ArcGIS で作成できるオルソ画像のご紹介

はじめに

ArcGIS では、高精細度なオルソ画像を作成することができます。作成できるオルソ画像には 3 種類あり、それぞれ特徴や作成方法が異なります。本記事では、これらの 3 種類のオルソ画像について紹介していきます。

ダイナミック オルソ

ダイナミック オルソは、データ上ではオルソ補正された元の画像が保持されている画像データです。ユーザーが画像の表示順序や境界線の処理方法を動的に変更して継ぎ合わせ (モザイク) することができます。
ArcGIS では後述のトゥルー オルソなどを作成する際の中間生成物としてダイナミック オルソを利用することができます。下のアニメーションのように、表示順序を変更することで同一地点を複数の角度から撮影した写真を確認することができます。

ダイナミック オルソの表示画像の動的な変更

ダイナミック オルソの特徴は、以下の通りです。

  • ビューでの表示順序の決定やブレンドは作成後に動的に行うことができる。
  • オルソ画像としてすばやく使用を開始できる。
  • 複数の異なる方向からの画像を確認できる。
  • 検査や緊急時の対応、ステレオ計測に利用できる。

オルソモザイク

オルソモザイクはダイナミック オルソから作成できるオルソ画像です。シームライン (画像をモザイクする境界線) 周辺での表示順序やブレンドを設定することで、静的なオルソ画像として出力できます。

(左) ダイナミック オルソのシームラインでの表示順序やブレンドを設定して、
(右) オルソモザイクとしてエクスポート

オルソモザイクの特徴は、以下の通りです。

  • 比較的短時間で作成でき、高速に表示できる。
  • 比較的小さいファイル容量で保存できる。
  • 農業、鉱業、その他の自然地形に焦点を当てたプロジェクトに利用できる。

トゥルー オルソ

トゥルー オルソの名前は、真の正射画像であることを意味します。以下の画像はトゥルー オルソとオルソモザイクの比較です。

同じ範囲で切り取られた (左) オルソモザイクと、(右) トゥルー オルソ

トゥルー オルソの処理には、地物を含めた正射投影を行うために特殊な標高データを使用します。オルソモザイクではあらかじめ用意された DEM (数値標高モデル) を使用しますが、トゥルー オルソの場合は、建物等の地物を含めた標高データである DSM (数値表層モデル) を入力写真から作成して使用します。
この処理によってトゥルー オルソは、道路や地形に限らず、建物などのオブジェクトも傾くことなく表示することができます。

トゥルー オルソの特徴は、以下の通りです。

  • オブジェクトが傾くことなく、位置やサイズをより正確に把握できる。
  • 動いている物体 (車など) を自動的に除去できる。
  • 副産物の DSM は、3D の可視化や体積解析などに利用できる。
  • 地物を含めた正射画像である点を活かして、都市計画、建設、交通などの人工インフラ分野で利用できる。

さいごに

本記事では各オルソ画像の特徴を説明しました。
ダイナミック オルソやオルソモザイクは、デスクトップ アプリケーションの ArcGIS Drone2Map を使用してドローン画像を処理するか、ArcGIS Proオルソ マッピングの機能でドローン画像や航空写真、衛星写真を処理して作成することができます。
トゥルー オルソは ArcGIS Drone2Map のほかに、クラウド アプリケーションの Site Scan for ArcGISArcGIS Reality StudioArcGIS Reality for ArcGIS Pro を使用して作成することができます。

本ブログは、Esri 社のブログ「The Different Types of Ortho Images Created in ArcGIS (esri.com)」の内容を一部抜粋し、翻訳・加筆したものです。

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