先日掲載した記事「ArcGIS Geo Suite 道路網のちょっと便利な活用法」の続編として、『ESRIジャパン データコンテンツ ArcGIS Geo Suite 道路網 2017』(以下、道路網)をちょっと便利に活用する方法をご紹介します。道路網には、ネットワーク データセットに加えて背景地図が付属収録されていることをご存知ですか?この背景地図には豊富な施設記号や注記データが含まれており、単に背景の”絵”として利用するだけでなく、ネットワーク解析時の重ね合わせや入力データにも利用することができます!そこで、今回は道路網に収録されている背景地図データのちょっと便利な活用例をご紹介します。
施設記号データの活用例
道路網の背景地図には、役所、公共施設、教育施設、店舗、飲食店などの施設のポイント データ*が地図描画用の記号データとして多数収録されています。この記号データを利用すると、たとえば到達圏を作成した際にその圏内に位置する施設を調べることができます。下図は、新橋駅を起点に自転車で 5 分、または 10 分で移動できる到達圏を作成した例です。
*収録されているポイントは、地図上での記号表示を目的に最大 1:12,500 程度の縮尺での描画を想定して提供されているもので、位置検索用の POI(目標物)データとして提供されているものではありません。
この到達圏レイヤーに、記号データからコンビニエンスストアのポイントだけを抜き出し*、重ねてみます。新橋駅から自転車で 5 分、10 分以内で行くことのできるコンビニエンスストアはこんなにありました!
*ADF2017_BACKGROUND ジオデータベース内の SHISETSU_P フィーチャクラスのうち、1/12500 記号用縮尺フラグ フィールドが「1」、施設等種別コード2 フィールドが「4203」(= コンビニエンスストア)のフィーチャを選択しました。
到達圏ポリゴンと交差するコンビニエンスストアのポイントを空間検索して確認すると、新橋駅から自転車で 5 分以内に到達できるコンビニエンスストアは 55 軒、10 分以内には 145 軒ありました。施設記号データの属性には名称のフィールドが含まれているので、チェーン名や店舗名が確認できてとても便利です!
ここからさらにチェーンごとの分布を調べたり、道路網に収録されているその他の施設記号のポイント(例:スーパー、ドラッグストア)を重ねて出店数を比較したりと、アイディア次第でもっと深く調べ進めることができるのではないでしょうか。
注記データの活用例
道路網の背景地図には、鉄道駅名、地名、水域名などの注記データが収録されており、施設記号データと同様に、ネットワーク解析の際に活用することができます。たとえば、下図のように目的地の周辺に複数の鉄道駅がある場合、OD コスト マトリックス解析の起点に駅名のポイント データを指定*すれば、各駅から目的地(終点)までのおおよその所要時間を比較することができます。
* ADF2017_BACKGROUND ジオデータベース内の RROAD_STATION フィーチャクラスのうち、必要な駅名のみを選択して起点としてインポートし利用しました。
今回は各駅から徒歩で目的地に移動する想定で解析を行ってみました。この例では候補の 7 駅のうち、松原駅から移動するルートが最短のようです!*
*OD コスト マトリックス解析の結果で出力されるラインの属性には、画面上に表示される直線の情報ではなく、実際の道路ネットワーク解析の結果が含まれます。
背景地図データを最大限に活用することで、道路網の活用の幅をさらに広げることができます。道路網でネットワーク解析を行う際には、ぜひ背景地図データも併せてご活用ください!
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