ArcGIS Field Mapsを活用する

今回は 2020年11月 に国内リリースされた ArcGIS Field Maps を紹介します。Esri 社からは既存モバイル系アプリケーションについて複数の機能を使いやすい 1 つのアプリケーションにまとめる方向性が示されており、まずは 3 つのアプリケーションが統合したアプリケーションが登場しました。

現場の作業性向上

今回リリースされた初期版を利用してみましたがモバイル作業員が現場でマップを使用する際に必要な機能が 1 つのアプリケーションに集約されており、率直に使いやすくなったと感じました。図 1 に示す通り、初期リリース版では 3 つの既存アプリケーション、将来の更新版ではさらに 2 つの既存アプリケーションの機能が統合される計画となっています。

従来の構成では同じ Web マップを参照する場合でも、アプリケーションごとに個別の設定作業が必要で管理者の負担増に繋がっていました。また、現場作業員も複数のアプリケーションを都度切替える操作を要求されるなど作業性低下の課題がありました。

こうした利用者の不便さを解消するために Esri 社は ArcGIS Field Maps を開発しました。ArcGIS Collector などの既存アプリケーションで利用実績がある機能は継承し、新たな機能も搭載する新アプリケーションがリリースされました。

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図 1  複数の機能を 1 つのアプリケーションに統合

初期リリーズ版の機能

初期リリース版ではモバイル作業での要求度が高い 5 つのカテゴリの機能が実装されています。

  • マップの閲覧
  • マークアップ
  • データの収集
  • オフライン マップの作成
  • 位置のトラッキング

以下に筆者が便利と感じた機能を紹介します。

■ マークアップ

現場 ではマップ上にメモを書き込みメールなどで関係者に送信したい状況も発生します。このような状況ではマークアップ機能が使えます。点、線、面の図形をマップ上に書き込んだ後、[スクリーンショットを共有] メニューを選択し (図 2 左)、メールに添付して送信します (図 2 右)。

また、マークアップはマップとは独立した状態でデバイス上に保存されます。このため、マップを切替えた後も同じアークアップを継続して表示可能です。現場で指定場所がある場合にもマークアップを目印として利用できるため現場でとても役立つと思います。加えてマークアップのレイヤーは複数のレイヤーを持てるため必要なマークアップのみ表示することもできます。現場での実用性に配慮されていると感じられます。

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図 2  マークアップとスクリーンショットの共有

■ データの収集

ArcGIS Collector ユーザーの方にはお馴染みのデータの収集機能です。Web マップに編集可能なフィーチャレイヤーが追加されている時に画面の右下にプラスマークのアイコンが表示されます (図 3 左)。このアイコンをクリックすることでデータの収集モードに切り替わります。入力データ項目をクリックするとデータ型に応じた最適な入力画面が表示されます (図 3 右)。

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図 3  データの収集機能

■ オフライン エリア

通信不通エリアでも現場作業を可能にする機能です。調査前の準備作業としてべースマップ、調査対象のレイヤー等をまとめてスマートフォンにダウンロードしておきます。現場がオフライン環境の場合、収集した GIS データや添付ファイルは一時的にスマートフォンに格納されます。オンライン環境に戻ったタイミングでマスターのデータベースに転送できる仕組みです。準備作業もシンプルです。まず、ArcGIS Field Maps の Web アプリで対象の Web マップをオフラインモードに切替えます。要件がいくつかありますが設定画面に表示されるメッセージに従って作業を進めます。次に ArcGIS Field Maps で Web マップの […] から [オフライン エリアの追加] を選択します (図 4 左)。続いてダウンロード対象エリアを地図画面上の枠で調整し、[ダウンロード エリア] ボタンを選択します (図 4 右)。

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図 4  オフライン エリア対応機能

さいごに

以前は違和感があった ArcGIS Online のサブスクリプション (年間契約) モデルにも随分と慣れてきました。その特徴の 1 つである定期的なアップデート (約 3 ヶ月に 1 度) も当たり前に感じるほどになりました。そんな中新製品のリリースのニュースは新鮮に聞こえます。ArcGIS Field Maps の初期バージョンリリースのニュースもそうでした。しかし、実際に使ってみればまったく逆。どこかで見たことがある機能がそこにある印象を持ちました。枯れた機能をリユースしてより便利に使えるように組みなおしたアプリ。日本の多くの現場でも活用されることでしょう。