ArcGIS CityEngine 2025.0 が 2025 年 6 月 26 日 (日本時間 6 月 27 日) にリリースされました。ArcGIS CityEngine 2025.0 では、新しい機能の追加や機能改善が行われています。ここでは、「What’s new in CityEngine 2025.0」を ESRIジャパンが翻訳し、加筆修正したものを紹介します。
目次
Street Designer: 街路景観をフル 3D で作成
Street Designer は、道路構成を作成および管理することができる機能で、街路景観をフル 3D で作成することができ、「緑地空間」「道路の政策目標」などの検討に活用できます。
Street Designer は、歩道から複数車線の大通りまで、道路構成を定義できます。道路標示、街頭設置物、駐車場の区画、植生などの要素をきめ細かく制御でき、すべてのモデルがプロシージャルで生成されます。さらに、複数車線の道路をビューポート ウィンドウ内で直接作成し、車線を追加・削除・移動ができます。

個々の車線にプロシージャル ルールを割り当てて、詳細にビジュアライズできます。公共交通、街頭設置物や道路に対応した新しいルールセットが ESRI.lib に追加されており、ビューポート ウィンドウ上の車線にルールをドラッグ アンド ドロップするだけで、3D モデルを作成できます。
また、車線や街頭設置物などを道路構成として 1 つのデータに保存することができ、それを都市モデル全体に再適用することで、設計の反復プロセスを効率化できます。道路構成は、いくつかの定義済みの構成も格納されているため、ユーザーの用途に応じて活用できます。
詳細については、米国 Esri 社ブログ「An introduction to Street Designer」および Street Designer のヘルプ ページをご確認ください。
CGA: 逐次型 (シーケンシャル) プログラミングへの対応がさらに強化
ArcGIS CityEngine 2024.1 で、「逐次型 (シーケンシャル) プログラミング」が導入され、CGA ルールの記述方法が進化しました。
逐次型 (従来の階層型ではなく) のアプローチでは、ジオメトリーはステップごとにタグ付けし、収集していきます。各ステップでは、前のステップで生成されたジオメトリーを必要なジオメトリーだけを取り出し、次のシェープ生成に利用することができます。たとえば、3D のブール型オペレーションを用いてシェープを加工することが可能です。
ArcGIS CityEngine 2025.0 では、以下の機能強化により、ワークフローがより簡単で直感的に利用可能です。
3Dブール型構文の改良: 両方のオペランド ルールを {} ブロック内に直接記述できるようになりました。これにより、同じ現在のシェープに対して効率的に適用できます。
インライン キーワード構文の簡素化: inline はパラメーターなしで利用可能になり、デフォルトで append が適用されます。
強化されたコンポーネント分割: 新たに追加された noAlign モードでは、入力範囲の向きを維持できます。また、新しい =: 演算子は選択されたメッシュ要素を接続関係に基づいてグループ化できます。
上の画像の作成に使われた Sequential_Programming_Example は、VCGA Playground Example に含まれています。CityEngine 2025.0 アプリケーション内でダウンロードし、利用できます。
Visual CGA: 生産性向上をサポートする便利なツール
Visual CGA Editor は、VCGA デザインの作業効率を高めるためのさまざまな改善と新機能が追加されました。ツールバーに新たに追加された [Find Node] 機能では、ノード名の一部を入力するだけで、目的のノードをすばやく見つけることができます。また、ノードのミニ インスペクターでは @Material や @Color アノテーションが直接サポートされるようになり、ノードや接続の数を減らして、よりシンプルな VCGA デザインを実現できます。
さらに、ノードのレイアウトも最適化され、長い属性名や拡張ポイント名がより見やすく表示されます。接続線の視認性も向上し、より直感的に構造を把握できるようになりました。デフォルトで NIL に設定されている拡張ポイントは、空の四角形で視覚的に示されるようになり、右クリックによる 2D 画面移動操作のサポートにより、エディター内のナビゲーションもよりスムーズになっています。
また、コンポーネント自体を VCGA デザインとして扱うことが可能になり、InitialShapes ノードの名前の変更や拡張ポイントのデフォルト動作を NIL に設定することもできるようになりました。これにより、柔軟で再利用性の高いデザインが可能になっています。
ビューポートでのレンダリングの品質向上
以前から取り組んでいた CGA レンダリングの最適化の取り組みをさらに一歩進め、アンチエイリアスと異方性フィルタリングをデフォルトで有効化しました。これにより、線の描画がより滑らかになり、テクスチャも全体的に鮮明に表示されるようになっています。
さいごに
ArcGIS CityEngine 2025.0 では、Street Designer や CGA の逐次型 (シーケンシャル) プログラミングの強化、Visual CGA の操作性向上、レンダリング品質の改善など、都市の 3D モデル作成をより効率的かつ直感的に行える機能が多数追加されました。これらの新機能を活用することで、より高度で柔軟な都市設計が可能です。是非、新機能を利用してみてください!