ArcGIS API for Python の最新バージョン 2.4.2 を 2025 年 10 月 13 日 (日本時間 2025 年 10 月 14 日) にリリースしました。
本記事ではアップデートされた主な内容をご紹介いたします。
目次
Python 3.13 のサポート
今回のリリースでは、Python のバージョンを 3.11 から 3.13 へアップグレードしました。バージョン 3.13 は Python コミュニティーにとって重要なメジャー リリースであり、重要なパフォーマンス改善、メモリーの最適化、開発エクスペリエンスの強化が含まれています。Python 3.13 のすべての優れた点について詳しくはこちらをご覧ください。
GIS 管理
ArcGIS Enterprise および ArcGIS Enterprise on Kubernetes のデプロイにおける管理タスクを簡素化するため、arcgis.gis モジュールおよび arcgis.gis.admin サブモジュールに新機能を追加し、機能強化しました。
新たに追加された AboutManager クラスは、ArcGIS Enterprise デプロイメント内のコンポーネントに関する使用状況およびライセンス情報を提供します。「about」リソースは、ハードウェア詳細 (CPU、RAM、ディスク使用量など) や、ArcGIS Enterprise デプロイメントを構成する各コンポーネント (デプロイメントとフェデレーションされた全サーバーを含む) のライセンス情報などを集約します。
新たに追加されたHealthCheckManager、SuitesManager、ReportManager などのクラスにより、ユーザーは Kubernetes デプロイメントにおける組織の健全性を評価できるようになりました。
ServerManager.validate() メソッドに重要なアップグレードが追加されました。新しいverbose プロパティの値を True に設定することで、管理者はフェデレーション サーバーのステータスを検査して、詳細な情報やメッセージを取得し、問題が発生した場合の診断を支援できます。以下は、フェデレーション サーバーの1つに対して返される情報の例です。
コンテンツ管理
従来、ノートブック内のファイル管理に使用される NotebookDataAccess クラスおよび NotebookFile クラスは、ArcGIS Enterprise の Notebook Server 上のノートブックのみをサポートしていました。これらのクラスは更新され、ArcGIS Online および Kubernetes 上の ArcGIS Enterprise のノートブック ワークスペースもサポートするようになりました。新たに導入された NotebookFolder クラスにより、ユーザーはノートブック ワークスペース ディレクトリー内のフォルダーおよびサブフォルダーを管理できるようになりました。これにより、ユーザーはワークスペース ディレクトリー内のファイルやフォルダーの作成、名前の変更、削除といった拡張機能を利用できるほか、管理者は組織内の別のユーザーに対してワークスペースの内容をプログラムで再割り当てする機能が追加されました。
マッピング / ビジュアライゼーション
ベースマップのスタイル設定を効率化するため、新たに BasemapStyle クラスとBasemapStylesService クラスを導入しました。これらは膨大な数のベースマップ スタイル、スタイル設定オプション、サーバー機能を提供し、あらゆるズーム レベルで最適な地図表示を実現します。データは使用されるスタイルに応じてベクター タイルおよびマップ タイルとして提供され、衛星画像の完全サポートやカスタム スタイルの表示にも対応しています。
データ サイエンス / ArcGIS Learn
新たなモデル「Hyperspectral3DRCNet」 が追加され、ハイパースペクトル画像分類を実行可能になりました。これは土地被覆マッピング、作物種の識別、環境モニタリングなどのリモート センシング応用に特に有用です。本モデルは高次元のハイパースペクトル データを効率的に処理し、景観特徴の正確な識別において重要な微細なスペクトル特性を保持します。
さらに、物体検出、分類、ピクセル分類を網羅するモデル群において、新たなリモート センシング基盤 (Clay、DOFA、Satlas) のサポートが追加されました。これらは地理空間データ上で良好な性能を発揮し、高度な地理空間分析を強化します。
対応プラットフォームの更新
- Python バージョン 3.13 (セカンダリー サポートとしてバージョン 3.10, 3.11, 3.12)
- 今後の ArcGIS API for Python のバージョンでは、Python の新バージョンに対するサポートを評価します。
 
- Esri 製品とそのバージョン※
- ArcGIS Pro 3.6 以上のデフォルト環境とクローン環境
- ArcGIS Enterprise 12.0 以上 (ノートブック ランタイムに含まれる)
- ArcGIS Online 2026 年 2 月アップデート
 
- conda または PyPI を通じて利用可能なスタンドアロンの Python 環境
※ ArcGIS Pro 3.6 は今冬リリース予定、ArcGIS Enterprise 12.0 は 2025 年 11 月頃にリリース予定です。
非推奨機能
TensorFlow ライブラリーは非推奨となり、ArcGIS API for Python ではサポートされなくなりました。詳細は Esri Community の投稿をご覧ください。廃止予定の機能のリストは、ArcGIS API for Pythonのドキュメントでご確認いただけます。
おわりに
API に関するサポートやフィードバックの共有に役立つ優れたリソースが利用可能ですので、改めてお知らせいたします。具体的な質問や機能強化・改善の提案、他のユーザーとの交流、最新ブログの閲覧には、ArcGIS API for Python Esri Community ページをご利用ください。バグ報告、機能強化リクエスト、その他の問題の報告には、ArcGIS API for Python の公開 GitHubリポジトリーをご利用いただけます。Esri の ArcGIS API for Python チームはこれらのページを積極的に監視しており、今後の API 開発の優先順位を決定する上で重要な指針となる皆様からのフィードバックや提案を歓迎しております。ぜひご意見をお寄せください。
本記事でご紹介したアップデートの他にも機能の更新や不具合の修正等が行われています。新機能や不具合修正等の詳細は、「リリース ノート」をご参照ください。
関連リンク
ESRIジャパン Web サイト:
米国 Esri 社 Web サイト:
米国 Esri 社 ArcGIS Blog:

