オープンデータの将来ビジョン 「ArcGIS Hub」 と海外における先行事例について

オープンデータに関する連載記事も最終回となりました。

今回は ArcGIS を活用したオープンデータの将来ビジョンとして 「ArcGIS Hub」 というソリューションと、すでに海外で使われている先行事例について紹介します。

【これまでの記事】

ArcGIS “Hub” とは

ArcGIS Hub というソリューション名に含まれる「Hub (ハブ)」という言葉を聞くと、航路が集中する ”ハブ” 空港、あるいは自転車のスポークが集中する部分 (ハブ) などを連想するでしょう。ハブは中心的な場所に位置し、複数のリソースを中継する (つなぐ) ような意味合いになるかと思います。

ArcGIS Hub も同様のコンセプトで、市民、NPO/NGO、スタートアップ企業、学術機関など、複数の利害関係者、組織・団体をつなぐ中心的な役割を担い、共通の地域課題を解決するための双方向型プラットフォームを提供します。

geohub

ArcGIS Hub が提供するもの

ArcGIS Hub は「イニシアティブ」と呼ばれる地域課題を設定し、それを解決するためのデータ、マップ、アプリ、Web ページを市民や関係組織に提供します。たとえば地図ベースの市民投稿サイトや市民参加のコミュニティ イベントなどの仕組みを構築できます。

あらかじめ用意されているイニシアティブの例としては、

・交通事故をゼロにする

・伝染病を防止する

・ホームレスを減少する

などがあります。もちろん自治体によって課題は異なりますので、独自のイニシアティブを作成することも可能です。

 

はじまりはロサンゼルスの GeoHub

ArcGIS Hub のアイデアの始まりは米国ロサンゼルス市の GeoHub でした。GeoHub は 2016 年に立ち上がり、ロサンゼルスのオープンデータを通して、交通事故のゼロ運動、道路のクリーン化や拡張化、建設場所や許可申請の見える化などを行っています。

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イニシアティブの事例

■空き家の有効活用 (サウスベンド市, 米国)

シカゴの東に位置するサウスベンド市では、「1,000 Houses in 1,000 Days (1,000 日間で 1,000 の家を)」という目標を掲げ、空き地の有効活用のための情報提供を行っています。

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■市民からの大気や気候データの収集と提供 (ズヴォレ市, オランダ)

ズヴォレ市では「SensHagen プロジェクト」と称し、市民に地域の気候を意識させようと努力しています。一部の住民はセンサーを使って大気の状態や降水量、風の情報などを測定し、自治体が ArcGIS Hub を使って情報提供しています。

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海外では他にもいくつかの自治体がすでに ArcGIS Hub を活用して地域課題に取り組んでいます。

オープンデータ、マップ、アプリ、Web サイトをすべて統合的に管理し、自治体、市民、関係組織が協働で地域課題に取り組むために利用できる双方向型プラットフォームの ArcGIS Hub は現在国内リリース検討中ですので、今後の動向にご期待ください。

 

■関連リンク

・GIS 基礎解説: オープンデータ

・業種別ページ: 情報公開 GIS ソリューション

・製品ページ: ArcGIS Online