ArcGIS Online のサービス クレジット消費を抑えるために – ArcGIS Pro でのタイル作成および解析のコツ

みなさんは ArcGIS Online のサービス クレジット (以下、クレジット) をうまく消費・管理できていますか?

前回の記事「ArcGIS Online のサービス クレジット消費を抑えるために – データ・マップ作成の際のコツ」では、クレジット消費を抑える方法を「データ・マップ作成」の観点から解説していきました。今回はその続編として、タイル生成の際のコツや ArcGIS Pro で解析する際にクレジット消費を抑える方法を解説していきます!

■1. タイル レイヤーを有効活用しよう!

前回の記事では主に、フィーチャ レイヤーのデータ容量を減らすことや、保持するフィーチャ レイヤー数を減らす方法を紹介してきました。

今回は、タイル レイヤーを駆使してクレジット消費を抑える方法について解説していきます!

タイルには作成済みのマップを画像 (ラスター) 形式で用意したマップ タイルと、ベクター形式で、かつタイル状に区切って用意したベクター タイルがあります (参照:マップ タイル)。本記事ではマップ タイルを紹介しますが、ベクター タイルについて詳しく知りたい方は、以前掲載した「ベクター タイル大解剖! – 基礎編」および「ベクター タイル大解剖! – 作成・共有編」をご参照ください。 

タイル レイヤーとフィーチャ レイヤーの大きな違いとしては、タイルはフィーチャと違って属性情報を持たないという点にあります。属性情報を持たないということは、データ容量も小さいということになります。さらに、フィーチャ サービスは 100 MB のデータを保存で 1 か月あたり 24 クレジットを消費するのに対し、タイル サービスは 1 GB のデータを保存で 1 か月あたり 1.2 クレジットを消費と、データ ストレージにかかるクレジットという観点からもコスト抑制につながります (参照: ArcGIS Online 製品ページ: クレジット)。

実際の例を見ていきましょう。

下記のレイヤーをフィーチャ、タイルのそれぞれで ArcGIS Online に共有した際のデータ容量はフィーチャが 120 MB、タイルの場合は 655 KB となっています。データ容量はタイルの方がかなり小さいことが分かります。さらに、データ ストレージを計算すると、フィーチャは 1 か月あたりおよそ 28 クレジット、タイルは 1 か月あたりおよそ 0.0001 クレジット消費と、圧倒的にタイルがお得であることが分かります。

しかし属性情報を持たない場合、使い方が難しいのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。そのため、実際にタイルを利用しているシーンを見ていきましょう。

以前掲載した 【「日本と世界の森林について」どんな現状なのか?ストーリー マップを通して学ぼう!】 の中で紹介したストーリー マップ日本と世界の森林の現状」では、多くの場面でタイル レイヤーを使用しています。

例として、「世界の森林の現状」項目中の「プランテーションと森林消失」を見ていきましょう。
下記の例では、サイドカーに画像として凡例を表示し、マップにはタイル レイヤーを利用しています。解析で用いる場面ではない場合、このように工夫することでタイルを有効活用することが出来ます。また、レイヤーとして表示したいだけの場合も、タイルが有効活用できます。

タイルを有効活用していくことで、データ ストレージでのクレジット消費を減らしていきましょう!

■2. タイル生成は ArcGIS Pro で行おう!

コツ 1 を通して、大容量データを Web マップ上で表示する場合は、タイルにすると大幅に消費クレジットを抑えられることが分かりました。しかしながら、ArcGIS Online のタイル生成サービスの利用にはクレジットを消費します。

その対応策として、タイルとして利用したいレイヤーを ArcGIS Pro から ArcGIS Online に共有します。
手順としては、[共有] タブ → [Web レイヤーとして共有] を選択します。[Web レイヤーとして共有] ウィンドウで [タイル] を選択します。[構成] から、[詳細レベル] を任意の範囲に変更します。さいごに、[構成] のオプションで [ローカルにキャッシュ] を選択することで、クレジット消費を抑えてタイルを作成することが出来ます。(参照: Web タイル レイヤーの共有)

■3. ArcGIS Pro での解析の際にクレジット消費を抑えるコツ

皆さんは、ArcGIS Pro でジオコーディングネットワーク解析を利用したことがありますか?到達圏の分析やルート解析など、ビジネスの場面でご活用されている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

ジオコーディングやネットワーク解析は、追加のコンテンツを購入しなくても利用できるためとても便利な機能ですが、これらの解析にはクレジットを消費します (参照: クレジット)。少量のデータであれば大きなクレジット消費にはなりませんが、日常的に大量のジオコーディングやネットワーク解析を行う場合、多くのクレジットを消費します。

上記の問題への対応策としては、ローカルのデータコンテンツを利用するという方法があります。ESRIジャパンでは、ArcGIS 製品ですぐにご利用いただけるデータコンテンツの販売もしています (参照:GIS データ ストア)。購入した住所・ジオコーディングデータや道路網といったデータコンテンツを利用することで、解析によって消費されるクレジットを抑制することが出来ます (参照: ジオコーディング: ArcGIS Geo Suite 住居レベル住所、ネットワーク解析: ArcGIS Geo Suite 道路網)。

大量にクレジットを消費する解析を日常的に行われている方は、クレジット消費で生じるコストとデータコンテンツを購入するコストを照らし合わせて、データコンテンツのご利用をご検討いただければ幸いです。

実際に ArcGIS Pro でローカルのデータコンテンツを利用してネットワーク解析を行う方法を説明します。

[解析] → [ネットワーク解析] を選択します。その後、[データ ソース] → [参照] からローカルに保存したデータ ソースに変更することで、クレジットを消費せずにネットワーク解析を利用することが出来るようになります (ローカルの道路網データを使用する場合は、ArcGIS Network Analyst エクステンションが必要です)。

データコンテンツをご利用でないお客様につきましても、解析を実行する前に消費されるクレジットを確認したり、解析対象データを絞ることで消費クレジットの抑制ができます (参照: ArcGIS Online のサービス クレジットを賢く使う 4 つのコツ)

タイル生成、解析の際にクレジット消費を抑える方法を解説しましたが、いかがだったでしょうか?クレジット消費を抑える方法を知ることで、ArcGIS Online のクレジットをより有意義にご利用していただければ幸いです!

ArcGIS 活用ウェビナー「ArcGIS のサービス クレジットの消費を抑えて操作を行うには?役立つテクニックやコンテンツをご紹介!」を10 月 1 日 (金) 15:00 – 16:00 に行います。

本ブログ記事で紹介した内容や、前編記事「ArcGIS Online のサービス クレジット消費を抑えるために – データ・マップ作成の際のコツ」で紹介した内容、組織サイト運用のコツなどが盛り込まれた内容となっております。ウェビナーではデモを実演しながらクレジットを節約するコツをご紹介していくため、さらに分かりやすくなっていることと思います。

また、事前質問も受け付けておりますので本記事をお読みになって分からなかった箇所や、サービス クレジットに関する疑問などもご質問下さい。

参加費は無料となっておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

詳細については「ArcGIS のサービス クレジットの消費を抑えて操作を行うには?役立つテクニックやコンテンツをご紹介!」をご参照ください。

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■関連リンク

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