccine Distribution Reporter」アプリによってすばやく集計することができます。指標は 1 つ以上のレポート エリアに対して定期的に入力することができます。必要に応じて、新しい情報を受け取った際にスプレッド シートや他のデータソースからも情報を読み込むことができます。

効率的な COVID-19 ワクチンの供給の実現をサポートするため、米国 Esri 社が提供するテンプレート「Coronavirus Vaccine Outreach」と「Coronavirus Vaccine Distribution Dashboard」についてご紹介しました。このテンプレートが GIS を業務で活用する上でのヒントとなることができたら幸いです。

ウェビナーのご案内

本記事のテーマとして取り上げている COVID-19 ワクチン供給と GIS について、2 月 16 日 (火) にウェビナーを開催いたします。GIS を活用した COVID-19 対策のメリットや、GIS を活用して効率的なワクチン供給を実現するための 5 つのステップなどを中心にご紹介します。

参加をご希望される方は弊社 Web サイトから聴講の登録をお願いいたします。

ウェビナーの概要

「地図を活用した新型コロナウイルス対策ウェビナー ~ワクチン供給戦略ソリューションのご紹介~」

開催日時: 2021 年 2 月 16 日 (火) 15:00 ~ 15:40
参加形式: ウェビナー形式 (Zoom を利用)
参加費: 無料 (事前参加登録制)
対象: 新型コロナウイルス対策に地図や GIS がどのように活用できるかご関心のある方

おわりに

ESRIジャパンでは、ArcGIS を活用して感染症拡大防止に対応する組織・団体様を対象として、ArcGIS 製品の一部を無償で提供する「新型コロナウイルス対応支援パッケージ」をご用意しています。今回ご紹介した取り組み以外にも GIS を活用した感染症対策にご興味がある方は是非お申し込みください。

本ブログでは、引き続き GIS を活用した新型コロナウイルス感染症対策に役立つ情報をお知らせしていきますので、ぜひご期待ください。

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