GIS は、新型コロナウイルス感染症のワクチン供給を効率的に提供できるか?

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2020 年 12 月現在、イギリスに続きアメリカでも新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が開始されました。ワクチンが供給できる数は限られており、「医療従事者や高齢者などを優先的に接種する。」また「マイナス 70 度の超低温でのワクチン管理や運送を効率的に実施する必要がある。」などと言われています。

本ブログでは、ワクチン供給するにあたり GIS がどのように役立つのかイギリスの例を中心に次の 5 つのカテゴリーを紹介します。

① ワクチンを配布する施設の特定 (ロケーション-アロケーション)

② ワクチンを接種すべき集団の優先順位付け

③ 新しいワクチン配布場所の検討 (① と ② のギャップ分析に基づく)

④ ワクチンキットの調達状況の可視化 (サプライチェーン)

⑤ 進歩状況の監視と共有


① ワクチンを配布する施設の特定 (ロケーション-アロケーション)

予防接種ができる最適な場所を特定します。最適な場所を特定するには、ロケーション-アロケーション解析を利用します。ロケーション-アロケーション解析とは、商品 (ワクチン) とサービス (予防接種できる施設) およびワクチンをマイナス 70 度で保管できる施設がある場所に関する情報に基づいて、重要地点に商品とサービスを最も効率的に供給できるように施設配置することです。これによりワクチン接種センターがカバーできる領域を理解することができます。ワクチンの流通が増えれば、カバー範囲外に予防接種センターとして新しい場所の候補地を検討しより多くのワクチンを供給できることが予測されます。

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ロケーション-アロケーション 車で 40 分以内にある条件を満たすために、どの介護施設がどの病院に割り当てられているかを示す例

② ワクチンを接種すべき集団の優先順位付け

ワクチンの供給量が充分ではないため、医療従事者、高齢者、基礎疾患を持つ人など新型コロナウイルス感染症に脆弱なグループに優先的に接種を進める必要があります。ArcGIS OnlineLiving Atlas を使用することで国勢調査のデータにアクセスすることができ、さまざまな地域の人口規模と主要な人口統計を詳細に表示し、総人口数と比べて対象患者数が多い地域を導くことができます。

GIS を活用することにより、複数のデータセット間を通していくつかの空間パターンとその関係性を表示し理解することができるので、予防接種プログラムを「症例数が多い地域を対象とするか」または「年齢分布、人口密度、経済状況などの人口特性に焦点を合わせるか」を判断する材料になります。

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Community Analyst を使用して作成された候補地となる予防接種センター周辺のデータを要約したインフォグラフィックスの例

③ 新しいワクチン配布場所の検討 (① と ② のギャップ分析に基づく)

予防接種プログラムは、プログラムのさまざまな段階の主要なグループを対象としています。これらのグループは、「どこにあるのか?」「彼らは予防接種センターに到達できるか?」「それともワクチンを供給できる接種巡回チームの標的にする必要があるのか?」といった各フェーズを検討する必要があります。

例えば、介護施設にいる人々は、高齢者や基礎疾患がある人が多いので、彼らは予防接種プログラムの早い段階で接種対象になります。しかしながら彼らは予防接種センターに行きワクチン接種をするのは難しいので、介護施設で接種できるように移動ユニットが必要になります。道路データを利用してネットワーク解析を行うことで介護施設と予防センターに最も近い場所を導き出し、介護施設と予防センターを結び付け、各介護施設の割り当てを効率的に最適化することができます。

計画された移動ユニットは、割り当てられた介護施設をどれくらい早く訪問できるか? よりローカルな規模に移動すると、Vehicle Routing Problem (VRP) ツールを使用し、ワクチン接種巡回チームがその地域の介護施設を訪問する作業を計画することができます。これを説明するために 2 つのワクチン接種巡回チームが 6 日間にわたって作業する VRP を設定しました (各チームのルートを毎日更新)。各介護施設の対象者とスタッフの数に関するデータを使用して、さまざまな施設が予防接種にかかる時間をモデル化できます。これにより固定値に頼り、各チームが 1 回の移動で複数の介護施設をカバーするのに十分なワクチンを接種できると仮定しました。

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介護施設に予防接種を行うために 6 日間にわたり働く 2 つのチームの最適化されたスケジュール例

④ ワクチンキットの調達状況の可視化 (サプライチェーン)

より多くの予防接種チームの展開を表すために、ルートセットを追加することができます。分析を繰り返すことで、モデル化された時間内にさらにいくつかの介護施設にワクチンを接種できるかを把握することができます。道路網での接続を使用してロケーション接続を理解することによりワクチンキットの調達状況を可視化し、国や自治体が直面している規模での計画演習に、効率性や時間の節約の可能性が重要になる可能性があります。

⑤ 進歩状況の監視と共有

予防接種を受ける人口の割合は、地域によって異なります。予防接種の進歩状況をどのように追跡し、症例数の変化とともにこれらを監視するかが重要となります。米国ジョンズ・ホプキンス大学の新型コロナウイルスの感染症のダッシュボードのようなマップと統計データを使用することで、予防接種が完了する前に、進行状況を国民に安心させながら、進行中のリスクについて情報を有益で最新の方法で表示し共有することができます。

ArcGIS プラットフォームでは、さまざまな対象者が対話的なマップに簡単にアクセスして理解することができる仕組みを持っています。政府および対応組織は、ワクチンを配布するための計画を立てる際にこれら 5 つの課題領域において滞りなく対応する必要があります。効果的かつ効率的にワクチンを配布するために GIS の活用が必須になります。

本記事は、以下のページに記載されている記事を参考に構成しました。

How might GIS help plan a mass vaccination programme? – Resource Centre | Esri UK & Ireland

■ 関連リンク

新型コロナウイルスの感染状況に関するマップ

新型コロナウイルスの対応支援サイト

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