今回は現地調査の業務を効率化するアプリケーションとして、「ArcGIS Field Maps」「ArcGIS QuickCapture」「ArcGIS Survey123」をご紹介します。
現地調査の業務には、マップ作成・データ収集・データ共有といった複数のフローがあります。ArcGIS の現地調査アプリでは、これらのフローを 1 つのアプリで完結させ、また業務の遷移をシームレスに行えます。
目次
現地調査アプリとは
紙ベースで行うような従来の現地調査では、データの記入・集計・管理の業務ごとに多くの手間と時間が必要になります。また収集したデータを即座に利用できないため、収集データの活用にタイムラグが発生します。
ArcGIS の現地調査アプリを使用すると、任意のデバイスでデータを収集でき、収集したデータはクラウドに集計および一元管理されます。そのため調査とデータ管理にかかるコストを削減できます。またデータは即座に利用でき、Web マップや Web アプリの作成にシームレスに利用できます。
ArcGIS の現地調査アプリ
ArcGIS の現地調査アプリとして、「ArcGIS Field Maps」「ArcGIS QuickCapture」「ArcGIS Survey123」(以下「Field Maps」「QuickCapture」「Survey123」) をご紹介します。
現地調査アプリの共通点として、任意のデバイスで収集可能なこと、収集データをリアルタイムで共有できること、さらにオフライン環境でも調査が可能である点があげられます。共通点を軸に現地調査アプリごとに次のような特徴を持っています。
Field Maps の特徴
Field Maps は、現地調査業務をマップ ベースで行うことが可能なオールインワン アプリケーションです。マップ ベースでの現地調査に特化したアプリで、データ収集時に活用できるマップ操作やデータ更新の機能を備えています。
QuickCapture の特徴
QuickCapture は、誰でも簡単に操作できるボタン式でデータの収集を行うことができるアプリケーションです。ボタンをタップするだけで迅速にデータの送信が可能なため、車両で移動中であってもデータの収集が可能です。
Survey123 の特徴
Survey123 は、シンプルかつ直感的に操作できるチェックシート式の調査票でデータの収集を行うことができるアプリケーションです。チェックシート式のため、データ収集で複数の情報を必要とする際も、誰でも直感的に回答できます。
現地調査アプリの使い分けと連携
現地調査アプリは、どれか 1 つを選んで使用することもできますが、複数のアプリを組み合わせて使用することで、作業環境や調査員の GIS 経験の違いに合わせた効率的な調査を行えます。
今回ご紹介している 3 つのアプリを現地調査でどのように使い分けるのか、どう連携させるのかを例をあげてご紹介します。
例: 街路樹調査
〇〇市で市内の街路樹調査を行っているとします。ArcGIS 現地調査アプリを通して、職員と住民が連携して調査を行います。
- 職員 (GIS 経験なし)
QuickCapture を使用して、街路樹の簡易的な樹木状態調査の実施。 - 住民 (GIS 経験なし)
Survey123 を使用して、住民が市内の異常がみられる街路樹について報告。 - 職員 (GIS 経験あり)
Field Maps を使用して、職員が街路樹や調査地点をマップに追加・更新。またジオフェンス機能を使用した調査区画の作成。
QuickCapture は、簡単で迅速なデータ収集と移動中も利用できる特徴があります。そのため倒木の危険がありそうな樹の調査といった、大まかな調査をするときに役立ちます。
Survey123 は、誰でも直感的に回答できる調査票を用いた調査ができます。そのため GIS 経験がない住民が、倒木の危険がありそうな樹の詳細を調査・送信する際に役立ちます。
Field Maps は、マップ ベースでの調査に特化した機能を多く備えています。そのため GIS 経験のある職員が、倒木の危険がありそうな樹をマップ上で直接フィーチャとして追加できます。追加後も今後の調査で樹の状態の変化に合わせて、フィーチャ情報を更新できます。
さいごに
現地調査アプリは、現地調査業務でかかる手間と時間を削減し、効率的な調査を可能にします。今回ご紹介したアプリは、各アプリでデータを収集できます。また現地調査アプリを組み合わせることで、多様な環境に対応できる現地調査が可能になります。
ライセンスについて
ArcGIS 現地調査アプリの使用に必要なライセンスについては、以下の通りです。詳細は、各アプリの製品ページをご参照ください。
アプリをはじめる
現地調査アプリの入門として、以下のブログをご紹介します。それぞれ簡単な機能の説明と実際にアプリを使用した調査方法についてマニュアル形式で提供しています。是非、ご確認ください。