vGIS で広がる GIS データの可能性: ArcGIS と AR で現地調査を効率化

AR (Augmented Reality:拡張現実) の技術進化とスマートフォンの高性能化により、より身近な生活で AR を利用することが増えてきました。AR の技術は、ゲームやエンターテイメント分野に限らず、建設分野での施工管理やユーティリティの設備管理等にも活用されてきています。電柱や電線、ガスや水道管等の設備データの多くは、GIS データとして管理されています。それらの各設備を現地で点検調査する際に、AR 上で設備データを確認できると作業も効率化するのではないでしょうか? 

AR の利用イメージ(出典: vGIS社) 

この記事では、ArcGIS のデータを簡単に AR で利用できるソリューションである「vGIS AR」をご紹介します。 

vGIS 

vGIS 社はカナダのトロントに拠点を置く、BIM や GIS データを XR (Cross Reality:クロスリアリティ) プラットフォームで可視化するソリューションを提供する会社です。米国Esri社とのパートナー企業でもあり、2023年と 2019年には Partner Award を受賞しています。米国Esri社以外にも Autodesk、Leica Geosystems、Microsoft 各社の受賞歴もある企業です。  

vGIS AR 

vGIS AR は vGIS 社が提供する XR ソリューションです。位置情報ベースの AR 技術を使用してAndroid/iOS/HoloLens 端末で、BIM、GIS、3D スキャンデータ等を AR 上で表示、編集できます。多様なデータ形式に対応、最大 1cm の高度な AR 精度、自動化されたワークフロー等の特長があります。 

利用可能な ArcGIS のデータ形式 

ArcGIS Online / ArcGIS Enterprise の各種サービス(フィーチャ サービス、マップ サービス、3D オブジェクト シーン サービス、3D ビルディング シーン サービス)に対応していて、それらのデータがあれば、すぐに AR 上で利用できます。ローカルデータしかお持ちでない場合は、お手持ちのデータを ArcGIS Pro で、GeoJSON、KML、シェープファイル等に変換して取り込むこともできます。対応しているデータ形式の詳細はこちらのページをご覧ください。 

ArcGIS のデータを取り込んでみた 

vGIS AR を利用する大まかな流れは以下です。 

  1. vGIS の管理サイトで GIS データを取り込む 
  2. プロジェクトを作成して、vGIS AR アプリで使用する GIS データや機能を設定する 
  3. スマートフォンにインストールした vGIS アプリから作成したプロジェクトを開く 

高度な知識は必要なく簡単に作業を進めることができます。UI の一部も日本語化されています。下の画像は vGIS 管理サイトで、ArcGIS Online のフィーチャ サービスを取り込む設定画面です。 

データを取り込んでプロジェクトを作成したら、スマートフォンにインストールした vGIS AR アプリを開きます。vGIS AR はロケーションベースのソリューションです。取得した現在位置の精度が高ければ高いほど、AR 上で正確な位置にデータを表示できます。高性能な GNSS 端末をスマートフォンに接続して高精度な位置情報を使用することもできますし、vGIS AR アプリのキャリブレーション機能を使用して、手動で現在位置の精度を高めることもできます。 

下の画像は ArcGIS Online のフィーチャ サービス(ポリゴンのデータ)を AR 上で表示している画面です。ポリゴンは土地の利用用途を表した GIS データです。通常は地図アプリ上に GIS データを表示して、地図と実際の風景を見比べながら確認していたと思いますが、AR を利用することで直感的に理解することが可能になるのではないでしょうか。

出典:国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所

下の動画は 3D オブジェクト シーン サービスを AR 上で表示している画面です。本来は建設予定の建物等を AR 上に表示して完成時のイメージを確認するといった使い方が多いかもしれませんが、今回は実際の建物上に、ArcGIS で作成した 3D モデルのデータを重ねて表示しています。3D モデルをスワイプして断面を表示するといったことも可能です。 

出典:国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所

vGIS AR アプリでは、GIS データを表示するだけでなく、属性や位置の編集も行えます。アプリで編集した内容は、ArcGIS Online や ArcGIS Enterprise のデータにも同期可能なため、データを二重で持つ必要もありません。このブログでは、ごく一部の機能しか紹介していませんが、vGIS AR には現場業務を効率化するための様々な機能が用意されています。無償のトライアルもあるので、ArcGIS のデータをお使いで AR での業務をご検討の方はお試しになられてはいかがでしょうか? 

アスク社及びライカジオシステムズ社が vGIS の日本販売代理店となっています。購入及び日本語でのサポートも受けられますので、ご興味がある方は、ぜひ両社にお問い合わせください。

お問い合わせ先

  • ライカジオシステムズ株式会社
    • GMAT事業部
    • TEL: 03-4567-2020
    • email: gc.japan.support@leica-geosystems.com

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