ArcGIS for Server では、マップ サービスの表示スピードをアップするためにマップ キャッシュを作成することができます。特に、マップ キャッシュは背景図として使用するベースマップを作成する際に効果的です。
サーバ管理者の方々はキャッシュ作成に必要な時間とディスク容量をもっと容易に知りたいと思ったことがあるのではないでしょうか。ArcGIS 10.1 for Server では、より簡単にキャッシュ サイズの推定とタイルの構築を行うことができるようになりました。
■キャッシュ サイズの推定
以前のバージョンに比べて、バージョン 10.1 のキャッシュ作成が大きく異なる点は、サービスの公開前にキャッシュの縮尺レベルやキャッシュ サイズなどの各種設定を行うことができるところです。ArcGIS 10.1 ではキャッシュに必要なディスク容量を推定する機能が追加されました。
[サービス エディタ] ダイアログにて、作成するキャッシュの縮尺レベルと出力形式を調整した後に「推定キャッシュ サイズ」が表示されます。ここで、「キャッシュ サイズの計算」ボタンをクリックすると、より詳細な推定結果を見ることができます。
「キャッシュ サイズの計算」は作成するキャッシュのサンプルを実際に生成し、そのサンプル タイルのサイズをもとに適切なサイズを推定します。
※正確な推定を行うのに数分間かかることがあります。
■キャッシュ作成のためのレポート
ArcGIS 10.1 for Server をインストールすると、デフォルトで起動するサービスの中に「Reporting Tools」と呼ばれるサービスがあります。このサービスは、タイルが正しく構築されているかどうか、マップ キャッシュ作成の進行状況をレポートとして表示します。ArcGIS Server Manager にて、キャッシュ サービスに表示されるタイル型のアイコン(サービス名の隣)をクリックすると、キャッシュ ステータスのダイアログが開き、キャッシュ作成の進行状況のレポートを確認することができます。
※ArcCatalog もしくは ArcMap でレポートを確認する場合は、カタログ ウィンドウ内のキャッシュ マップ サービスを右クリックして、[キャッシュ ステータスの表示] を選択してください。
キャッシュ ステータスのダイアログが開くと、レベルごとの縮尺、サイズ、推定されるタイル数、完成したタイル数、キャッシュ作成の進行具合(パーセント)が表示されます。この進行具合(パーセント)はマップの全範囲をもとに表示されます。そのため、フィーチャクラスが不規則に存在しているエリアがある場合、進行具合(パーセント)が 100% に達しないことがあります。
■マップ キャッシュの作成をより速く -Tips-
広大なエリアをカバーするマップ キャッシュを作成するには多くの時間を要します。ここでは、キャッシュ作成の時間に影響を与える重要な機能を紹介していきます。ちなみに「マップ キャッシュのヒントとベスト プラクティス」ではより詳細な情報を確認することができます。
・ローカル ファイル ジオデータベースの使用
サーバ上にキャッシュのベースとなる GIS データセットのコピーを置いていると、キャッシュの作成に速さと安定性が得られます。その際、クラスタ内にある各マシンがファイル ジオデータベースへの同一のパスを持つことが理想です。そして、それらのファイル ジオデータベースが保存されているローカル フォルダのパスをデータ ストアに登録してください。
・マップとの座標系の統一
最適なパフォーマンスを得るためには、マップと同一の座標系にソースデータを変換して、キャッシュ作成時の投影変換は避けましょう。
・アンチ エイリアスのレベルの選択
アンチ エイリアスはラインとラベルのエッジをスムースにするために使用される手法です。テキストのアンチ エイリアスを設定してもパフォーマンスにあまり影響しませんが、フィーチャのアンチ エイリアスを設定すると、キャッシュ生成時間に影響を与えます。ほとんどの場合、アンチ エイリアスは「最速」または「高速」に設定するのが良いでしょう。
・オーバーワークを発生させないで CPU を効率的に活用
タイルの作成においては、CPU を効率的に使用するべきです。CachingTools サービスの最大インスタンス数を適切に設定することで、オーバーワークを発生させないで CPU を効率的に活用することができます。CachingTools サービスの最大インスタンス数は一般的には「コア数+1」に設定するのが良いでしょう。キャッシュ作成におけるサーバ リソースの割り当てについての詳しい情報はこちらをご参照ください。
・必要なタイルのみを作成
常にすべての縮尺またはマップの範囲でタイルを作成する必要はありません。事前に作成しておきたいエリアのアウトラインを明確にするために新しいフィーチャクラスを作成しましょう。これによって、必要のないキャッシュ作成を避けることができます。また、ラインやポリゴンなどで数千もの頂点を持つフィーチャクラスがある場合はキャッシュ作成に時間がかかるので、[ポリゴンの単純化(Simplify Polygon)] ツールを使用して無駄な頂点を取り除いてください。
などなど…
詳しくはこちら(英語ページ)をご参照ください。
■関連リンク
ESRIジャパン Web サイト
・ArcGIS for Server
Esri 社(米国)Web サイト
・ArcGIS for Server
ArcGIS Resources
・ArcGIS ヘルプ 10.1
Esriブログ
・New features for planning and monitoring map caches in ArcGIS 10.1
・Accelerating map cache creation