ArcGIS Pro の新しい日射量解析ツールのご紹介

はじめに

ArcGIS Pro バージョン 3.2 から、新たに 2 つの日射量解析ツールが追加されました。本ブログでは、新たに追加されたツールである、[フィーチャの日射量 (Feature Solar Radiation)] ツールと [ラスターの日射量 (Raster Solar Radiation)]  ツールをご紹介いたします。

日射量解析ツールとは

指定期間の地理的条件を考慮した日射量をマッピングしたり解析したりするためのツールです。

数値標高モデルから、一定の範囲、または特定の位置の日射量をテーブルやラスターで出力することができます。また、[オプション出力] を設定することで、通常出力される全天日射量のラスターだけではなく、直達日射量や散乱日射量、直達日射量の期間を表す日照時間のラスターを出力することもできます。

日射量解析を行うことで、太陽光パネルを設置する際の設置場所の検討や、農作物栽培に適した土地の選定を行うのに役立てることができます。

※日射量解析ツールの使用には、GIS Professional Basic 以上 + Spatial Analyst エクステンションが必要です。

[フィーチャの日射量 (Feature Solar Radiation)]

入力ポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャにおける日射量を指定された時間間隔で計算することができます。解析対象エリアは地球だけでなく月における日射量も解析可能です。

[ポイントの日射量 (Points Solar Radiation)] ツールの後継となるツールです。
従来では、入力フィーチャにはポイント フィーチャしか使用することができませんでしたが、[フィーチャの日射量] ツール ではポリゴン フィーチャも入力データとして使用でき、タイムゾーンの選択も行うことができます。

パラメーターの設定

解析結果はテーブルとして出力することも、日射量の属性情報を追加したフィーチャとして出力することもできます。出力テーブルには全天日射量や単位面積当たりの日射量などが格納されます。出力結合レイヤーには、日射量の属性情報を入力フィーチャに結合したフィーチャが格納されます。今回行った解析は、ある地域を解析範囲として処理を行い、建築物ごとの日射量を算出しました。

出力テーブル

出力結合レイヤー

処理結果の利用例としては、太陽光パネルの設置場所ににおける具体的な数値を用いた比較や検討が挙げられます。

[ラスターの日射量 (Feature Solar Radiation)]

地球または月の数値表層モデルや数値標高モデル等のラスターの各セルに対する日射量を計算します。解析結果はラスターとして出力されます。
[エリアの日射量 (Area Solar Radiation)] ツールの後継となるツールです。
タイムゾーンの設定ができるようになったほか、解析する範囲をポリゴンでマスクして解析することができるようになりました。

パラメーターの設定

今回は、数値標高モデルから鎌倉市の範囲を表したポリゴンを用いて解析範囲のマスクを行い、日射量の解析を行いました。下の画像が解析結果であり、日射量の多い南向きの場所は暖色、少ない北向きの場所は寒色で表されていることが分かります。

出力ラスター

処理結果の利用例としては、エリアごとの日射量を確認することができ、建築物を建てる際の日当たりの確認や農作物栽培の適地選定などが挙げられます。

終わりに

新しい日射量解析ツールによって、タイムゾーンや解析マスクなどの設定を行うことができるようになりました。 今回ご紹介した設定のほかに、[地形パラメーター]、[放射パラメーター] などの設定を行うことができ、傾斜角ラスターを入力して解析のパフォーマンスを上げたり、散乱日射モデルを変更したりすることも可能です。

これまでの日射量解析ツール 、[エリアの日射量 (Area Solar Radiation)] ツールと [ポイントの日射量 (Points Solar Radiation)] ツールは非推奨のツールとなり、将来のアップデートで削除される予定ですので、機能が拡張された新ツールをぜひご利用ください。

関連ブログ

関連リンク

関連製品

フォローする