Excel のマップで空間検索してみよう

Excel データを簡単にマップに可視化するための Office アドイン ArcGIS for Excel が 2024 年 6 月にバージョンアップしました。本バージョンでは、ユーザー インターフェイス (UI) を大幅に刷新し、ボタンのデザインがモダンになったことに加え、ボタン配置を再設計し、より直感的に操作できるようになりました。

データ出典:交通事故OD_北海道_2022.csv (北海道オープンデータポータル)

主要なアップデート内容は上記 UI の刷新ですが、本ブログでは新機能の 1 つである空間フィルターの作成機能にフォーカスして、機能の概要と利用例を紹介します。

空間フィルターの作成機能とは

ArcGIS for Excel の空間フィルターの作成機能は、空間検索を実行し、その結果をレイヤーとして出力する解析機能です。この機能を利用するための要件として、コンテンツ作成、解析機能の利用が可能な権限を持つ ArcGIS ユーザー タイプでサイン インする必要があり、また、ArcGIS Online の空間解析と同等のクレジットを消費します。

フィーチャ同士の空間的な関係を検索するために、2 つのレイヤーをマップに追加してこの機能を利用します。今回は、広島広域都市圏・広島県オープンデータポータルサイト掲載の「広島市_指定緊急避難場所一覧」のオープン データと Living Atlas の指定河川洪水予報河川レイヤーを使って、例として河川から 500 m の範囲にある指定緊急避難場所を検索してみましょう。

ある河川から一定距離内にある避難場所を検索する

解析に利用するレイヤーの追加

  1. 広島市_指定緊急避難場所一覧」を Excel で開きます。
  2. [ArcGIS] タブ → [マップの表示] をクリックします。

ArcGIS for Excel アドインの追加方法は「Office アドインで簡単!Excel で ArcGIS のマップを使ってみよう」のブログをご参照ください。
※ 現在は [ホーム] タブで Office アドインを追加できます。

  1. [サイン イン] をクリックして、サイン インします。
  2. [レイヤー] → [Excel から追加] ボタンをクリックします。
  1. [経度 (X)] に「経度」、[緯度 (Y)] に「緯度」と対応する列名を指定し、[追加] をクリックします。
  1. レイヤー名をダブルクリックして、「広島市避難場所」と変更し、Enter キーを押下します。
  1. [+追加] → [ArcGIS] タブをクリックします。
  1. 検索先を「Living Atlas」にして、「河川」とキーワードに入力、Enter キーを押下し検索します。
  2. 「指定河川洪水予報および洪水予報河川」の [>] をクリックして展開し、「指定河川洪水予報河川」のチェックボックスをオンにします。

空間フィルター機能を実行

この解析の実行により、0.934 クレジットを消費します。

  1. 広島市付近にマップを拡大します。
  2. [解析] → [空間フィルターの作成] をクリックします。
  1. 一つ目の [フィルター対象のレイヤー] で「広島市避難所」を選択、二つ目の [フィルター対象のレイヤー] で「指定河川洪水予報河川」を選択します。
  2. 「指定河川洪水予報河川」右の □ (選択) をクリックし、広島市を流れる河川の、青色の線分を 1 つクリックします。
  1. 下記のように設定し、[Run (実行)] をクリックします。
    • [フィルター タイプ]:距離内にある
    • 500 Meters (メートル)
    • [結果レイヤー名]:(例) 太田川から500mの避難場所

しばらくして解析が完了すると、選択した河川から 500 m 内にある避難場所の検索結果がレイヤーとして追加されます。[スタイル オプション] で、形状や色など、表現を変えることもできます。

解析結果のレイヤーは ArcGIS Online に自動的に保存されます。さらに、[レイヤー] パネルの [+ 追加] → [ArcGIS] タブで、保存されたレイヤーの [属性テーブルを Excel、レイヤーをマップに追加] ボタンを押すことで、空間検索の結果である河川から 500 m の避難所一覧を新しいシートとして Excel に追加することも可能です。


このように、Excel のデータと Living Atlas のデータを使って、Excel 内で簡単に空間検索を実行することが出来ました。使いやすくなった ArcGIS for Excel で、手軽に地理的な分析を行ってみて下さい。

フォローする