柔軟なデザイン構成の Web アプリを構築できる ArcGIS Experience Builder (以下、Experience Builder) が 2023 年 10 月 25 日 (日本時間 2023 年 10 月 26 日) にアップデートされました。新たな機能の追加に伴い、ArcGIS Web AppBuilder (以下、Web AppBuilder) から移行するための機能も充実しました。
本ブログでは主な新機能や機能強化についてご紹介します。
目次
新ウィジェット
解析
新たに解析ウィジェットが追加されました。このウィジェットは Web AppBuilder の解析ウィジェットとジオプロセシング ウィジェットが統合されたものです。
現在、29 種類の空間解析ツールが利用可能です。またカスタム ジオプロセシング ツールも追加可能です。
ウィジェットには [ツール] タブ、[履歴] タブの 2 つがあります。[ツール] タブでは、追加したツールの一覧表示や解析の設定が可能です。[履歴] タブでは、解析結果やツールの実行のステータス ログを確認可能です。
また解析結果をマップに追加したり、テーブル ウィジェットで表示したり、CSV ファイルにエクスポートすることも可能です。
さらに、マップ ウィジェットに接続している Web マップで実行した解析ツールをインポートすることもできます。既に利用した複数の解析ツールをウィジェットに一括で追加したり、Experience Builder でツールを再実行せずに履歴の表示やエクスポートが可能です。
近隣検索
これまでベータ版として提供していた近隣検索ウィジェットが正式版になりました。今回のアップデートで解析結果のみを表示するフィルター機能や、スケッチ ツールや距離ラベルの表示などをオフにできるオプションが追加されました。
ウィジェットの機能強化
マップ
マップ ウィジェット内のポップアップ、選択ツール、範囲の移動ツールの機能強化が実施されました。
ポップアップ機能の強化
[フィーチャを選択時にポップアップを表示] をオンにすることで、テーブルやリスト、クエリ ウィジェットなどの他のウィジェットでフィーチャが選択された際に、ポップアップを表示するオプションが追加されました。
またポップアップでデータ アクションを扱うことが可能になりました。ポップアップからフィーチャを近隣検索ウィジェットの入力位置として設定したり、ルート案内の目的地・出発地として利用したりすることが可能です。
選択ツールの強化
ショートカット キーを利用して現在の選択範囲にサブセットを追加、削除、または選択が可能になりました。
以前はデフォルトで 2,000 件の選択制限がありましたが、マップ上で選択できるフィーチャ数の制限がなくなりました。
多数のフィーチャを選択したことで選択プロセスに時間がかかる場合は、選択ツール アイコンが進行状況アイコンになります。進行状況アイコンをクリックすると選択プロセスを終了し、その時点までに選択されたフィーチャの操作が可能です。
範囲の移動ツールの追加
ユーザーの画面移動操作をクリック単位で記録し、前後の範囲に移動可能になりました。
編集
関連レコードを編集可能になりました。関連レコードを編集するには、Map Viewer フォームで関連レコード エレメントを設定する必要があります。Map Viewer で関連レコード フォームを設定する方法については「関連レコード エレメントの追加」をご参照ください。
チャート
パイ チャートでホバー ラベルとデータ ラベルをカスタマイズできるようになりました。
小数点以下の最小桁数や最大桁数の設定、ラベル テキストの変更が可能です。また凡例の幅をピクセル単位で変更可能になりました。
テーブル
フィルターの設定アクションが追加され、アプリ利用者がテーブルをフィルター処理する SQL 式を作成可能になりました。
描画
3D 描画効果に [シーンを基準] が追加されました。このオプションを利用することで、シーンレイヤー上に描画可能です。
Business Analyst
- ワークフロー モードが再設計され、インフォグラフィックスのプレビューや検索、並べ替えなどの設定が可能になりました。
- Experience Builder のテーマをサポートするようになりました。
その他の機能強化
モバイル構成画面の最適化
[小画面用のページを編集] で小画面のレイアウトを調整する際、設定パネルが以前はキャンバス上に表示されていましたが、ビルダー画面の余白に表示されるようになりました。動的コンテンツやボタン、区切り線、ビューのナビゲーション ウィジェットの編集時のユーザビリティが向上しました。
おわりに
今回のアップデートでは、多くの機能の追加や強化が行われました。その他の新機能についてはヘルプ (英語) をご参照ください。柔軟なレイアウトがさらに可能になった ArcGIS Experience Builder をぜひご活用ください。
また以下のドキュメントも併せてご参照ください。
- Experience Builder で Web アプリ構築をはじめる方向けのガイド:「ArcGIS Experience Builder 利用ガイド」
- Web AppBuilder のサポート終了について:「ArcGIS Web AppBuilder のサポート終了について」
- Experience Builder と Web AppBuilder の機能比較:「Web AppBuilder と Experience Builder の機能比較表」