ArcGIS Urban は、都市開発のシナリオや影響評価をサポートする Web ベースの 3D アプリケーションで、スムーズで効果的な都市計画のシミュレーションを行うことができます。
ArcGIS Urban は、2025 年 3 月 26 日 (日本時間 2025 年 3 月 27 日) にアップデートし、新機能が追加されました。本ブログでは、ArcGIS Urban で利用できるプランとプロジェクトについての概要と新機能についてご紹介します。

目次
ArcGIS Urban のプランとプロジェクト
ArcGIS Urban を起動すると、プロジェクトとプランとインジケーターの概要が表示されます。はじめに、今回の主な新機能が含まれるプロジェクトとプランの概要を説明します。
プランについて
プランとは、複数の区画を持つ計画など大規模で長期的なゾーニングまたは土地利用についての都市計画のことです。プランの作成には区画からの作成や住所からの作成など複数の手法がありますが、今回は概要からプランが作成できる「分析範囲を描画することによる作成」方法をご紹介します。
概要のヘッダーの右上にある [追加ボタン] をクリック → ドロップダウン リストから [プラン] を選択します。

プラン タイプで [ゾーニング プラン] または [土地利用プラン] を選択 → プランの境界を右画面で描画 → [プランの作成] でプランが作成されます。ゾーニング プランでは、将来のゾーニング規制および開発の計画、土地利用プランでは、将来の土地利用の計画が可能です。

この後のプランにおける主な編集の流れは
などになりますが、他にも様々な設定や機能があるため、詳細は ArcGIS Urban の操作が学べる Esri Tutorials をご参照ください。
例にはなりますが、プランの編集が完了すると以下の画像のようになります。

プロジェクトについて
プロジェクトとは、単一のサイトまたは区画、建物のように短期的で小規模な開発計画のことです。3D モデルのインポートやスケッチ、樹木などを設置し、様々な解析をすることができます。

プランとプロジェクトは、開発の期間や規模などにより使い分けることができます。また設定をすることで、プロジェクトで表示している 3D モデルをプランに表示することもできます。
次の章より新機能についてご紹介します。
プランの計画に関する新機能
プランでは区画の作成や自身で建物を作図することがあります。今回のリリースではプランで計画を立てる際に役に立つ画像に関する機能が追加されました。
メディアのアップロードと編集
プランにおいて画像をアップロードし、位置や大きさを調整することができるようになりました。使用方法の例としては、プランの境界を作成した後に計画図のような画像をベースとしてアップロードします。そうすることで、画像を参考になぞり、区画や建物を描画しやすくなります。
画像をアップロードし、位置を調整すると、ArcGIS Online 上にメディア レイヤーが作成され、他のアプリケーションでも使用することが可能です。2025 年 5 月現在、アップロード可能な画像のサイズは 2048px までとなっています。

メディアの表示順の変更
シナリオに複数の画像がある場合、表示順を変更することができるようになりました。使用方法の例としては、背景が透過された PNG 形式の複数の画像を適切な順番に重ね合わせることが考えられます。
下の参考動画では、最前面に敷地範囲を示す画像があったものを最後方に移動させることで樹木や建物の画像を前面にし、すべての画像を表示させています。

プロジェクトの開発と解析に関する新機能
3D データを簡単な手順で追加し、細かく調整することは 3D を使用するアプリケーションにとって必要不可欠です。3D モデルをインポートし、シーンを作成することで具体的なイメージを膨らませることができます。
3D モデルのアップロードと開発モードにおける編集
プロジェクトに詳細な 3D モデルを直接アップロードできるようになりました。IFC や DWG、FBX などの形式をサポートし、100MB のファイル サイズまで対応可能です。また、開発モードにおける 3D モデルの編集機能が向上しました。3D モデルを配置する際の座標値の指定や、モデルの回転やサイズ変更が可能です。

アセットの追加と種類の変更
開発モードでの、樹木や電灯、車両などのアセットの追加画面が新しくなりました。複数のアセットをより効率的に追加したり、大きさや種類を変更したりできます。

日付と時刻による日光の表現と影の設定
日付と時刻による太陽の位置を考慮した日照表現が可能となりました。また、影を投影できます。季節に沿った都市の姿を忠実に表現することで、プロジェクトや周辺の影響がより伝わります。

例えば、動画では始めに冬の 1 月の影を確認していますが、昼過ぎの時間帯にプロジェクトの建物に周辺の建物の影が被っていることがわかります。次に夏の 9 月の影を確認しており、プロジェクトの建物に周辺の建物の影は被っていません。プロジェクトの建物は夏の日射量に問題はないものの、冬の日射量が不十分である可能性があることがわかります。
解析の保存
解析パネルが新しくなり、影・可視領域・見通し線・標高断面の解析結果を保存できるようになりました。実行済みの解析を後で見返したり、微調整したりできます。

まとめ
本ブログでは、ArcGIS Urban におけるプランとプロジェクトの概要と新機能についてご紹介しました。ArcGIS Urban は他にも新機能が追加されていますので、詳細は Esri の最新のリリース ノートや Esri のブログ (英語)をご参照ください。