ノーコーディングですぐに作れる!ArcGIS Living Atlas を利用した 3D 震源マップ

甚大な被害が発生した関東大震災から 2023 年 9 月 1 日で 100 年の節目を迎えます。日本では、関東大震災以降も巨大な地震が繰り返し発生しています。

本ブログでは、地震がどのような場所で発生しているのか簡単に把握できる 3D 震源マップを ArcGIS Online 上で作成する方法をご紹介します。なお、データは Esri、Esri パートナー、および GIS ユーザー コミュニティが公開した ArcGIS Online コンテンツから、すぐに利用できる GIS コンテンツを収集したコレクションである ArcGIS Living Atlas of the world (以下、Living Atlas)上のデータを利用します。

使用するデータ

Living Atlas に登録されている 震源データ (2010-2020年) を使用します。このデータは、気象庁が公開している震度データから 2010~2020 年のデータを取得して、震源のみを抽出したデータです。過去約 10 年間における日本付近の有感地震の震源が登録されています。

3D 震源マップ作成方法

震源データの追加

上記データは、震源の深さをマイナスの値で Z 値を付与した 3D フィーチャとして登録しているため、簡単に 3D 表示することができます。

Step3 以降の作業は ArcGIS Online へのサインインが必要になるため、事前にサインインを行ってください。アカウントが無い場合は、無料でアカウントを作成することもできます。

Step1:震源データ (2010-2020年) を開き [シーン ビューアーで開く] を選択します。

シーン ビューアー上でデータは 3D 表示されていますが、地下にあるデータは見えないため調整を行います。

Step2:右上の [ベースマップ] を開き、[衛星画像] を選択して、[地表の透過表示] を 75% 程度に設定します。

Step3:左側の [プロパティ] を選択し、[背景色] を選択します。

Step4:[塗りつぶし色] を黒などの暗色系のものに設定します。

以上で、3D 表示された震源データを可視化することができました。

国境界データの追加

この状態では、日本列島が分かりづらいため Living Atlas 上から国の境界を示すデータを取得し、重ね合わせます。

Step1:左上の [レイヤーの追加] → [レイヤーの参照] を選択します。

Step2:対象を [Living Atlas] に変更し、「Country」と検索し、[World Countries Generalized] の [+] ボタンをクリックして追加します。

Step3:[完了] をクリックし、レイヤー マネージャー上で追加したレイヤーを選択します。

Step4: [2D ポリゴン] の [オプション] を選択し、[色] を選択します。

Step5:[塗りつぶし色] の透過表示を 90%、[アウトライン色] を白色に設定し、[完了] します。

以上で、3D 震源マップが完成しました。完成したシーンはここから確認できます。

3D 震源マップを使ってみよう!

作成した 3D 震源マップを動かしながら眺めているだけで、日本付近の震源分布が分かり、興味深いと思います。さらに、ここでは ArcGIS 上で使える機能やデータを組み合わせる方法をご紹介します。

スライス機能の活用

シーン ビューアーの基本機能である、[スライス] ツールを利用することで、ある断面における震度分布を対話的に把握できます。たとえば、下の例は関東地方から東北地方にかけて対話的にスライスを行った例です。いずれも太平洋プレートの沈み込み帯に沿って、震源が分布していますが、関東付近にはより深い震源の地震が分布していることが分かります。

気象オンライン サービス(ゲヒルン版)との重ね合わせ

各種防災気象情報をリアルタイムに提供する気象オンラインサービス(ゲヒルン版)では、震源や震度に関する情報もリアルタイムに提供しています。そこで提供される震源データも 3D 表示可能なため、リアルタイムな震源と震度分布を本データと重ね合わせて表現することもできます。

たとえば、以下の例は 6 月 11 日に北海道の浦河沖で発生した M6.2・最大震度 5 弱の地震と 5 月 5 日に石川県能登地方で発生した M5.9・最大震度 5 強の地震を表しています。浦河沖の地震は震源の深さが 140km と非常に深かったため、マグニチュードの割に震度が抑えられたことが把握できます。

このように Living Atlas 上には様々な役立つデータが公開されています。今後も多くのデータを提供できるように活動してまいりますので、どうぞご期待ください。

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