オープンデータを活用した地域医療分析

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対象地域がどのような状況にあるのか現状を分析することが地域分析です。近年では経済や農業、福祉など、さまざまな観点から多くの大学や企業で地域分析がされています。特に福祉や医療分野では、待機児童の問題、介護福祉施設の不足、医療費の増加など今後ますます加速すると思われる少子高齢化社会には多くの課題があります。

それらの課題解決には、まずはその地域がどのような状況であるか知ることから始まります。

そこで、今回は大阪市が公開している内閣官房推奨データセットのオープンデータを使用して地域分析を行いました。

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使用したデータ

大阪市が公開しているオープンデータと ArcGIS ですぐに使えるデータ パッケージである ESRIジャパンのスターターパックの公共地図を使用しました。

オープンデータ

・介護サービス事業所一覧

・医療機関一覧

・地域・年齢別人口

・子育て施設一覧

スターターパック(大阪市内のデータを抜粋)

・市区町村境界ポリゴン

・駅名

・鉄道路線

作業の流れ

  1. 大阪市のオープンデータサイトから必要なデータとダウンロードします(CSV ファイル)。
  2. ArcGIS Online に CSV ファイルをアップロードし、フィーチャ レイヤーを作成します。
  3. ArcGIS Pro で、市区町村境界ポリゴンに「地域・年齢別人口」テーブルを結合し、「65 歳以上の総人口」と「4 歳以下の総人口」を計算します(フィールド演算)。
65歳以上の総人口=(60-64歳の男性人口) +(60-64歳の女性人口) +(65-69歳の男性人口) +(65-69歳の女性人口) +(70-74歳の男性人口) +(70-74歳の女性人口) +(75-79歳の男性人口) +(75-79歳の女性人口) +(80-84歳の男性人口) +(80-84歳の女性人口) +(85歳以上の男性人口) +(85歳以上の女性人口) 

4歳以下の総人口 =(0-4歳の男性人口) +(0-4歳の女性人口) 
  1. ArcGIS Pro の [Web レイヤーの公開] 機能を使用して、市区町村境界ポリゴンを ArcGIS Online 上にアップロードします。
  2. ArcGIS Online の「エリア内での集計」機能を使用して、区ごとの施設数をそれぞれ計算します。
  3. 主題図ごとに必要なマップを作成していきます。シンボルを色分けして主題が見やすいようにマップを作成します。

今回は、子育て施設、介護事業所サービス、医療機関が対象となる人口に対してどれだけの個数があるか分析しました。

以下のマップは子育て施設と人口比率の例です。

作業の詳細は「ArcGIS Open Data スタートアップガイド」に掲載されていますので、ご参照ください。

Web アプリの構築

ストーリーマップ ジャーナルを使用して、各マップを説明する資料を作成します。マップ以外にも画像や URL などを指定することができるので分かりやすい説明資料を作ることができます。

完成した地域分析 Web アプリを簡単にご紹介します。

1.介護施設と高齢者人口の比較

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大阪市の中央地域に多くの介護施設があることがわかります。

2.子育て施設と 4 歳以下の人口との比較

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H30年の待機児童数(区別・年齢別)グラフと比較してみても淀川区に子育て施設が不足していることが分かります。

3.医療機関と総人口との比較

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JR環状線と重ね合わせてみた場合、環状線周辺の区に多くの医療機関があることが分かります。今回は夜間人口との比較なので、昼間人口と比較するとまた違った結果になるかもしれません。

今回は、各施設の数を区ごとに集計する簡単な地域分析を行いましたが、これだけでも地域ごとの特色や傾向が見えてきますね。さらに病床数や定員などの人数を加味して分析したり、昼間人口を使用して分析したりすると、また違った結果が得られる可能性もあります。みなさまの地域でも分析をされてみてはいかがでしょうか。

このアプリは内閣官房推奨データセットを活用した「オープンデータカタログサイト」と教育分野向けの「教育GISポータル」に掲載していますので、そちらについてもご覧ください。

■関連リンク

保険医療GIS

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・GIS 基礎解説:オープンデータ

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