本記事では、ドローン画像処理についての Tips をご紹介します。
RTK ドローンの画像処理結果が期待した場所に表示されない
RTK ドローンを使えば、広範囲のエリアを素早く高精度に観測し、クライアントの要望に沿った調査ができるため、高品質な測量のワークフローに大いに貢献します。しかし、ArcGIS Drone2Map や Site Scan for ArcGIS で画像を処理した後、出力された地形モデルの値がベースマップの標高レイヤーと大きく異なる場合はどうすればよいでしょうか。あるいは、3D メッシュが地表のはるか下に沈んでいたり、地表の上に浮いていたりすることに気づいたらどうすればよいでしょうか。
なぜこのようなことが起こるのかを理解するためには、まず、垂直高度の基本的な定義とさまざまな鉛直座標系について理解する必要があります。詳細な説明は「Further education」をご参照ください。簡単にまとめると、RTK システムは楕円体高またはオルソメトリック高さの値、あるいはその両方を提供しており、どちらの値が表示されているかは、ユーザーマニュアルを見て (またはベンダーに問い合わせて) 理解することが重要だと言えます。
Esri の標高レイヤーは、常にオルソメトリックの高さ (標高) を示します。ドローンが楕円体高でデータを収集する場合、これは出力が標高レイヤーと異なる理由の 1 つかもしれません。現在使用されている多くは、標高 (海抜) を使用して作業することを望むのかと思います。
Sample Heights for World Terrain マップを使用して、RTK 値がオルソメトリックまたは楕円体高を参照しているかどうかを確認することができます。プロジェクトエリアの場所まで移動し、任意のピクセルをクリックします。
ポップアップ ウィンドウには、その場所の標高値が楕円体高 (Ellipsoidal Height(HAE, meters)) とオルソメトリックの高さ (Orthometric height(ASL, meters)) で表示されます。
ドローンの RTK 機の設定で値を変更できない場合は、楕円体高で画像メタデータをインポートするように Drone2Map を設定します。(楕円体高については Drone2Map のヘルプドキュメント「鉛直参照」をご参照ください。)
Site Scan で作業している場合は、画像をアップロードした後、処理を開始する間に、入力画像の垂直基準を特定の鉛直測地基準系に設定できます。出力プロダクトを ArcGIS Online の Scene Viewer に追加する場合は、EGM96 Geoid の楕円体高が使用されていることに注意し、Z 値が同じ鉛直測地基準系を使用していることを確認してください。
一般的に、ドローンと RTK 機を使用して画像を収集する場合、ハードウェアが生成する参照システムとクライアントが求めるシステムを理解することが非常に重要です。システムを変換する必要がある場合、それに応じてハードウェアを設定するか、画像の高度値を目的のシステムに設定することが推奨されます。
補足
ArcGIS Drone2Map での対処法について
上記の内容は、Drone2Map バージョン 2.3 時点での方法です。最新バージョン 2022.1 では、ArcGIS Pro でサポートされている座標系と同じ地理座標系および鉛直座標系のサポート (新機能:鉛直座標系のサポート) を行うようになったことで、座標系の [楕円体高] オプションは無くなり、任意の鉛直座標系を設定できるようになっています。
下図はバージョン 2022.1 の処理オプション/座標系タブです。
楕円体高で取得した画像から作成された標高データや 3D データは、楕円体高の値で出力されます。もし、オルソメトリックの高さで作成したいという場合は以下の FAQ をご参考ください。
Drone2Map でドローン画像の高度値を調整したい
本ブログは、Esri社のブログ「Having a bad case of RTK vertigo?」の内容を一部抜粋し、翻訳・加筆したものです。
関連リンク
- Having a bad case of vertigo? (Esri社ブログ)
- ArcGIS Drone2Map の一般的なトラブルシューティング
- ArcGIS ドローンマッピング 2022 まとめ
- 測地系 (GIS 基礎解説)