2021 年 2 月 10 日に ArcGIS Pro 2.7 をリリースしました。
今回は、空間解析に関する新機能をご紹介します。
ポリゴンの按分
[解析] ツールボックスの [オーバーレイ] ツールセットに [ポリゴンの按分] ツールが追加されました。
このツールでは、ターゲット ポリゴン レイヤーの空間オーバーレイに基づき、入力ポリゴン レイヤーの属性を集計し、ターゲット ポリゴンに属性を割り当てます。また、割り当てる際に任意のフィールドを加重フィールドとして設定することも可能です。
一般的には「面積按分」と呼ばれており、これまで ArcGIS Pro の Basic ライセンスの標準機能では、複数のツールを組み合わせることで行えましたが、[ポリゴンの按分] ツール 1 つで実現できます。
人口が格納されたポリゴンを 3 次メッシュの範囲で按分して集計する際などにご利用いただけます。
近傍要約統計量
[空間統計] ツールボックスの [地域的分布特性の算出] ツールセットに [近傍要約統計量] ツールが追加されました。このツールでは、各フィーチャの周囲のローカル近傍を使用して、1 つ以上の数値フィールドの要約統計量を計算します。使用できる近隣タイプには、距離バンド、ドロネー三角形分割などの、さまざまなタイプがあります。
近傍タイプ:距離バンド 近傍タイプ:ドロネー三角形分割
以下の例では店舗ポイントにおいて、分析フィールドを売上高とし、近傍要約統計量ツールを実行しました。
[近傍タイプ] パラメーターに [ドロネー三角形分割] を選択した場合、出力フィーチャクラスはボロノイ分割されたポリゴンが作成されるため、ボロノイ分割の商圏における統計量が計算されます。
これにより、隣接する店舗の売り上げの平均値と各店舗の売り上げを比較し、分析することができます。
移動解析
[インテリジェンス] ツールボックスの [行動] ツールセットに、人流データや移動ログ データの解析に便利なツールがいくつか追加されました。
[移動イベントの分類] ツールでは、ポイント トラッキングのデータにおいて、右折または左折、右 U ターンまたは左 U ターン、加速度、減速、開始、停止、速度、ポイント間の距離の差や時間の差などのイベントを特定し、属性テーブルに出力します。
以下の図では、車両でのトラッキング データに対して、このツールを実行した例です。
信号や渋滞でブレーキが踏まれて速度が低下している場所を特定したり、ターン イベント発生している箇所を特定したりすることができます。この機能の利用には、Advanced ライセンスが必要です。
リリースから連載してきたArcGIS Pro 2.7 の新機能記事も、これで最後です。今後の ArcGIS Pro のリリースにもご期待ください!!
なお、ArcGIS Pro の基本的な操作を「~をしたい」という目的を示したタイトルから調べられる「ArcGIS Pro 逆引きガイド」も、ArcGIS Pro 2.7 版にバージョンアップしています。ぜひ、ご活用ください。
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