実用編:衆院選の結果マップはどのようにして作られたか?

先週2回にわたってご紹介した衆院選の結果マップは、ArcGIS Online の組織向けプランを使用して作成しました。ArcGIS Online の組織向けプランにはホスト サービス機能があり、どなたでも簡単に ArcGIS for Desktop で作成したマップ ドキュメントから Web サービスを作成することができます。今回は、衆院選の結果マップを例に、マップ作成および作成したマップを利用してWebアプリケーションを作成するまでの流れを簡単にご紹介します。

1. ArcGIS for Desktop でマップを作成する
Web サービスとして公開したいマップをまずは作成します。今回のデータは、弊社が提供している全国市区町村界データを基に小選挙区を作成しました。

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2. サービスを公開する
マップを作成したら、ArcMap 上で [ファイル] → [サイン イン] から、 ArcGIS Online の組織向けプランにサイン インし、マップをWeb サービスとして公開します。ArcGIS Online の組織向けプランにサイン インした状態でサービスを公開すると、サービスを公開するホストとして、所属している ArcGIS Online の組織を選択することができます。

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組織向けプランを利用してサービスを公開する場合は、サービスに対して2つの機能を有効にすることができます。

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タイル マッピングを有効にすると、描画済みのマップ画像を配信するタイル マップ サービスが公開されます。タイル マップ サービスは大容量のデータでも高速に表示することができます。Feature Access を有効にすると、フィーチャの検索や編集を行ったり、属性を表示できるフィーチャ サービスが公開されます。今回は Feature Access 機能を有効にし、サービスを公開しました。

3. 公開したサービスを編集する
サービスを公開したら、ArcGIS.com 上で公開したサービスのタイトルや説明、クレジットなどを記入します。フィーチャ サービスの場合、フィーチャの編集に対して制限をかけることができます。

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編集を無効にした場合は、大縮尺にした時は自動的に頂点を間引いてフィーチャを表示させるので、編集を有効にした場合よりも描画パフォーマンスが向上します。今回のサービスは編集を無効にして公開しています。

4.Web マップを作成する
公開されたサービスは、組織内でのみ共有することもできますし、すべての人に共有することもできます。今回のサービスはすべての人に公開していますので、個人向けプランをご利用の方でもサービスを利用してマップを作成することができます。
ArcGIS.com ビューアを開き、ステップ 3 で作成したサービスを追加します。ArcGIS Online 内で「選挙」と検索すると、選挙に関連するサービスが検索結果に表示されますので、マップへサービスを追加します。

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描画パフォーマンスを向上させるために自動的に頂点を間引いていますので、隙間があいているように見えてしまうかもしれませんが、実際のデータには隙間はありません。
属性情報や追加したサービスの名前を適宜変更してマップを完成させ、名前を付けてマップを保存します。マップの保存は、ArcGIS Online の個人向けまたは組織向けのアカウントが必要です。マップを保存したい場合は、予め ArcGIS Online にサイン インした状態でマップにサービスを追加してください。アカウントの作成方法はこちらのページから、「ArcGIS Online ユーザアカウントについて」をご参照ください。また、「ArcGIS Online 個人向けプラン簡単利用ガイド」は ArcGIS.com での操作全般について紹介していますので、こちらもご参照ください。

5. Webアプリケーションを作成する
マップを保存すると、そのマップを共有することができます。マップ上で [共有] ボタンをクリックし、[Web アプリケーション] を選択します。いくつかテンプレートが用意されていますので、テンプレートを選択して Web アプリケーションを公開します。

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総選挙の比較マップでは 3 つのマップを比較しましたが、マップが 1 つの場合は、下図のように位置情報をもった Twitter や YouTube をマップ上に表示させると、どの地域でソーシャルメディアによる反応が多いのかなど何か見えてくるかもしれませんね。

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このように、ArcGIS Online の組織向けプランを利用することで、簡単に Web サービスを公開できます。公開した Web サービスを使用して Web アプリケーション を作成すれば、今回のように、興味のある事象を様々な人と共有することが可能です。ArcGIS Online の組織向けプランを 30 日無償で利用することができるトライアル版がありますので、興味のある方は是非ご利用ください。

また、現在公開されているサービスを利用した Web アプリケーションの作成も難しい操作はありません。皆さんも、何か Web アプリケーションを作成してみてはいかがでしょうか。そして、作成した Web アプリケーションを是非共有してください。例えば、ArcGIS.com 上で「日本」と検索すると、日本に関するコンテンツのうち、すべての人に公開されているコンテンツが表示されます。これらのコンテンツは、個人向け、組織向けのアカウントをお持ちでなくても参照することのできるコンテンツです。日本に関するコンテンツがたくさん増えてくれると嬉しいです。

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■関連リンク
ArcGIS Online
衆院選の選挙結果を地図で見てみる
過去 3 回の衆院選の選挙結果を比較してみました

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