百葉箱 × IoT!?「進化する百葉箱」のデータが ArcGIS Online で公開されました

はじめに

近年、様々な異常気象に遭遇する機会が多くなってきました。例えば夏の酷暑はその代表的な例です。2022 年の東京都心では、記事執筆時点 (8/29) までに猛暑日を記録した日数が 16 日となり歴代最多を更新しています*1。 高温の過酷な環境下においては常に熱中症のリスクを抱えることになり、熱中症を予防するために様々な対策を実施する必要があります。

こうした状況のなか、埼玉県環境科学国際センター (埼玉県気候変動適応センター) では、熱中症予防を目的として暑さ指数*2を県民に対して公開する取り組みを行っています。

本ブログ記事では、埼玉県環境科学国際センターによる暑さ指数公開の取り組みについてご紹介します。

暑さ指数情報の取得と可視化

暑さ指数情報の取得

先述の通り、埼玉県環境科学国際センターでは県民の熱中症予防をサポートするために暑さ指数を公開しています。より適切な熱中症対策を促すためにはリアルタイムの暑さ指数を収集し公開する必要があります。埼玉県環境科学国際センターでは、この要件を実現するために IoT 技術を活用した暑さ指数計である「進化する百葉箱*3」を独自開発し、およそ 10 分間隔で暑さ指数を収集しています。記事執筆時点では、進化する百葉箱は埼玉県内の 20 カ所に設置されており、暑さ指数の観測網が構築されています。

進化する百葉箱の構造 (埼玉県環境科学国際センター 大和様提供)

進化する百葉箱で取得した暑さ指数は県民に対してわかりやすく公開する必要があります。そこで採用されたのが ArcGIS Online です。

ArcGIS が採用された理由

進化する百葉箱の情報を可視化・公開する基盤として ArcGIS Online が採用された理由は以下の 2 点にまとめることができます。

  • 情報公開用の地図アプリケーションの作成が容易

ArcGIS Online は Esri 社が提供するクラウド GIS サービスであり、Web ブラウザ上で地図を作成、利用、管理することができます。 地図を中心とした情報公開を行うための機能も豊富に提供されています。ノンコーディング (プログラミングなし) でアプリケーションを作成することができるため、高度な IT 技術を有する人員がいなくとも地図を活用した情報公開が可能です。現在公開されている地図アプリケーションも埼玉県環境科学国際センターの担当者がノンコーディングで作成しました。

進化する百葉箱は SORACOM のデバイス、サービスを活用して暑さ指数を取得しています。ArcGIS Online は SORACOM Funnel の機能である Partner Hosted Adapter と連携しています*4。そのため、プロジェクトの初期段階において小規模なデータ量で、かつ大きな手間をかけることなく位置情報を活用した IoT ソリューションの実証を行うことができます。

さいごに

夏も終わりに近づいてきましたが、もうしばらく暑い日が続きそうです。暑さ指数の公開は、暑さがひと段落するであろう 9 月 30 日まで実施される予定です。埼玉県民の皆様はぜひこの取り組みをご自身の熱中症対策に活かしていただけたらと思います。

お問い合わせ先

埼玉県環境科学国際センター

担当者名: 大和広明

電話番号: 0480-73-8367

メールアドレス: g738331@pref.saitama.lg.jp

ArcGIS と IoT

IoT センサーで取得した諸情報の可視化についてお困りごとがありましたらこちらまでお問い合わせください。

参考文献

  1. 気象庁 Web サイトで公開されている気象データを基に筆者が集計
  2. 環境省 “暑さ指数とは?”. 2022. https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php, (参照 2022-08-25)
  3. 埼玉県環境科学国際センター “あついサイタマ県民と考えた熱中症対策 ~誰一人取り残さない熱中症対策を探る!~” 2022
    https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/211630/r03_kouenkai_youshi_yamato2.pdf, (参照 2022-08-29)
  4. ESRIジャパン(株)  “位置情報をマップ上で可視化・分析できる ArcGIS Online が 株式会社ソラコムの SORACOM Funnel と連携開始” 2018
    https://www.esrij.com/news/details/111997/, (参照 2022-08-25)

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