高解像度降水ナウキャストで局地的大雨を事前に把握!~気象オンライン(ゲヒルン版)に新規追加~

リアルタイムな防災気象情報を提供する ESRIジャパン データコンテンツ Online Suite 気象オンラインサービス (ゲヒルン版) (以下、気象オンライン (ゲヒルン版)) に高解像度降水ナウキャストを追加しました。降水強度分布の予測を 60 分先までリアルタイムに提供するデータであり、局地的大雨や都市型水害などの被害を軽減するための活用が期待されます。

高解像度降水ナウキャストとは?

高解像度降水ナウキャストとは、気象レーダーによる観測データや各種機関の雨量計データなど様々なデータを活用して、降水強度の分布を 5 分毎に予測するものです。250m 解像度の降水分布を 30 分先まで予測し、60 分先までは同じアルゴリズムで 1km 解像度で予測を提供します。

気象オンライン(ゲヒルン版)では、観測時刻・30 分後予想・60 分後予想の 3 レイヤーを 5 分間隔で更新し、フィーチャレイヤーとして提供します。

陸上と海岸近くの海上では 250m 解像度、その他の海上では 1km 解像度です。また、35 分後以降の予想は全域で 1km 解像度になります。詳細は 気象庁|高解像度降水ナウキャスト (jma.go.jp) をご確認ください。

解析雨量との違い

気象オンライン(ゲヒルン版)には、「降水」を表すデータとして、以前より解析雨量を搭載しています。解析雨量と高解像度降水ナウキャストの違いをご存知でしょうか?

解析雨量は、気象レーダーによる観測をアメダス等の雨量計による観測で補正して、面的にすき間のない正確な雨量分布を表すデータです。たとえば、ある日の 9:00 時点の解析雨量では、8:00 から 9:00 までの 1 時間降水量 (≒実績) を面的に表現しています。一方、高解像度降水ナウキャストでは、9:00 から 10:00 までの降水強度分布の予測を 5 分毎に提供します。

このように同じ「降水」に関するデータでも、データの性質が大きく異なるため、その違いを理解して活用することが重要となります。下の図は、2019 年 10 月 12 日 9:00 時点(台風 19 号接近時)における解析雨量と高解像度降水ナウキャスト(観測時刻)のデータを並べたものです。解析雨量では「過去 1 時間で降った雨の量」が表現されていますが、高解像度降水ナウキャストでは「これから降りそうな雨の強度」が表現されます。

高解像度降水ナウキャストの活用シーン

上記の特徴を利用して、高解像度降水ナウキャストと ArcGIS を組み合わせることで、たとえば、以下のようなシーンで活用することができます。

輸配送の安全確保

車両の位置情報を ArcGIS 上で管理し、そのデータと降水強度の分布を重ねることで、リアルタイムに車両に対する降水の影響を把握することが可能です。また、60 分後までの降水強度の予測を活用して、降雨が強くなると予想されるエリアを事前に察知し、アラート等を送ることでドライバーに気づきを与えることもできます。さらに、配送ルートの策定段階においても、降雨が強くなるエリアを回避するようなルートを構築することも可能です。

都市型水害への対応

都市型の水害では、雨が降り始めてから 30 分以内に河川の増水や浸水などの被害が発生する場合があります。リアルタイムに提供される降水強度を利用して、それらの危険をいち早く察知することで防災・減災に結び付けることができます。

今後も気象オンライン(ゲヒルン版)では、提供可能なコンテンツを拡充してまいりますので、どうぞご期待ください。

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