【WhereNext】ロケーション・インテリジェンスの “Swift” な入門

テイラー・スウィフトは 2023 年 3 月、世界規模のコンサートツアー『Eras』を開始した。このツアーでは、その年の終わりまでに、アーティストによる音楽ツアーとして初めて 10 億ドルの収益を突破した。今年はさらに 10 億ドルの経済効果をもたらすと予想されている。

テイラー・スウィフトの『Eras』ツアーをはじめとしたライブ・イベントは、一般消費者にファン・アウトの機会を与え、企業にとっては新たなコネクションを作るチャンスとなっている。

このツアーはアメリカ経済に約 46 億ドルをもたらしたと言われている。開催都市は好景気に沸き、シカゴでは、『Eras』が開催された週末のホテルの稼働率が記録的なものとなった。シンシナティ当局は、このツアーが地元経済に 9200 万ドルをもたらすと見積もっている。連邦準備制度理事会 (FRB) ですら、『Eras』は観光産業を活性化させたと述べた。

このテイラー・スウィフトのツアーは特異で大規模なものかもしれないが、F1 レースであれ、ワールドカップ予選であれ、オリンピックであれ、どんなライブ・イベントでも波及効果を活用するチャンスはある。重要なのは、その地域の地理と、イベントがどのようなファンを惹きつけるかを理解することだ。その理解はロケーション・インテリジェンスからもたらされ、GIS テクノロジーによって生み出される。

地域を転々とするロケーション・インテリジェンス

コンビニエンスストア、保険会社、アパレルメーカーなど様々な企業が消費者を理解し、オペレーションを改善し、情報に基づいた予測を行うためにロケーション・インテリジェンスを利用している。GIS が日々の事業計画や長期的な投資判断のために提供する地図やダッシュボードは、スウィフトのコンサート、プレーオフの試合、映画祭など、企業がライブ・イベントを最大限に活用するのにも役立っている。実際、企業は何年も前から、ロケーション・インテリジェンスを利用して、もうひとつの変化する事象である天候による変化を予測してきた。

あるフォーチュン 200 の食品・飲料メーカーでは、天候データを POS 記録や顧客ロイヤルティ情報と照らし合わせて分析している。GIS はこれらのデータセットをデジタル地図上に統合し、天候が顧客の購入品目にどのような影響を与えるかを明らかにしている。このロケーション・インテリジェンスにより、同社は天候の見通しに基づいて、カウンターの奥や棚にあるものを調整することができる。同様に、ある天然ガス会社は GIS 技術を使って天候と燃料需要の相関関係を調査し、現在では適切な地域に供給を準備している。ライブ・イベントの場合、ロケーション・インテリジェンスは企業が消費者の嗜好を予測するのに役立つ。

ライブ・イベントの予測

会場の周辺や、その地域の主要な交通機関に店舗を構える小売企業は、イベントに参加する可能性の高い人々の属性を分析し、関連商品を仕入れたり、その場に合った看板を作成したりすることができる。他のブランドでは、ロケーション・インテリジェンスを利用して、地元の空港、機内誌、会場や近隣のホテル近くのビルボードに関連広告を掲載するなど、ターゲットを絞ったマーケティングを行うことができる。また、特定の郵便番号でソーシャルメディアを活用し、その地域の企業との提携を計画することもある。これらの戦略はすべて、地理的データによって強化される。地理的データとは、重要な消費者の嗜好を明らかにするのに十分具体的でありつつも、個人情報の保護を十分に担保された情報である。

テイラー・スウィフトの『Eras』ツアーが記録的な世界での巡演を続ける中、ロケーション・インテリジェンスを活用してあらゆるタイプのファンとあらゆる場所でつながる方法を検討する企業が増えるのは間違いない。

この記事は WhereNext のグローバル版に掲載されたものです。
原文:A Taylor Swift Tour Raises Stakes on Location Intelligence (esri.com)