米国 Esri 本社の Web サイトにて、アマゾン社の「Amazon Web Services」との連携サービスをいくつかご紹介しております。その中で基本となる「ArcGIS Server on Amazon EC2」というサービスについて、本記事でご紹介いたします。
注:「ArcGIS Server on Amazon EC2」は、日本国内でのご提供開始時期やご提供方法を現在検討中のサービスです。
1. Amazon EC2 とは?
Amazon EC2(以下、EC2)は、アマゾン社の「Amazon Web Services(AWS)」という商用クラウドサービスの1つであり、アプリケーションを実行するためのスケーラブルなコンピューティングリソースを「仮想マシン」という形で柔軟に利用できるというものです。クラウドコンピューティングのサービスモデルとして、主にSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)という三種類があるのはご存知の方も多いと思いますが、EC2 はこの中で IaaS に分類されるサービスです(場合によっては PaaS に分類されることもあります)。
2. ArcGIS Server on Amazon EC2 とは?
EC2 の利点は、まずは「素早く、簡単に」コンピューティングリソースを利用できるというところにあり、この仕組みにより ArcGIS Server を手軽にご利用いただこうというのが「ArcGIS Server on Amazon EC2」です。
もちろん、EC2 上でいくら簡単にサーバ環境が用意できると言っても、オペレーティングシステム(OS)や ArcGIS Server のインストールや設定に手間と時間がかかるようでは意味がありません。そこで重要となるのが「Amazon Machine Image(AMI)」というものです。これは OS や基本的なアプリケーション(Webサーバやデータベースなど)がマシンにインストールされた状態をイメージデータとして呼び出せるようにしてあるもので、新規に作成した仮想マシン(インスタンスと呼びます)に対して AMI を選択して起動すれば、必要な OS やアプリケーションが稼動状態となったサーバ環境が短時間でできあがります。
「ArcGIS Server on Amazon EC2」では、サービスのご利用者に対して「ArcGIS Server AMI」と「Enterprise Geodatabase AMI」という2種類の AMI をご提供します(下図参照)。
注:この図で表示されている AMI は ArcGIS Server on Amazon EC2 のご契約者のみにご提供するものですので、通常の EC2 アカウントからはアクセスできません。
これにより、必要なときに、ArcGIS Server が搭載された GIS サーバ環境を素早く手軽に調達することが可能となります。
3. どんなときに便利?(想定される利用シーンの例)
ArcGIS Server を用いたアプリケーションやシステム開発をおこなっていただく際、EDN(Esri Developer Network)という年間契約プログラムをご用意しており、1契約につき1開発者が自由にArcGIS Server 等の対象製品をインストールすることができますが、開発やテスト用のマシンが足りなくなった(もしくはスペックが低くて利用できなくなった)場合に新しいマシンを調達するのは大変手間がかかります。
そのような場合に「ArcGIS Server on Amazon EC2」をご利用いただくと、必要となるスペックのマシンを必要な期間だけ即座に調達でき、ArcGIS Server のセッティングも手間いらずに完了できます。特に複数スペックのマシン環境での動作パフォーマンステストを行う必要がある時などに有効です。
以上、本サービスの日本国内でのご提供は ArcGIS 10 の国内リリース後を予定しておりますので、今しばらくお待ちください。